【没作品】悪役転生4
翌朝、ダムドの拠点で目を覚ますと、当たり前のようにモンティが駆け込んで来た。この辺りは原作に忠実だ。そう言えば、モンティは一体どこで寝泊まりしているのだろうか。謎だ。
「デイブの兄貴ィィ! ウチのシマの地下水路にモンスターが出たらしいっす!!」
この『ロード・オブ・カオス』はニース王国の首都を舞台としている。この首都の地下には生活排水が流れる水路が張り巡らされていて、モンスターやスラムにも入れないような輩達が蠢いているのだ。
「そうか。放っておけ」
「えっ! ウチのシマにモンスターが出たんすよ……!?」
「黙れ殺すぞ。放っておけ」
「……はい」
この「地下水路のモンスター」は美味しくないイベントだ。モンスター(ジャイアントラット)を倒しても魔石とちょっとしたドロップアイテムしか手に入らない。
放っておいてもジャイアントラットが地下で繁殖するだけなので、問題なし。
せっかく原作知識があるのだ。どうせなら効率よくいきたい。
「モンティ。売春宿に行くぞ」
「えっ! まだ早朝ですよ!! 早朝に働いてる女なんて年増か訳アリばっかりっすよ!?」
そう。僕はその訳アリに用がある。
まだ文句を続けるモンティを蹴り飛ばし、金庫から金を取る。
「兄貴ィィ……。本当に今から行くんすか?」
「お前が来ないなら、一人で行く」
「それは狡いっす! 自分も行きます!! 最近、女抱いてないんすよねー」
こんなモヒカン野郎に抱かれる女には同情するが、一人で行くとイベント発生の確率が下がる。
「よし。急ぐぞ」
俺はプレイヤーだった頃と同じように、スラム街に飛び出した。
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ニース王国の首都には売春宿は一つしかない。ただ、その一つが巨大だ。国の管理下にもなければギャングの管理下にもない。
もはや巨大な組織と言った方がいいだろう。売春宿「パシャ」はスラムにありながら、五階建ての豪奢なビルを構えている。
パシャのシステムは分かりやすい。階数が上がるにつれて娼婦のグレードが上がっていくのだ。
『ロード・オブ・カオス』においては金を貯めて最上階の娼婦を抱くことがプレイヤーの一つの目標となっていた。
「兄貴ィィ! もう勃ってきちゃいましたよ〜」
へらへらと下卑た笑いを浮かべるモンティを蹴り飛ばすと、パシャから出てきた客が迷惑そうな顔をした。
その立派な服装から貴族か裕福な商人だろう。一番値の張るお泊まりコースを楽しんだ後に違いない。
「へへ。兄貴。何階に行くんですか?」
パシャの入り口の前で最上階を見上げながら、モンティが尋ねる。
「一階だ」
「えぇ! 一階ですか!? 早朝の一階って一番危険じゃないすか? お目当ての子でもいるんすか……!?」
「いや、フリーで入るぞ」
「そ、そんな!! 早朝の一階。しかもフリー!? 兄貴は死ぬつもりですか……!?」
あぁ。その通り。僕は死神に会いに来た。




