表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士学院生は、今日も元気ですっ!(落ちこぼれ呼ばわりされても、くじけません)  作者: nanoky


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/85

(76)

 太師は、眉間を、人差し指と親指で揉みほぐした。


 師弟思いのニエザは、師父へ訴えた。

「リーユエンは我慢強いから、ドロメルからの嫌がらせに文句も言わず黙っていますが、彼女が何者なのかを明らかにして、もう嫌がらせをされないようにした方がよくありませんか。

 だいたい、学院長からの無茶振りで、担任を引き受けた上に、今度は太極石まで作らされるんですよ、さらにその上、嫌がらせまでされたら、酷ど過ぎますよ」

 

 太師は、長いため息をついた。

「リーユエンの身分が知られてしまったら、それ相応の警備が必要になる。

 しかし、今、護衛を頼める適当な者がいないのだ。

 シュリナは、武術には優れているが、魔導士相手では役不足だ。

 乾陽大公殿下は、ミレイナ王女とご結婚なさったので、気安く頼めない」

 

 ニエザは、肩をすくめ首をふった。

「そうはおっしゃいますが、学院島内でリーユエンに勝てる相手なんて、多分いないと思いますよ。リーユエンは階梯では、おそらく、師父と同じ階梯なのでしょう?」

 

 太師は、ニエザの顔をチラッと見た。

「確かに、あのお方は、ご自身の体内で、太極石を自ら作り出せるお方なのだ。魔導士相手で、負けることはなかろう。それでも、万が一ということがある。

 それにご身分を知られてしまうと、教師として接する者がいなくなるかもしれない。やはり、本当のご身分を、周りに知られない方がいいだろう」

 

 その後、太師は、生徒五人を、ニエザに紹介し、使役魔獣ソアラスにも引き合わせた後、プドラン宮へ帰った。


 ヨーダム太師が帰ったあと、早速、ロージーが、ニエザへ話しかけた。

「ニエザ様は、リーユエン先生の師兄でいらっしゃるのですね。

 教えてくださいな。リーユエン先生って、普段はどんな感じでいらっしゃるのかしら」

 

 目をキラキラさせて自分へぐいぐい迫ってくるロージーに、ニエザはヒーッと身を仰け反らした

「ロージー、今は授業中ですよ。私語はいけません。朝は、調息法と導引術の時間です。これが魔導術の根幹をなす修養法なのですから、しっかり励みなさい」

 普段はのんびりしているニエザも、リーユエンの代役をしっかり務めなければと使命感に溢れ、キリッとした顔で生徒たちへ指示した。

 しかし午後になると、またもやロージーは隙をついて、ニエザへ話しかけた。

「ニエザ様は、先生の師兄でいらっしゃるのだから、さぞや、魔導術に優れておいでなのでしょうね。ニエザ様の得意な術は何なのですか」

 

 それには、他の生徒たちも物凄く知りたそうな顔つきなので、ニエザもとうとう雑談に応じてしまった。


「私が得意なのは、空中浮遊、空中飛行術です」

 

 それを聞いてモンシェンの顔が輝いた。

「すごい、空を飛べるんですね」


 ニエザは、少し得意げに訂正した。

「ただ、飛べるだけではありません。私は五人程度の人なら、術で一気に空を運ぶことができます。荷物も荷車一杯ぶんくらいなら、空を運ぶことができるのです」

 

 モンシェンは、ますます興味を持った

「一人で飛べるだけでなく、人や荷物まで運べるのですね」


 ロージーが待ちきれなくなって尋ねた。

「それってどうやって飛ぶのですか、普通の飛び方とは違うのですか」


 ニエザは皆を見回した。

「せっかく皆さんと授業を行う機会を得たのですから、本日の午後の授業は、飛行術についての特別授業を行いましょう」と、そこまで言った時には、ロージーもモンシェンも、目は満天の星空状態だった。


「飛行術を自分のものとするには、(ルン)の制御を完全に行う必要があります。それには、最低でも第四階梯に達する必要があります。

 ただし、少し浮揚するくらいなら、第三階梯でも可能です。そして、素早く移動し、大量の物資を運ぶには、第五階梯に達しておく必要があるのです」


 ロージーが挙手して質問した。

「では、私たちでも、第三階梯に達し鍛錬すれば、空中を浮遊することできるのでしょうか?」


 ニエザは、真面目な顔で頷いた。

「一生懸命に鍛錬すれば浮遊程度までは可能です。

 ただし、風を制御し、強弱の変化を自在に操る段階にならなければ、一定の方向へ移動することはできないので、ただ同じ場所に浮いているだけになります」

 

 モンシェンが、大きく頷いた。

「なるほど、だから最低でも第四階梯に到達することが必要なのですね。

 第三階梯の次の段階は、風の強弱の制御ができる段階なのですね」


 ニエザは、内心少し喋り過ぎたかな、と思った。

「自分が達した階梯より数段上の階梯を知ることは、焦りを生み、修行の妨げになるので、詳しい説明はできないのです。

 私が今お話ししたことも、あくまでたとえ話としてご理解ください。とにかく、飛行術の要は風の制御なのです。風を制御する練習には、飛行術の鍛錬は非常に向いていると思います」

 

 ニエザは、その日の午後いっぱい、飛行術の準備段階として調息法の訓練を念入りに行った。

「あなたたちは、夏季休暇前の叙勲式典で、団体演技を成功させたそうですね。

 魔法陣を皆で構成し、術が展開できたのですから、第二階梯には、ほぼ到達できているはずです。つまり、中央経絡へ霊力を流せる状態になっているということです。

 五人全員で霊力を循環させ、魔法陣から打ち出して空中で華を咲かせることができたのは、一人一人が受け取った霊力を中央経絡へ流しこみ、増幅していくことができたからです。

 

 そして、次に目指すべき第三階梯は、自ら風を取り込み、中央経絡の中へ風を通せる段階です。自分自身の固有の霊力と、外から取り入れた風を合わせることで、霊力を強め魔力へと変え、魔導術として外へ作用する力へ変換できるのです」

 

 モンシェンは、真剣に聞いていた。

 

 自分の霊力は強いのに、肝心な場面で制御に失敗するのを悩んでいたのが、ニエザの目指すべき階梯の説明で、目の前が開け、明るくなった。

 自身の霊力を、外から取り入れる風と合わせることで、霊力の発動ムラを、安定させることができると気がついたのだ。モンシェンは、俄然やる気になり、その日は、いつも以上に、調息法に熱心に取り組んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ