一章 雨の夜の乗客③
月曜は昼前に目が覚めた。ストーブの給油のランプが赤く点いていて、灯油が切れかけている。タンクを抜いて玄関に出してみると、赤いポリタンクは二つとも空だった。
物置の奥から、母が使っていた手押しの台車を引っぱり出した。片方の車輪が曲がっていて、押すと同じところできしむ。ポリタンクを二つ縛りつけて坂を下りた。降っているのが雨なのか雪なのか、傘に当たる音が重たい。坂の途中の家はどこも窓に板を打ちつけて、庭木を縄で縛り終えていた。一軒だけ、梯子をかけて雨どいの落ち葉をかき出している男がいて、台車の音に振り向いた。野口と目が合うと、また雨どいの掃除に戻った。
坂の下のガソリンスタンドで、灯油の給油機の前に台車を止めた。事務所から紺の作業着の女が出てくる。五十くらいで、首に手ぬぐいを巻いていた。
「灯油?二つね」
「お願いします」
女はポリタンクのふたを外して、ノズルを差しこんだ。
「また上がったのよ、先週から。いやんなるね」
「そうですか」
「配達もやってるけど、坂の上だと週一回になっちゃうの。紙、持ってく?」
柱に、配達の曜日と電話番号をマジックで書いた紙が貼ってあった。
「いや、取りに来ます」
「そう。冬は長いからいつでも言いなよ」
事務所のガラス戸の向こうで古い電気ストーブが赤く点いていて、その前の椅子の背に軍手が何組も干してあった。
帰り道は、重くなった台車がさっきより大きな音を立てた。玄関でストーブのタンクに移して、こぼれたところを新聞紙で拭く。石鹸で二回洗っても、指のあいだのにおいは取れなかった。
夕方、営業所に出ると所長に呼ばれた。
「車ね、まだ警察が預かるって。しばらく予備のやつで頼むわ」
いつも停めている場所が空いていて、コンクリートにタイヤの跡だけが黒く残っていた。配車表の野口の札は、もう予備の車の番号の下に移してある。
予備の車は車庫のいちばん奥にあった。年式が古く、走った距離は二十万キロを越えている。乗りこむと膝がハンドルにつかえたので、シートを下げた。座面には誰かが置いていったビーズ編みの座布団が敷いてあって、助手席の足もとに移すと芳香剤の甘いにおいがした。
最初の客は、これから夜勤だという看護師だった。病院の名前と、職員通用口のほうへ、とだけ言って、後ろの席で目を閉じた。ラジオがニュースになると、すみません、ちょっと小さくしてもらえますか、と言われた。病院に着くまで、彼女は一度も目を開けなかった。
団地の前で手を挙げた老人は、大きな布団袋を抱えていた。袋を先に押しこんでから自分も乗りこんで、国道沿いのコインランドリーまで、と言った。
「この時期は、乾燥機だべ」
誰に言うでもなく言って、老人は袋の口を縛りなおした。樟脳のにおいがした。
繁華街は九時を過ぎると混みはじめる。十一時すぎに乗せた会社員の二人連れは、どちらも酔っていて、乗るなり上着を脱いだ。
「だからさ、陽菜ちゃんだって。十年前の、あの」
「わかってるって」
「なんかあんだよ、絶対。じゃなきゃ消えねえって」
「男の死体置いて逃げてんだもんな。出てこないってことは、そういうことだろ」
ちょうど十一時のニュースが始まって、野口はラジオの音を上げた。
「千坂市のアパートで二十九日未明に火事があり、焼け跡から男性の遺体が見つかった事件で、警察が司法解剖をした結果、男性は火事が起きる前に頭を強く殴られて死亡していたとみられることがわかりました。警察は殺人と放火の疑いで捜査を進めるとともに、男性の身元の確認を急いでいます」
後ろの二人は、しばらく黙っていた。
「……殺しかよ」
年上のほうがつぶやいて、年下のほうが、運転手さん、そこのコンビニでいいです、と言った。二人はコンビニの前で降りていった。
二時にいつものコンビニに寄った。缶コーヒーと塩むすびをレジに置くと、若い店員が外の車をちらっと見た。
「あれ?車、変わりました?」
「ちょっとね」
「へえ」
店員はそれ以上訊かずに、いつものように袋に入れずに渡してくれた。
◇
火曜の昼すぎ、坂の上の寺まで歩いた。本堂の裏の墓地は斜面になっていて、町なかより空気が冷たい。前の日のみぞれが石の上や通路の端に白く残っていた。
母の墓の花立てには、茶色くなった菊が差したままになっていた。秋の彼岸に親戚の誰かが供えたのだろう。抜いて脇の籠に捨てると、花立ての水には薄い氷が張っていた。手袋でみぞれを払って、竿石の肩に貼りついた落ち葉を剥がした。手を合わせたのは短いあいだで、何か言うことがあったわけでもなかった。杉の上で烏が鳴いて、野口は来た道を下りた。
その晩も予備の車で走り、水曜の明け方に帰った。ストーブをつけて、テレビの音を絞った。七時のニュースは千坂の火事から始まった。
「警察は、遺体の身元を県内に住む沢井達也さん、五十二歳と確認しました」
画面に出た写真は古いもので、沢井の髪はまだ黒かった。集合写真から切り抜いたらしく、肩に誰かの腕がかかっている。沢井さんがなぜ陽菜さんの部屋にいたのか、警察が現在も操作中です、とアナウンサーが言った。
上着を脱ぐのも忘れて、しばらく画面を見ていた。それからスマホを出した。日曜の朝に途中で止めた留守電が、そのまま残っている。二十八日、二十一時四分。
再生を押す。
「あー、野口さんか。沢井です」
声のうしろで、やかんが鳴るような音がしている。日曜の朝はここで切った。今度は止めなかった。
「六年前は、すまなかった」
少し間があって、息を吸う音がした。
「明日の朝、陽菜ちゃんと一緒に全部渡しに行く」
それで終わりだった。十九秒。何度聞いても、何も変わらない。
窓の外が明るくなってきた。夜中の雨は、いつのまにかみぞれに変わっていた。
庭に出て、ブルーシートをはがした。溜まっていたみぞれが砂利の上にまとめて落ちる。下から母の軽が出てきた。白い車で、屋根のところが黄ばんでいる。
鍵は玄関の靴箱の上の籠に入っていた。運転席のドアを開けると、閉めきった車の古い布と埃のにおいがした。キーを回してもセルが鈍く回るだけでかからなくて、少し待ってからもう一度回したら、かかった。車検のシールには二○二七年と書いてある。
物入れには、交通安全のお守りと色の褪せた駐車券が何枚か入っていた。どれも千坂の病院の駐車券だった。灰皿にはのど飴の包み紙がたたんで入れてある。十五分ほどエンジンをかけっぱなしにしてから切って、シートはかけ直さずにたたんで車の横に置いた。
八時になるのを待って、名刺の番号にかけた。矢代はすぐに出た。
「はい、矢代です。……ああ、野口さん。どうしました」
「留守電が残ってたんです。沢井さんから」
電話の向こうで、矢代が黙った。
「それ、いつのですか」
「二十八日の、夜の九時すぎです」
「……すいません、今から来てもらえます?こっちから伺ってもいいんですけど、たぶん来てもらったほうが早いんで」
寝ないまま、バスで千坂中央署へ行った。受付で名前を言うと、二階に上がるように言われた。廊下の奥の会議室の扉に、事件についての概要が書いてある。日曜の夜とは人数が違った。紙コップを持って立ち話をしていた男が二人、野口が通るあいだだけ黙った。
矢代は日曜と同じ小さな部屋にいた。立ち上がって、また野口の足もとを見てから顔を見た。
「すいませんね、何回も。寒かったでしょう。みぞれって、雪よりたち悪いですよね。濡れるし」
机に缶コーヒーが二本置いてあった。
「それで、留守電」
野口がスマホを置いて再生すると、矢代は手帳を閉じたまま画面を見ていた。
「もう一回いいですか」
二回目が終わると、矢代は椅子の背にもたれた。
「やかん、鳴ってますね。後ろで」
「ええ」
「これ、うちでコピーさせてもらっていいですか。スマホはすぐ返しますんで」
「どうぞ」
矢代が内線で呼ぶと、若い刑事がノートパソコンを抱えて入ってきてスマホにコードをつないだ。待つあいだ、矢代は手帳に日付と時刻を書いていた。若い刑事が出ていくと、預かり証を書いて控えを野口に渡した。
「一応、念のために訊くんですけど。二十九日の、夜中の零時から二時くらいって乗務中ですよね」
「乗務中です」
「ですよね。日報とカメラ、それと車の運行記録も。全部見せてもらいました。零時半すぎに川沿いのとこの信号で停まってますね。消防車、やり過ごしてる。そのあと駅に戻って、一時四十分ごろにもちょっと停まってる」
「日報をつけてました」
「つけてましたね。映ってました」
矢代は手帳をめくった。
「で、二時すぎにコンビニ。そっから先は日曜に聞いたとおりですね。料金が全額入ってたのも、会社で確認しました。四万三千九百二十円」
「……はい」
矢代は、またページをめくった。
扉の小窓の向こうを灰色の背広を着た年配の男が通った。書類の束を抱えていて、窓の前で立ち止まって、中の野口を見た。矢代は腰を浮かせて頭を下げた。男は軽くうなずいて、会議室のほうへ行った。
矢代は座りなおして、缶コーヒーを開けた。
「で、日曜のことなんですけど」
手帳を日曜について書かれたページまで戻す。
「名札の名前。聞き覚えないっておっしゃいましたよね。三浦悠真」
野口は返事をしなかった。
「あれね。六年前に野口さんが書いた記事に出てくる名前なんですよ。取り下げになったやつ。ネットにはもう残ってなかったんで、休みの日に図書館で雑誌探して読みました。……知ってますよね、この名前」
日曜の晩、この部屋でその名前を読まれたとき、知りません、と口が先に動いていた。あの名前を出したら、六年前のことを最初から話さなければならない。話したら、また誰かが捏造だと言いだすかもしれない。そう考えたのかどうか、自分でもはっきりわからなかった。
「知っています。六年前、記事に書きました」
「ですよね」
矢代は手帳に何か書いた。
「いや、責めてるんじゃないんです。日曜は急でしたし。ただ、そこははっきりさせときたかったんで」
ページをめくる。
「その子ね、二〇一六年の秋に、東京に転出したことになってるんですよ。記事のとき、東京のどこに行ったかわかりました?」
「わかりませんでした」
「でしょうね」
矢代はペンで手帳の端を叩いた。
「それと、その年の夏に鳴磯の交番にその子の捜索願が一件出てるんです。陽菜ちゃんがいなくなったのと同じ日に出て、次の日に取り下げ。これ、記事のときは」
「知ってました」
矢代のペンが止まった。
「記事には書いてなかったですよね」
「親戚の家にいた、と言って取り下げたと聞きました。秋には母親と東京に移って、事情があって行き先は伏せてる、と。安全は施設長が確かめてる、と」
「誰から聞いたんですか、それ」
「捜索願のことは町で。そのあとのことは、教育委員会と施設長からです」
「施設長って。当時、三浦さんが働いてた児童養護施設の」
「大槻さんです」
「陽菜さんのおじいさんですね。春に勲章もらった」
野口はうなずいた。日曜の昼のテレビで、長机の前で頭を下げていた男だ。十年前には会って話をしているし、六年前にも一度だけ電話で話した。電話の向こうの声は穏やかだった。あの子のことは、私が責任を持って無事を確認しています。そう言われて、当時の野口は礼を言って電話を切った。
「学校のほうの書類にもね、安全確認って欄があるんですよ。その子の無事を誰が確かめたか、書くとこ。そこに施設長の名前が書いてある」
矢代は手帳を閉じた。
「で、その子。東京にもどこにも、転入届が出てないんです。十年間」
野口は矢代の顔を見た。矢代は缶コーヒーを飲んで、机に置いた。
六年前、東京で探して見つからなかったのは、行き先を伏せているからだと思っていた。伏せた先で、母親と暮らしているのだと思っていた。
「……それ、私に話していいんですか」
「話してないですよ。訊いてるだけです。記事書いたとき、野口さんがどこまで知ってたか」
矢代は笑って、缶を振った。もう空だった。
「あと一個だけ。あの記事の、板に彫ってあった字。野口さん、自分の目で見てますよね」
「見ました」
「ですよね。いや、確認です。いろいろ言われた記事だったんで」
矢代の目が、机の上のスマホに移った。留守電の画面が開いたままになっていた。
「一緒に、って言ってましたね。陽菜ちゃんと一緒に」
「言ってました」
「ええ」
矢代はスマホの画面に目を落としてから、手帳を上着の内ポケットにしまって立ち上がった。
「長いこと、すいませんでした」
矢代は先に立って、階段のほうへ歩いた。会議室の前を通るとき、奥の壁のホワイトボードに写真が何枚も磁石で留めてあって、そのあいだを黒い線が結んでいるのが見えた。沢井、と書いた字があった。その横に、長谷部陽菜。線の途中に、二〇一六、とある。端のほうに、三浦悠真、という字がほかより小さく書いてあった。
「あ、すいません」
矢代は戸の取っ手に手をかけて、閉めた。
階段を下りながら、ホワイトボードの線を思い出していた。十年前、陽菜は鳴磯の浜の番屋で見つかった。その番屋に食べ物を運んでいたのは沢井だった。番屋には陽菜のほかに男の子がもう一人いて、その子はいまもどこにいるかわからない。その線のどこかに、六年前に自分が書いたあの記事も載っているのだろう。
矢代は階段の下までついてきた。踊り場の窓から、署の裏の駐車場が見える。並んだ車の屋根に、みぞれが溜まりはじめていた。
「車、もうちょっと預からせてください。年内には返せると思うんで」
「わかりました」
自動ドアの外は、来たときよりみぞれの粒が大きくなっていた。
「傘、あります?」
「あります」
折りたたみの傘を開くと、矢代は日曜と同じように片手を上げて、中へ戻っていった。
バス停まで歩くあいだに、カメラの映像も見た、と矢代が言っていたのを思い出した。道の駅で陽菜が降りるところまで見たのかどうか、野口は訊かなかった。
家に帰ると、野口は布団に入ってすぐに眠った。
◇
目が覚めたのは三時すぎで、雨どいを水が流れる音がしていた。押し入れの上の段の奥から、段ボール箱を二つ下ろした。六年前に東京から送って、一度も開けていない箱だった。ガムテープが茶色く乾いて、端がめくれている。
一つ目には本と古い名刺の束が入っていて、取材のノートは二つ目の箱に年ごとに輪ゴムでまとめてあった。輪ゴムはどれも伸びきっていて、指をかけただけで切れた。二〇二〇年の束から、表紙に「鳴磯」と書いた細長いノートを抜いた。
急いで書いた字ばかりで、自分でも読めないところがある。悠真の名前は、半分を過ぎたあたりに出てきた。
三浦悠真 鳴磯小 一六年秋 東京へ転出(母と)
教委 所在は答えられない 無事は確認している、とだけ
大槻 電話 母子は事情があって東京に 行き先は伏せている 無事は確認している
その下に、もう一行あった。
一六年夏 母、交番に捜索願 翌日取り下げ「親戚の家にいた」(町で)
「無事は確認している」の下に、二本線が引いてあった。何をどう確かめたのかは、ノートのどこにも書いていない。
四時を回っていた。ノートの同じページの端に教育委員会の電話番号が書いてある。かけると、係の男が出た。
「二〇一六年まで鳴磯小学校にいた、三浦悠真くんのことで伺いたいんですが」
「どちら様でしょうか」
名前を言うと、受話器の向こうで間があいた。
「個人情報については、お答えできないんです。その件は、警察のほうからもお問い合わせをいただいてまして」
「所在は、いま誰か確認しているんですか」
「所在は非公表で、安全は確認済みと聞いております」
「誰が確かめたんですか」
「それも、お答えできません」
六年前にノートに書いた言葉と、ほとんど同じだった。礼を言って切った。スマホの写真を開いて、居間の電灯の下で撮った名札の字を見ていた。
ノートは開いたままちゃぶ台の上に置いておき、暗くなってから閉じて、上着の内ポケットに入れた。その晩は公休だったので、早く寝た。
次の日の昼、台車を直そうとした。曲がった車輪は軸の根元が外に開いていて、回すとふらつく。台車を倒して、物置の棚の金槌で軸の根元を叩いた。叩くたびにトタンの庇から水が垂れてきて、首筋に入った。直したつもりで坂の下まで押してみたら、鳴る場所がずれただけだった。金槌を棚に戻して、台車は物置の奥に押しこんだ。
夜の乗務に出ると、予備の車の運転席にまたビーズの座布団が敷いてあって、シートも前に出ていた。昼に誰かが乗ったらしい。座布団をどけて、シートを下げた。
日付が変わるころ、ワイパーの音が変わった。ガラスに当たっているのが、雨ではなく雪になっていた。明け方までに乗せたのは三組だけで、営業所に戻ると、車庫の前が白くなっていた。
始発のバスを降りて坂を上ると、雪は靴が半分埋まるくらい積もっていた。向かいの老人がもう道に出て、幅の広いプラスチックのスコップで家の前の雪を押している。
家には入らずに、物置から角の欠けたアルミの雪かきを出した。腰を落として、玄関から門まで、雪を道の脇に寄せていく。子どものころから、冬になると母に言われてこの坂の雪をかいてきた。老人がスコップを止めて、道の真ん中に立った。
「夜勤明けか」
「はい」
「水曜の朝、軽、かけてたな」
「たまにかけないと、だめになるんで」
「んだな。おふくろさん、あれで病院さ通ってたもんな」
老人は門柱の脇の梅を見上げた。細い枝の先に雪が載って、下を向いている。
「梅も、そろそろ吊ってやらないとな。折れたら、だめだべ」
「そうですね」
「竹、うちに余ってるから。今度持ってくる」
老人は返事を待たずに、自分の家の前へ戻った。二人で道の真ん中まで寄せ終えたころ、ゴミ袋を提げた女が、坂の上から足もとを確かめながら下りてきて、頭を下げて通っていった。
坂の下から、軽トラックがゆっくり上がってきた。荷台に空の発泡スチロールの箱を重ねている。月曜に梯子に上っていた男だった。窓を下ろして、老人に顎を引く。
「丹羽さん、雪囲いは済んだのか」
老人が訊いた。
「まだだ。今度の休みにやる」
丹羽、と呼ばれた男は、野口のほうを見た。五十を過ぎたくらいで、毛糸の帽子からはみ出た耳が赤い。
「あんた、夜は国道のほうによくいるだろ。よく見るよ、あんたの車」
「ええ」
丹羽は窓を上げて、坂の途中の自分の家の前に車を入れた。
雪かきを物置に戻して、ストーブをつけて布団にもぐった。昼前に雪はやんで、夜に出るころには道の真ん中だけが黒く濡れていた。




