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【没作品】悪役転生6

「ギュー……」


 何体目だろう。ジャイアントラットが死神に命を刈り取られ、断末魔の鳴き声を上げた。


「アルチナ。そろそろレベルはあがったか?」


「……まだ。ごめん……」


「大丈夫。責めてはいない。もっとジャイアントラットを狩ろう」


「うん!」


 アルチナが元気に返事をすると、死神がスーッと地下水路の奥へ飛んでいった。モンティが灯りの魔道具で照らすと、早くもジャイアントラットの死体が魔石に変わろうとしていた。


 僕達が何をしているかというと、アルチナの育成だ。


 アルチナの固有スキル【死神】は文字通り死神を操ることが出来る。死神の大鎌に触れたものは即死。非常に強力なスキルだ。


 ただし勿論、制約もある。


 先ず死神の即死攻撃は成功率が100パーセントではない。相手のレベルがアルチナよりも低ければ低いほど決まりやすくなり、その逆で高ければ高いほど決まらない。


 アルチナをチート級の戦力にするには、とにかくレベルを上げるしかないのだ。


 また、アルチナ自身にも制限がある。障害があり、前日の記憶しか持たない。


 彼女をコントロールするには、毎日顔を合わすことが重要になる。


「兄貴ィィ。これ、いつまでやるんですか?」


「ここで最低でもアルチナのレベルを5まではあげたい。一週間はかかるかもな」


「げぇ! その間ずっと地下水路にいるんですか? 身体が臭くなっちゃいますよ〜」


「うるせえ! 最初からお前は臭いんだよ!」


「ひでぇなぁ兄貴は」


「……ふふふ」


 アルチナがこちらを見上げながら笑う。とても戦闘中とは思えない雰囲気だ。今倒しているのはジャイアントラットだが、相手が人間でも変わらない。アルチナは命を奪うことに何の抵抗もないのだ。


 その癖、依存心が強い。


 自分の気に入った相手にはベッタリだ。今も僕の身体にくっついて離れない。最初は心拍数が上がったが、流石にもう慣れた。


「さぁ、今日はあと百体狩るぞ」


「ご褒美ある?」


 前言撤回。アルチナの上目遣いに心臓が飛び跳ねた。この世界ではどこまでやっていいのだろうか? 暴力や奸計は勿論、多少のエロも『ロード・オブ・カオス』では許容されていた。


 それ以上のことも出来るかもしれない……。


「兄貴ィィー顔が緩んでますぜ?」


「うるせえ! 殺すぞ!!」


 モンティを蹴り上げると、アルチナがまた「ふふふ」と笑った。死神憑きのとんでもない女なのに何故か癒される。


 暴力と女。やはりこの世界は素晴らしい。


 早くアルチナを育てて、このニース王国の首都で暴れてやろう。手始めに傘下に置くのはどの勢力がいいか。


 死神が大鎌を振る姿を見ながら思案する。


 教科書通りに進めるなら、同じスラムのギャング団フェンリルの頭を暗殺することになる。そしてスラムで力をつけるのがセオリーだ。


 しかし、ゲーム序盤の今なら、奴を狙うのも面白い。まだ一介の冒険者に過ぎない「勇者」を……。

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