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小石川ダイエットチャンネル

◇あらすじ

 人間ドックで医者からこっぴどく肥満を叱られ、ついに痩せることを決心した巣立タケシ、45歳。しかし、彼は運動が大嫌い。なんとか運動せず、食生活もなるべく変えずに痩せる方法はないかと模索を始める。会社の部下を巻き添えにして。そして彼が出した結論は動画配信サイトでダイエットチャンネルを始めることだった! 絶対に運動しないダイエットコメディ、開幕!


◇登場人物


・巣立タケシ

 小石川ダイエットクラブの創設者。45歳、身長166センチ、98キロ。格闘家マニア。空想家。株式会社ビルロビンITソリューション部の部長。


・前園コウシロウ

 小石川ダイエットクラブのメンバー。28歳、身長170センチ、90キロ。グルメマニア。ツッコミ気質。株式会社ビルロビンITソリューション部の平社員。


・林道ケン

 小石川ダイエットクラブのメンバー。33歳、身長182センチ、112キロ。地下アイドルマニア。騙されやすい。株式会社ビルロビンITソリューション部の平社員。


◇第一話「小石川ダイエットクラブ設立!」


「……巣立さん、また太りましたね」


「えっ、そうですか? ズボンとかはサイズ変わってないですよ?」


「去年より5キロ増。胴回りも確実に太くなっていますよ。どうせ、ウエストがゴムのズボンを穿いているんでしょ?」


 メディカルチェアの上で脚を組んだ女医は冷たい視線を男──巣立タケシ、45歳──に向けながらそう言った。その口調は呆れを含んだもので、女性に対しては気弱な男は丸い身体を強張らせている。


「今の生活を変えなければ来年には100キロを超えているでしょね。お仕事も忙しい様ですし、今までは表面化してこなかった身体の不調が一気に出てくる頃ですよ!」


 女医は急に語気を強めた。巣立が女医の話半分にスマホを弄っていたからだ。


「す、すみません! ちょっとお客さんから連絡が来ていて!」


 巣立は慌てて弁解する。その額からは汗が噴き出していた。見るからに暑苦しい。


「別に怒っている訳ではないです! ただ! 巣立さんに自分の身体について、真剣に考えてもらいたいだけです!」


 立ち上がらんばかりの勢いの女医の姿を見て、巣立は俄に自省した。なるほど、確かに腹は出てたっぷりと丸い。顎はなくなり、顔はそのまま首へと繋がっている。


「……あの、やっぱり痩せた方がいいですかね?」


「当たり前です!!」


 女医から放たれた言葉に背筋をピンと伸ばし、巣立は立ち上がった。その姿にはある種の決意が感じられる。


「分かりました! この巣立タケシ、見事に痩せて見せましょう! 一年後、ここに立っているのは別人のようにスリムになった私です!!」


「その言葉、忘れないで下さいよ!!」


「もちろんですとも!!」


 盛大に啖呵を切った巣立はくるりと身体を回して、診察室を後にした。



#


「と、言うわけなんだ」


「「はぁ」」


 巣立の前には困った表情を浮かべる男が2人いる。赤い頬っぺたをした若い男、前園コウシロウとのぺっとしたデカい男、林道ケンだ。2人とも世の基準に照らし合わせると、ぽちゃを超えた肥満だ。


「はぁ、じゃないだろ! 危機感を持て!」


2人のリアクションに不満を覚えた巣立が声を張る。


「いやいや、だってそれ、部長の話でしょ? 僕や先輩には関係ないっす」


 若い世代は自分の意見をしっかりと主張する。それは前園も例に漏れない。口を尖らせながらカン高い声を上げる。


「関係ないだと? 自分達の腹を見てみろ! 俺よりも遥かに若い癖に随分と立派なメタボ体型じゃないか?」


「「……」」


2人は示し合わせたように自らの腹に手を置いた。


「悪いことは言わない。2人は俺と同じでように、身体に気を遣って痩せるべきだ」


「自分、運動苦手なので……」


「僕も無理っす。運動すると体調崩すので」


「うむ。俺も運動は苦手だ。なんなら食事制限をするつもりもあまりない」


 部下2人の言葉に巣立も同調してしまう。


「えっ、部長それ、痩せる気ないでしょ?」


「馬鹿なこと言うな! 痩せる気満々だ! 俺達は運動も食事制限もしないでマイナス20キロを目指す!」


「ちょっと! 勝手にチームにしないで下さいよ!」


 最近の若者は個人主義だ。顔を赤くして抗議する。


「三本の矢の話を知らないのか! 1人だと挫けてしまうが、3人で協力すればきっと大丈夫だ!」


「じ、自分はやってもいいですよ」


 巣立の主張に、この中で一番体重の重い林道が口を開いた。


「おお、そうか! やってくれるか、林道! もう痩せたも同然だな!」


「ちょっと先輩! 裏切らないで下さいよ!」


「ま、前園君だって実は体重気にしてるだろ? いい機会じゃないか」


「先輩、体重は重い癖に流されやすいですね。僕は利益がないと動かないですよ?」


その言葉に巣立の瞳がギラリと光った。


「そう言うと思って収益化も考えているぞ!」


「「収益化!?」」


「そうだ! 俺達3人のダイエットの様子を動画配信サイトで公開する! もう、ただ体重を減らしす時代は終わったのだ! これからは痩せて、儲ける!」


「痩せて儲ける……」


平社員で薄給の2人が息を呑んだ。


「チャンネル名は、そうだな。会社の場所にちなんで小石川ダイエットチャンネルでどうだ?」


「「異議なし!」」


「よし、決まったな! それではこれを渡しておく」


そう言って巣立はバッグから



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