14/20
研究日誌11:デッドライン
「仕事が終わらんちゃ!」
帳簿片手に怒鳴りこんで来たニーナ。
ギルドマスターの壮大な”アレイスタ叙事詩”は第4章の途中で幕を閉じた。
外はもう昏い。
くるみ亭にはスープの匂いが充満している。
オークのカツレツ、蒸し饅頭、レンズ豆のスープがテーブルに運ばれている。
食堂の音が胃袋を激しく攻撃してくる。
「この依頼は、受注にしていいのね」
ニーナと一緒に階段を降りる。
視線が痛い。
”ひまわり会”と”水連”の複合嫉妬。
ギルドマスターのせいで、いつもの食堂が今は別の色に見える。
依頼の難度は高い。
剣の練習は毎日している。
でも、瞬殺される自信がある。
依頼を断ったら?
嫉妬に狂うギルドマスターに屈するのも悔しい。
「うん」
それに、さっきの魔法。
どうして、水に変わったのか。
魔法が回転するのはなぜだろう。
どんっ。
大きな判をつく音。
いつもの音が、唐突に戻ってきた。
「クエスト【遺跡調査】が受注されました。達成条件はダンジョンボスの討伐です」
ニーナが耳を赤くして、受領票を渡してきた。
僕の背後で、ざわめきが大きくなった。
「……はい?」




