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魔導士学院生は、今日も元気ですっ!(落ちこぼれ呼ばわりされても、くじけません)  作者: nanoky


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 模範試合ではリーユエンに完敗、叙勲式では生徒のゲレッツォが魔力枯渇で倒れてしまい、生徒の虐待ではないのかと、ゲレッツォの両親から詰め寄られた。

 

 一方、リーユエンの受け持つ第三クラスは、二回生クラスの中で唯一、演技を成功させたのだ。


 エスメルはリーユエンに面子を潰され続け、恨み骨髄状態だった。

 後期授業開始早々に、一月も離脱すると聞いたからには、徹底的に批判し、評価を下げてやろうと意気込んだ。そのエスメルに、誰も恐ろしくて反論できなかった。


 さらに、エスメルのこの発言は、『ドロメルの派閥は、リーユエンの休職に協力しない』という宣言に等しかった。


 しかし、ペリオンが慌てて挙手し、立ち上がって発言した。

「事情はどうあれ、私は同じ学年の担任として、リーユエン先生の休職の間はできる限りの支援協力はさせてもらう。クラス内の生徒を引き取った方がいいのなら、一組の方で預かっても構わない」


 もちろんこの発言は、先日のサラザル当主デリオンの指示に基づくものだった。


 リーユエンは立ち上がり、落ち着いた様子で発言した。

「休職については、ご迷惑をおかけする事態となって心苦しく思っております。

 ですが、第三クラスについては、すでに学院長からの御了承もいただき、代行担任として、ヨーダム太師と私の師兄ニエザの赴任が決まっております」

 

 教師全体に衝撃が走った。


「ヨーダム太師が臨時講師なんて、嘘だろう。どうやって引っ張り出したんだ」

「それに魔導士塔の引きこもり男まで参戦って一体どうなってるんだ」


 大物と引きこもり?の参戦に、皆、教師の威厳も忘れてざわついた。

 

 リーユエンは、エスメルの反発など予定済みだった。

 隊商の中では、揉め事なんて日常茶飯事、揉め事を即座に解決する決断力とメンタル強強がないと、やっていけないのだ。

 エスメルの横槍くらい平気だった。

 ただ、サラザルを代表するペリオンが、いつもの傍観ではなく、自分へ協力的であることは予想外だった。

 


 臨時の職員会議が終了して三日後、魔導士塔へヨーダム太師とニエザが訪れた。


 魔導士塔の上空では隠形術で姿を消した学院内の教授、教師たちや、一部の学生まで、名高いヨーダム太師を一目見ようと飛び回り、互いに接触や衝突して、墜落する者までいた。


 その気配を煩わしく感じたリーユエンは、魔獣ソアラスに、上空の者たちを追い払うよう指示した。

 

 南側の庭園で、リーユエンは、ヨーダム太師とニエザへ、担任する第三クラスの五人の生徒を紹介した。

「みんな、こちらのお二人は、私の師父でいらっしゃるヨーダム太師と、師兄でいらっしゃるニエザです。

 私はやむを得ない事情で、一ヶ月間休職するので、その間、この二人があなたたちを指導します、みな、一人ずつ自己紹介しなさい」


 モンシェンが緊張した面持ちで、直立し揖礼した。

「モンシェンと申します。村で亡くなった魔導士の後を継ぐのが目標です」


 次にロージーが立ち上がり、ヨーダム太師とは、もう顔見知りなのに、初対面のフリをし、しおらしい態度で揖礼した。

「ロージーと申します。調整魔獣飼育の道へ進むのが目標です」


 次にハンツォンが立ち上がり揖礼した。

「南荒から来たハンツォンです。まだ、目標ははっきり決めていませんが、南荒と北荒の魔導術の違いを詳しく知りたいと思っています」


 その次にタロナが立ち上がり揖礼した。

「タロナと申します。私の目標は、共情治療士になることです」


 最後にマルテンが起立し、揖礼した。

「マルテンと申します。遠縁の呪い医師のあとを継ぐのが目標です」


 ヨーダム太師は、五人の自己紹介に深く頷きながら聞き入った。

 自己紹介を聞き終えた太師も起立して、皆へ揖礼した。

「わしはヨーダムだ。弟子のリーユエンがやむを得ない事情で、一月間、学院島を離れることになった。

 その間、君たちを指導する。わしの都合が悪い時は、こちらのニエザが指導にあたる。

 指導方法は基本的にリーユエンと変わりはないと思うが、わからないことがあれば、遠慮なく尋ねてくれ」

 

 そして引き継ぎが終わり、ニエザの操る絨毯に乗り、リーユエンはプドラン宮殿へ戻った。


「師兄、わざわざ送っていただいてありがとうございます」

リーユエンは絨毯の上で兄弟子ニエザへ礼を言った。

ニエザは、笑った。


「遠慮することはないよ。リーユエンは瑜伽業に入らないといけないから、移動で力を消耗しない方がいい。

 猊下と、学院島の動力炉が千年くらい保てるくらいの太極石を、頑張って作ってよ」


 ニエザも卒院生なので、学院島が危機的状況あると聞いたからには、助力を惜しまない覚悟だった。

 ただ、ニエザは、リーユエンの強行日程が心配だった。


「でも、リーユエンも大変だね。担任を受け持たされて、その上、魔導術概論の講義までするんだからさ。

 学院長も、人使いが荒いな。

 瑜伽業が終わって五日目にここへ帰ってくるから、迎えに行くって予定で聞いているけれど、五日目にここに到着するなら、プドラン宮を、遅くとも、業が終わって三日目の早朝までには出発しないと間に合わないよ。そんなに少しの休養で本当に大丈夫なのかい?」


「日程調整したかったのですが、ドロメル派の教師が、私が補講できそうな日の講義室を全て予約を入れてしまっていて、使えないのです。

 最悪、資料を渡すだけにするかもしれませんが、業を終えて五日目なら、まあ、なんとかなると思います。

 講義にまで穴を開けたくありませんから」


「リーユエンは本当に昔から生真面目だよ。無理しちゃダメだぞ。ドロメルの連中なんか、本当のことを言って蹴散らしてしまえばいいのに、休職って言っても、学院長の職務命令も同然で、仕事の一環みたいなものなのに」

 ニエザは、リーユエンが不当に扱われている気がして、納得いかなかった。

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