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【没作品】悪役転生3

 この世界『ロード・オブ・カオス』には分かりやすいルールが一つある。それは誰かを助けると、必ず見返りがあるということだ。


 今回の場合は露天商だ。


 原作でも髭面のオヤジはダムドのシマで雑貨を売っていた。オープニングイベントのクリア報酬はこのオヤジからもらうことになる。


 ただし、何が貰えるかは「運」次第。ダムドでスタートする場合は露天商から貰えるアイテムがショボいとリセットしてやり直しすることが推奨されている。


 ただ、他のキャラクターに比べるとデイブの「運」は操作しやすい。もちろん、【愚者の天秤】によって。


 【 名 前 】 デイブ

 【 年 齢 】 20

 【 職 業 】 ダムドの頭領

 【 レベル 】 1

 【 体 力 】 30

 【 魔 力 】 10(−10)

 【 攻撃力 】 15(−15)

 【 防御力 】 10(−10)

 【 俊敏性 】 15(−15)

 【 魅 力 】 20(+20)

 【  運  】 5(+30)

 【固有スキル】 愚者の天秤

 【 スキル 】


  ここで多くのプレイヤーはデイブのステータスを運に全振りする。攻略サイトにもそう書いてある。


 しかし、僕の考えは違う。『ロード・オブ・カオス』をやり込んだ実感としてそれは間違いだ。


 運は単純に当たりの確率を高める。


 ただ、一等賞の景品をより良いものにしたいなら、魅力も重要だ。魅力のステータスは報酬の最大値を引き上げる効果がある。と僕は思っている。


 この世界にリセットがあるかは分からない。死んだらそのままの可能性がある。つまり、一発勝負だ。



 さあ、露天商がこちらに近づいてきた。


「デイブさん、ありがとうございます」


「怪我はなかったか? フェンリルの奴等が来たらいつでも言ってくれ。追い払ってやる」


「なんと頼もしい。あの、助けていただいたお礼にこれを」


 露天商が肩掛けバッグから何かを取り出す。さぁ、何が貰える……?


 差し出されたのは真っ黒なナイフだった。鞘から抜いて見ると、刃まで黒い。


「兄貴ィィ? 何をもらったんすか?」


「うるせえ! 殺すぞ! 今、いいところなんだよ!!」


 しゅんとするモンティを軽く蹴り飛ばし、露天商へと向き直る。


「これは?」


「引退した冒険者から買い取ったものです。何やら特殊な効果があるらしいですよ」


 よしっ! 来たァァ!! これは当たりだ!! いきなり魔剣の類をゲットしたぁ!!


 特殊効果を持つ武器はこの世界では「魔剣」と呼ばれる。ナイフでも短剣でもメイスでも、まるっと「魔剣」だ。


 見た目が真っ黒なナイフには幾つか心当たりがある。


 インベントリウィンドウがあれば武器の名前も表示される筈だが、残念なことに開かない。ステータスしかUIがないようだ。


 こうなれば試してみるしかない。


「モンティ、右手を出してくれ」


「えっ、なんすか兄貴」


 訝しげな表情で差し出されたモンティの右手の甲を薄く、黒いナイフで撫でる。少しだけ血が滲んだ。


「モンティ、身体の調子はどうだ?」


「兄貴ィィ! 何したんすか!! 動けないっす!!」


 大声に露天商が引いている。


「うるさい。騒ぐな。ちょっと効果を試しただけだ」


「身体が動かないっす! なんとかしてくださいよ!」


 なるほど。「影縛りのナイフ」だったか。


「もう数秒で動けるようになる筈だ」


「ほ、本当ですか……? このまま一生動け……動けたっす」


 モンティは嬉しそうに走り回る。首から伸びた鎖を振り回しながら。とても迷惑だ。


「良いモノを頂きました。ありがとうございます」


 露天商が不思議そうな顔をする。あぁ、そうだ。つい、素の言葉遣いになってしまった。


「おらっ、モンティ! 行くぞ!!」


 モンティを軽く蹴り飛ばし、拠点へと戻る。とりあえずオープニングイベントは大成功だ。

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