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残金 100,000,000




さすがに手元に現金を置いておくのも怖く全部預金した


昨晩は寝るに寝れず、カギがしまっているか何度も確認し


僅かなカーテンの隙間も気になってしかたない


怖いゲームをプレイしている時、不意に後を振り返ってしまうあの心理のように

何度も部屋中を見渡した


欲がありすぎるのも困ったもんだが

あまりにないのも、また困惑する


しかし一番困るのは、実現できない夢である


車も別に欲しくない


コンビニ・スーパーはもちろんの事

ゲームセンター、本屋、レンタルビデオ店などそこそこ揃っているし

そこまで大きくないが、百貨店のような物もあるので衣服や雑貨なども大抵は揃う


なので、自転車で行ける範囲で暮らしは問題ない


広い家もいらない、生涯この部屋で暮らしても別にいい


問題なのは趣味の方だ


最近になって漫画やゲームを作る事に興味が出てきた


自分でも描いてみたいと思って、同人誌なんかを描いてみたが

売るどころか人に見せるのも嫌なレベルだ


ゲームを作るのもプログラムとか色々あって

今からじゃとても勉強仕切れない


「金で命は買えない」なんてセリフがあるが


「才能」もまた、金では買えない数少ない物の1つだ


こういった事は小さい頃からの環境が割と大きい


元々、小さい時からいろんな興味はあり、やりたい事は多かったが

どれも才能がなくて出来なかったり、周りに同じ考えの友人がいなかったので


何でも一人でやるしかなかった


一人ではどうしても、才能がないと出来ないので

それを補う方法を選ぶしかなかった


その方法っていうのが、いわゆる「受託」だ


お金を払って才能ある他人に代わりにやってもらう事


漫画を書きたいなら、自分が原作・アイデアだけを提供し

作画を誰かにやってもらえばいい


それが今、ようやく叶う


その気になれば明日から、いや今日からでも出来る

すぐにでも出来る


でも・・・それが出来ない


才能も特技もない人間だから

これを失うとただの人になってしまう


そして、下の生活を知っている者にとって

それが恐ろしく怖い


人間は何万人、何億人といるので人間、一人一人の個体に価値はない

価値があるのは、その人間の持っているセンス、能力、才能、技術であり

他人の持たざる物を持つ人しか興味を向けない


そんな普段なら視線さえ向けてもらえない人間が人間扱いされる方法

それが金…金を持つ事


今、ようやく人間としてスタート出来る位置に立った


正体は分らない


でも、何かが確実に存在する


そして使う事が出来ない


それでも、空腹だけは避けられない

生きている以上、食べる物はどうしても必要である


窓がしまっている事を繰り返し確認した後

コンビニへ向かう


部屋のカギをポケットに入れ

しっかりと握りしめながら











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