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3/5

残金 99,999,502

コンビニに入るとすぐにお弁当などを置いてあるコーナーに向い

適当に目についた物を手に取るとレジへ向かう


もらったおつりも確かめる事なく、ポケットに押し込むと

逃げるようにコンビニを後にした


途中、前から来る大勢の人とすれ違った

すれ違う度、ポケットにある家のカギを強く握りしめているのが自分でも分かる


家からは3分ほどしかは離れていない距離なのに


無限に続くようにも感じた

大袈裟かもしれないが、とにかく長かった


部屋に入ると同時にドアの鍵を閉め

すぐに部屋に隠して置いてある通帳を確かめる


当然と言えば当然だがもちろんあった

泥棒が入った形跡もないし

窓にもカギがかかってある


こんな生活をこれから続けて行かなければならないのか。と考えると

どこにいても落ち着かない

トイレや風呂に入る事さえ出来ればやりたくない


でも、不思議と苦痛ではない

義務以上に自らが進んでやりたいと思っているようにも感じる


簡単に自分なりに計算してみたら


この先50年間を生活する為に使うとすれば

1年で200万円使える


月平均で約16万円ほどだ


今の生活で得ているお金よりも少し多い額だ


こうやってリアルに考えていくと

こんな大金も普通に見えてくる


違いはこの50年分が今、ここにまとめてあるという事だけ





今から考えても夢の話に思える


本屋に行った帰りに偶然宝くじ売り場の前を通っただけ

その時、たまたまおつりでもらった小銭をポケットに入れてただけ

そして、数種類あるクジの中から偶然これを選んだだけ


時間にして僅か数十秒


たったこれだけ


もし本屋に行かなかったら?


もし、おつりをきちんと財布に入れていたら?



その僅かな差をクリアした結果がこれだ


何があるか本当に分からない


でも、今ではこれは全てに言える


銀行が潰れたら?


火事になって燃えたら?


ちょっと前までどうでもよかった事が今ではとても気になる

そして、一番気になる事、それは「誰かにバレたら?」という事


口は堅い方だと自分では思っている

だから誰にも言わない自信はある


でも、もし見られていたらどうしよう


バイト先でうっかり話してしまったらどうしよう


考えるだけ不安要素が増えていく

とりあえす、今1つの事が決まったので、電話を取るとそれを実行した


食べ終えた弁当のゴミを見ていると

さっきまであったお金が僅かだか減った事を実感する


こうやって塗り絵のように段々と日々の生活で潰されていく


そして最後には塗る場所がなくなってしまう


塗る場所がなくなったら捨てるしかない



要件を終え電話を置いた


カーテンを少し開けて外を見ると、ちょうど宅配ピザの配達バイクが見えた


同じ歳かやや下ぐらいの子がアパートの怪談に向かって行く後ろ姿を見て

カーテンを閉めた


電気を切り、床に就くのとほぼ同時ぐらいにバイクをエンジン音が聞こえ

次第に遠ざかり、やがて聞こえなくなった


その音を追いかけるように、眠った





















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