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【没作品】悪役転生9

 ギャング団「ダムド」の構成員は現在四名。僕、モンティ、アルチナ。そしてトリスタンだ。


 トリスタンは王室や冒険者ギルドに潜入するスパイの役割をこなしている。勇者なのに。


 そして僕が何をしているかというと、同じギャング団「フェンリル」の情報収集だ。


 フェンリルはスラム最大のギャング団であり、構成員は約百名。窃盗や人攫いはもちろん、違法薬物の販売まで手広く行っている。


 ボスの名前はカッサーノ。筋骨隆々の大男で、敵にも味方にも容赦しない。その代わり、功を立てた者にはしっかりと褒美を与える。


 明確な飴と鞭でフェンリルは成り立っていた。


「で、兄貴ィィ。誰を狙えばいいんですか?」


 ダムドの拠点に新しく設置した円卓。その上には三人の名前が書かれた紙がある。


『カッサーノ、ブリネッタ、ホッジ』


 カッサーノはもちろんフェンリルの頭領。ブリネッタは違法薬物を手掛ける幹部。ホッジは窃盗や人攫い等の荒事を担当する幹部だ。


「俺はブリネッタを狙う!」


 トリスタンが鼻息を荒くした。ブリネッタはフェンリルで一番の美貌を誇る悪女だからだろう。こいつ……勇者の癖に本当に女狂いだな。


「なるべく殺すなよ。薬物のノウハウは引き継ぎたい」


「分かっている。そんな勿体ないことはしない!」


 こいつ……本当にベビーフェイスなのか? とんでもない変態に思えてきたぞ。


「てことは、あっし等がホッジを潰すってことですね?」


「そうだ。幹部二人を潰し、カッサーノを追い詰め、一気に叩く」


「楽しみ」


 何かを想像して興奮したアルチナの背後に一瞬、死神が現れ、モンティが震えた。未だトラウマになっているらしい。


「ブリネッタの居場所はこの紙に書いてある。上手くやれよ」


 トリスタンに簡単な地図を渡すと、パッと受け取り立ち上がった。王家の支援を受け、その身を包む武具は見るからに高そうだ。腰にぶら下がる短剣も、業物なのだろう。雰囲気がある。


 マントでその身を隠しながら、トリスタンは拠点から出て行った。


「兄貴ィィ。あっし等はどうするんすか? ホッジは武闘派すよ?」


「決まっているだろ。アルチナになんとかしてもらう」


 アルチナはニコニコしていた。人殺しを命じられたのに嬉しそうだ。これが死神に憑かれた女か。


「ホッジがよく立ち寄る酒場が三軒ある」


 そう言ってモンティに地図を渡す。


「了解っす。あっしがアルチナを案内します」


 アルチナは俺と行きたそうにするが、流石にデイブの顔は割れている。ホッジに警戒されかねない。モンティは帽子をかぶれば印象が変わるから大丈夫だろう。


「上手くやれよ」


「うん!」



 モンティとアルチナが拠点からいなくなり、静寂が訪れた。


 トリスタンは現在レベル8。勇者補正でかなりステータスは高い。それにいざとなれば【光魔法】がある。ブリネッタに遅れをとることはないだろう。


 アルチナは寝る間を惜しんでのモンスター狩りをした甲斐あって、既にレベル10だ。ホッジのレベルが幾つかは分からないが、そこまで高くない筈。何度か死神の即死攻撃を当てれば、倒せる。


 問題はカッサーノだ。


 スラムを牛耳るギャング団のボスだけあって、かなり強い。そして用心深い。奴の居座るフェンリルの拠点には常時二十人近い構成員がいる。


 騒ぎを起こせば、奴は部下を平気で見捨てて逃げ出す。


 今のダムドの布陣でカッサーノを確実に仕留めるには工夫がいる。それは、原作知識のある俺にしか出来ないことだ。


「準備がいるな」


 俺はあるモノを手に入れる為に、闇市へと向かうことにした。

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