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魔導士学院生は、今日も元気ですっ!(落ちこぼれ呼ばわりされても、くじけません)  作者: nanoky


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 その翌週、第二回生は、野外演習のため、中央山嶺の麓に広がる森林へ出かけた。


 森林の入り口にあたる、透き通るような翡翠色の水を湛えた沼の辺りで、ハイネル教授が、生徒たちを前に、本日の実習課題を説明した。


「本日は、君たちに、薬草を採取してもらう。

 今から薬草の特徴を書いたリストを渡すので、クラスごとの籠へ、その薬草を入れること。

 薬草を採取する時は、そのリストをよく読んで、正しい方法で採取すること。採取部位の指定がある場合、その部分から上を採取しなさい。全草の指定がある場合は、根を掘り起こし、すべて採取すること。

 籠に入れるときは、全体を広げて、丁寧に押し潰さないように入れなさい。それから、かぶれる場合もあるので、手袋を着用しなさい。

 なお、群生状態の草はすべて刈り取らず、必ず全体の三割を残しなさい」


 説明と注意を一旦終えたハイネル教授は、クラスごとに本日採取するべき薬草の一覧表を渡した。


 第三クラスでその一覧表を受け取ったのは、マルテンだった。彼は一覧表を見るなり、目を輝かせた。


「ファルフギウム(葉を採取、腫れ物治療用)、

 インカルヴィレア(全草採取、解熱用)、

 アトゥラクティロデス オヴェタ(全草採取、胃腸薬、鎮痛、利尿薬用)

 ビストルタ・オッフィキナリス (全草採取、消炎、解熱、止瀉薬用)、

 ディアントゥヌス・ロジカリキヌス(花を採取、利尿薬用)、

 ポドフィルム・アウランティオカウレ(全草採取、解熱薬)、

 マンドレイク(全草採取、鎮痛、鎮静、下剤用)、

 ポリゴナトゥム・プルリフロルム(地下茎を採取、打ち身、捻挫の湿布薬)、

 キミキフガ シンプレックス(全草採取 解熱、解毒薬用)、

 コプティス(全草採取 解熱、胃腸薬用)

 凄い、十種類もある。これ、全部この森の中に生えているなんて」

 マルテンは、感激した。

 

 ハイネル教授が、説明を続けた。

「資料の一枚目には、本日採取してほしい薬草と効能を一覧表にしてある。

 二枚目には、その薬草を見つけるためのヒントと、簡単な全草図を記しておいた。

 三枚目には、この森の地形図を添付しておいたから、参考にしなさい。

 クラスの中で手分けして、頑張って探してもらいたい。今から三時間、すべて見つけるのは難しいかもしれないが、集中して探しなさい」


 第一クラスも第二クラスも、二枚目のヒントを読んだが、どうしたらいいのか全然わからず、とりあえず、ゾロゾロと森へ入って行った。


 ところがマルテンは、二枚目の資料をじっくり読み込み始めた。

「ファルフギウムは日陰に多い、六寸から十七、八寸の葉柄。分厚く艶がある。

 インカルヴィレアは、高山に自生、岩場や草原に生える。葉は長い柄を持ち卵状。

 アトゥラクティロデス オヴェタは、乾いた草地から林縁にかけて自生。花は羽状で魚の骨を並べたよう。

 ビストルタ・オッフィキナリスは、日当たりの良い草地から高山地帯まで自生」

 

 そうやって、マルテンは一つ一つの項目を読み込んでいき、資料の三枚目の、森林全体の白地図の中へ、その草が生えていそうな場所を丸く囲み、名前や特徴を書き込んで行った。


 それが完成すると、ヨーダム太師のところへ持って行った。

「先生、この地図をクラスみんなに渡したいので、転写魔法で写しを作ってください」

 

 ヨーダムはその地図を見ると、微笑んで、

「よくできている。わしも一枚もらっておこう」と言いながら、杖を一振りし、地図を五枚複写した。


「ありがとうございます」

 マルテンは、太師へお礼を言うと、皆の方を振り返り、

「これから日当たりのいい場所と、日陰に分かれて、それぞれの場所に生えている薬草を見つけ出そう」と提案した。


 そして、皆で相談し、日当たりのいい草地と林はタロナとロージーが担当し、それ以外の日当たりの悪いところや、高山は、マルテン、モンシェン、ハンツォンが担当することになった。


 ヨーダム太師は、杖を倒すとその上に立ち、空中へ浮遊した。そして、上空から、生徒たちの様子を見守ることにした。

「最初、ドゴロフから聞いた時は、第三クラスは落ちこぼればかりのように聞いておったが、どうして、どうして、なかなか良くまとまったクラスではないか。それにあの、マルテン、なるほどリーユエンの言っていた通り、パパディの身内だけあって、自分の興味の対象に対する集中力は素晴らしい、全く面白い子供ばかりで、実に楽しいクラスだ」

 

 他のクラスの生徒たちは、皆、森の中を彷徨い、それらしい植物を見つけては、二枚目の資料にある全草図と見比べて、首を傾げていた。


 ハイネル教授も空中から皆の様子を見ていて、誰かが草を採取するかどうか迷っているのを見つけると、その度に降下していき、その草がなんであるのかを説明した。


 中には、そっくりな草で毒草を間違って摘みそうになる生徒もいるので、ハイネル教授は目の回る忙しさだった。


 第三クラスだけで実施するつもりが、他クラスの担任に請われ三クラス合同開催になったので、大変だった。けれど、地味で人気のない本草学の授業を、若い生徒にできることは、ハイネル教授には嬉しいことだった。


 特に、第三クラスのマルテンは、本草学の造詣が深く、将来有望な生徒が見つかり、ハイネルにとっては充実した一日だった。

 

 朝から採取を始め、森の入り口に置かれたクラスごとの籠には、明らかな変化が現れた。


 第一クラスのカゴは、生徒の一人が、偶然、ビストルタ・オッフィキナリスの群生地を見つけたので、そればかりが、かごの半分くらいまで入れてあった。

 

 第二クラスは、二、三種類が籠の底に少し置いてあるだけだった。


 そして、第三クラスのカゴは、彼らが手分けして探し当て採取した薬草で、一杯になっていた。

 

 それを見た第一クラス担任ペリオンは、頭を振ってため息をつき、第二クラス担任エスメルは、眉間に皺を寄せ、険悪な表情となった。

 


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