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魔導士学院生は、今日も元気ですっ!(落ちこぼれ呼ばわりされても、くじけません)  作者: nanoky


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 話し合いの結果、リーユエンは担任になることを承知した。師父であるヨーダム太師と学院長から直々に頼み込まれては、引き受けるしかなかった。

 

 三人の間で話し合いが進むにつれ、猊下は、浮かない顔となった。

 

 玄武国内に留まるとはいえ、魔導士学院は、現在、プドラン宮殿から遠く離れた北嶺の奥深く、永久凍土の上に広がる大森林地帯やバルガン湖の上を漂っているのだ。そのような遠方へ、リーユエンが行ってしまったら、もう離宮で、ふたりっきりで、あんなことやこんなことをするのは、当分できそうもない。そう思うと悲しくなり、


「本当に行くのか、一度、行ってしまうと、当分、離宮には戻れないだろう」と、リーユエンへ話しかけた。


「どうせ、毎日忙しくて、猊下と月に一回しかお会いできない状態が続いているのですから、学院に出向いても、それほど変わりはございませんよ」と、そっけない返事が返ってきて、ドルチェンはますます落ち込んだ。

 

 リーユエンは、しょんぼりした猊下の様子を見て、さすがにまずいと思い、猊下の大きな手をそっと両手で持ち上げ、紫眸を煌めかせ、

「学校が休みの日には、ちゃんと戻ってまいりますから、そのようにがっかりなさらないでください」と、優しい声でささやいた。

 

 ふたりがいちゃつきはじめても、太師も学院長も目をあさっての方向に逸らし、何も見てません、聞いてませんと、しばらくの間、知らんふりしてやり過ごした。


 三日後、リーユエンは魔導士学院へ赴任した。


 魔導士学院は、空中に浮かぶ大きな島に中にある。

 島が空中を浮いて、玄武国内を一定の軌道のもと何十年もかかって移動し、周回しているのだ。


 ところが、七年ほど前、リーユエンが魔導士学院へ入学したとき、ドルチェン猊下は、彼女を手元から離すのが嫌で、軌道を法力で強引に変えてしまい、しばらくの間プドラン宮殿の近辺に留めていた。そのため、今は、その反動で玄武国内でも最北の果てを浮遊中なのだ。

 

 学院長は、魔導士服姿でフードを目深に被った彼女を、二回生の宿舎棟へ連れていった。他の学年担当と第三クラスの生徒に顔合わせするためだ。

 

 低学年の宿舎は、島の沿岸部の低地にある。

 島は中央部は標高が高く、険しい山岳地帯で、沿岸部は平地だった。魔導士修行を始めたばかりの生徒は、移動手段が徒歩しかないため、低地の宿舎を利用するのだ。


 島の岸辺にあたる外周には、白砂が帯状に広がり、そこから奥へ進むと緑豊かな草原地帯に出てその向こうに林があり、さらに奥には森林と湖沼が点在し中央部の険しい山岳へと続く、中央部へ進むにつれ、傾斜がつき険しい地形へと変わっていくのだ。

 

 三階立ての山小屋風の宿舎へ入るなり、叫び声が聞こえた。


「出て行けって、いきなりどういうことですか」


「そうですよ。私たち、ここを追い出されたら、どこで寝泊まりしたいいんです?」


「いくら、先生だからって、いきなり私たちを追い出す権限なんか、あるんですか。私は、学院長に断固抗議いたしますわ」


「うるさいっ、黙りなさいロージーッ」

 

 最後に金切声が響いた。けれどその声よりも、その直前の女の子の声に、リーユエンの体は硬直した。

(あれって、もしかして・・・まさか、こんなところにいるなんてありえないはずだ)

 

 学院長は、扉を開け放ち、

「どうしたんだね、朝から大騒ぎをして、何事だね」と、穏やかに声をかけた。

 

 学院長へ、魔導士服姿の艶やかに波打つ血のように赤い髪に、緑色の眸の勝ち気そうな顔立ちの女が揖礼した。

「学院長、わざわざお越しになられるとは、どうされました」

 

 学院長は、リーユエンへ素早く目配せし、その赤髪の女教師へ

「エスメル先生、第三クラスの生徒を前に揉めているようにしか、わしには見えんのじゃが、一体何事かな?」と、尋ねた。


 すると、輝く黄金の巻き毛にサファイヤのように輝く青い目の、魔導士服姿の美少女が進み出て、

「学院長、聞いてください。エスメル先生が、この宿舎に三クラスとも入るのでは、手狭すぎるので、ここから第三クラスの者は出て行きなさいっておっしゃいますのよ」と、訴えた。

 

 学院長は、眉尻を下げ、困惑した様子で、その生徒とエスメル先生を交互に見ながら、

「えっと、君は確かロージーだったね。エスメル先生、この子の言っていることは本当なのかね?」と、尋ねた。


 リーユエンは、ため息が出そうになるのをこらえた。

 

 第三クラスの生徒は五名と聞いていたが、まだ名簿の確認ができていなかった。書類を見る間もなく、学院長がいきなり彼女を宿舎へ連れてきたからだ。けれど、目の前にいるのは、ロージーこと金杖王国王女殿下のサンロージアであることは間違いなかった。


(王女殿下は、もう魔道具に手は出さないと言っていたのに、どうしてここにいるんだ?それにあの超難関試験を通ったのか???)

 

 エスメルは、顎をぐいっと上げ、目を細め、腕組みして五人の生徒を見下ろしていった。

「ええ、言いました。この宿舎は、第一クラスと第二クラスの専用とします。ですから、第三クラスの生徒は、他の宿舎へ移るよう指示しました」

 

 学院長は、この無茶苦茶な指示を撤回させようと、口を開きかけたが、リーユエンが先に前へ進み出た。そして、エスメルへ丁寧に揖礼すると、

「初めまして、リーユエンと申します。この度、第三クラスを担当するよう学院長から言われております。宿舎を第一と第二クラスのみの専用にされたい理由を教えてください」と、もの静かに尋ねた。

 

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