頂点に立つ男
バルトハイン闘技大会の現チャンピオン、シン・ウェールズは弱冠十五歳にして初優勝を果たし、そこから四度の防衛に成功、今年ついに前人未到の五度目の防衛をかけて大会に臨む。
何度目になってもこの緊張感は変わらない。俺は控え室で目を閉じて深呼吸する。
戦いの前、俺はいつも弱かった頃の自分を思い出す。もうあの頃には戻らない。俺は変わった。俺は…強くなった。大丈夫、今日勝てば大会初の五度目の防衛、俺が最強だと証明できる。俺が俺自身をやっと認められる。
俺はもう一度深呼吸すると、目を開き会場へと向かう。今年の相手は十四歳の少年に決定した。初めて年下が相手になったが油断はしない。俺だって初優勝は十五のときだった。
「さあ、まず登場するのは挑戦者!今大会突如現れたダークホースが勢いそのままにチャンピオンまでも倒すのか!?カルローーーブライトーーーーー!!」
闘技場の中央まで少年が出てくる。
「そして続いて登場するのは、我らがチャンピオン!五年前、史上最年少で初優勝を果たした衝撃は未だに忘れられません!今年も勝って大会史上初の五度目の防衛を果たすのか!?シンーーーウェールズーーーーー!!」
俺も闘技場の中央まで出ていき、少年と向かい合う。その瞬間背筋がゾクッとした感覚に襲われる。本能で感じたのか?この少年から、今まで戦ってきたヤツらとは違う何かを。いや、気負うな。大丈夫だ。今日であの頃の弱い自分と決別するんだ!
「さあそれではいよいよ、今年のチャンピオンが決まる決勝戦、スタートーーー!!」




