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三章 ~アネルマ~ (12)

「あ~しんどっ!でもやっと動きが鈍ったね。」


「うん、でもこのままだと・・・」


 グレちゃんが同じところを攻撃し続けたおかげで、なんとかダメージを与えられたけど、この作戦を続けても先にこちらの体力が切れてしまう。グレちゃんはどう考えてるんだろう?


「だね、やっぱりこのやり方だと効率悪いね。」


 グレちゃんも同じ考えのようで、少し悩む仕草をしたあと、私の方に向いた。


「それじゃあ二つ目の作戦にしようか。」


 そういえば作戦が二つあるって言ってたっけ?


「どんな作戦なの?」


「最初に言ったように、フィリフィリの攻撃魔法で倒すんだよ。」


「えっ!?いやでもそれは無理だって…」


「魔術書じゃなくて私の魔導銃なら火力も出せるでしょ?それに動きの鈍ったアイツの攻撃なら、私がフィリフィリを(かか)えて避けられる。」


 そんなうまくいくとは思えない。というかそれ以前に


「ごめん、私は魔術書以外で魔法を使ったことがないの。だからいきなり銃を渡されても戦えない。」


「えっそうなの?てっきり魔法の扱いに()けてるものだと…あーでも朝会ったときにまだ魔法を使い慣れてないって言ってたか。」


 グレちゃんは、ん~どうしよっかな~と悩みはじめてしまった。ここまでグレちゃんが作戦を考えたり危険な役回りをしてくれて、私は安全なところから防御魔法でサポートしてるだけ。このままじゃダメだ!私も攻撃魔法で戦う?でもそれだと防御魔法が間に合わなくなっちゃうし、やっぱりグレちゃんの作戦でいく?でも魔術書以外で魔法を使ったことなんて…あっ


「グレちゃん!私一回だけ魔術書以外で魔法を使ったことある。」


「ホント?それなら今言った作戦でいこう。」


「うん、でもかなりリスキーになっちゃうんだけど、いいかな?」


「どういうこと?」


「前使ったときは、カルロが魔法式を構築?してくれたの。だから今回はグレちゃんにそれをお願いしたいと思ってて、でもそうすると…」


「私は身体強化魔法を使わずに、フィリフィリを抱えてアイツの攻撃を避けなきゃいけないわけね。」


「私の魔術書を使って同時にはできない…かな?」


「いやー二つのものに同時に魔力を流すのは無理かなぁ。やったことないし。」


「じゃあ離れたところから撃つとか。」


「すぐにバレるだろうね。アイツはこっちの攻撃意識に敏感みたいだし。」


 やっぱり危険すぎるよね、こんな方法。


「まあでもやるけどね。」


「えっ!?いいの?」


「勝てる手があるのにやらない理由ないでしょ?安心して、絶対避けるから。その代わり一発で仕留めてよ。」


「うん!任せて!」




 私とグレちゃんは魔獣の視界から(はず)れると、少し距離をとって様子を伺う。ヤツは私たちを見失うと、その場に立ち尽くす。こちらからのアクションを待っているようだ。

 私はグレちゃんから銃を受けとる。私が一度銃を構えると、グレちゃんは私の背中側に回り、私を抱え上げれるように、脇の下から腕を通して銃に触れる。


「それじゃあフィリフィリが銃に魔力を流したら、すぐに魔法式を構築するね。でも魔力を流した段階で向こうはこっちに気づくだろうから、そこからはスピード勝負になるね。」


「向こうが近づいてくるところを狙えばいいかな?」


「いや、避けられたり外したりしたら終わりだし、確実に当てるなら、向こうの攻撃を避けてカウンターを決めるのが一番かな。」


 西地区でグレちゃんがやってた感じか。うん、大丈夫。必要なのは恐れず敵から目を離さないこと、それから…私は振り返ってグレちゃんと目を合わせる。


「私はグレちゃんを信じる。だから…」 


「うん、私はフィリフィリを信じる。」


 必要なのは互いを信じること。私はフッと息を吐く。


「魔力、流すね。」


 銃に魔力を流していく。向こうもすぐにこちらの動きに気づいたようで、素早く近づいてくる。足を負傷しているとはいえ凄いスピードだ。


「何この魔力!?ヤッバ、テンション上がる~。っと魔法式構築完了。あとは引き金を引くだけだよ。」


 魔獣との距離はあと五メートルほど、魔獣は腕を振り上げ私たちに襲いかかる。怖い、でも私は銃口と視線を魔獣の頭から外さない。グレちゃんを信じる!

 魔獣の振り上げた腕が私たちに向けて振り下ろされる。が、ギリギリのところでグレちゃんが私を抱えて魔獣の足元に滑り込み、避ける。その間も私は銃口と視線を魔獣の頭に向けたままだ。

 魔獣の足元に入ったことで視界から外れる。そしてこの距離。今なら避けられないし、外さない。


「今!」


 グレちゃんの声と同時に銃を撃つ。私たちは攻撃の衝撃で吹っ飛んだ。そして銃弾は、魔獣の下顎から脳天を貫通して、作戦通り一撃で倒すことに成功した。

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