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魔導士学院生は、今日も元気ですっ!(落ちこぼれ呼ばわりされても、くじけません)  作者: nanoky


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(24)

 面談を終えたリーユエンは、生徒たちが自習中の南側の庭園へ移動し、彼らへ

「午後からは、学院長と打ち合わせをするので、君たちは、夕方ソアラスに騎乗して食堂へ行きなさい」と、指示した。


 リーユエンから名前を呼ばれたソアラスが空から降りてきた。

 

 魔獣姿のソアラスを間近に見た生徒たちは、顔を引き攣らせた。

 

 ハンツォンは、大柄な豹が黒々とした蝙蝠の羽を羽ばたかせ折り畳んで着地した姿に、あんな恐ろしい姿の凶暴な魔獣が、自分達を大人しく乗せてくれるはずがない、リーユエン先生は無茶を言い過ぎだと思った。


 ところがロージーは目をか輝かせて歓声をあげた。

「まあっ、嬉しい。魔獣に乗ってもよろしいのですね。一度乗ってみたかったのですわ」

 

 残りの三人は、皆、ハンツォンが思ったことと同じような事を考えていた。

 

 リーユエンはそばへよってきたソアラスの顎の下を撫でながら、

「ソアラス、彼らの食堂への送迎を頼む。生徒だけで、食堂に行くのは時間がかかりすぎるし、不用心だ。よろしく、頼む」と、言った。

 

 喉をゴロゴロ鳴らした後、ソアラスは金色の目をリーユエンは向け、うなずいた。

「任せとけっ、みんなをちゃんと食堂へ連れて行って、夕ご飯が済んだら、全員、連れて帰ってきてやるぜ」 

 そう言うと、ソアラスは生徒たちを見回し、ニヤッと牙を剥き出した。


 豹顔で笑うと、幅広の鼻筋に皺がより、実に凶悪な笑顔になって、ロージーとマルテン以外は皆恐ろしさに竦んでしまった。

 

 ロージーはソアラスへ近寄り、

「では、ソアラス、夕方は私たちの送迎をよろしくお願いしますわ」と、頭を軽く下げ、次に遠慮がちに

「私もあなたを撫ででもよろしいかしら?」と、尋ねた。

 

 ソアラスは、ロージーを見下ろし、

「獅子のお嬢ちゃん、あんたは主人の大切な生徒だからな、俺のことを撫でてもいいぜ」と、鷹揚に許可した。

 

 ロージーは、満面の笑顔で、ソアラスを撫で回した。

 

 ソアラスは喉をゴロゴロ鳴らし、目を細めた、八頭の蛇が先端につく八本の尻尾も、気分を反映してふさふさと左右へ揺れた。その様子を見て、他の生徒たちもこれなら何とかなるかもと、少し安心した。


 生徒たちと一緒に、朝の焼いたパンとスープの残りと、瓶詰めの魚の油漬けと酢キャベツで昼食を済ませたリーユエンは、六尺棒を顕現させ、それに乗ると空へ上昇し、沿岸部に近い林の中、丘の中腹に建つ学院長舎へ向かった。

 

 それを見送りながら、マルテンは

「リーユエン先生は、空をあんなに速く飛行できるんだ」と、つぶやいた。

 

 モンシェンも、見る見る小さくなる後ろ姿に

「あんな風に術が使えるようになりたい」と、漏らした。

 

 タロナは、細い棒の上に立ったままで飛べるなんて、どうしてそんな事ができるのだろうと不思議に思った。

 

 ハンツォンは、(飛行術?神聖大鳳凰教では、邪術扱いなのに、北荒の魔導士は使っているんだ)と、驚いた。 

 ロージーは、

(さすがは、私が配偶にしたいと思ったリーユエンだわ。行ってらっしゃいませ)と、声援を送った。


 面会を求められたゴドロフは、リーユエンから塔の荒れ果てた現状を聞き、眉尻を下げた。

「そこまでひどく荒れておるとは、それは申し訳ない」


「早急に修繕していただきたいので、大工の手配をお願いしたいのですが」

 

リーユエンの依頼に、ゴドロフは、椅子に腰かけたまま、腕組みして宙を睨んだ。

「ご存知の通り、宿舎を一棟修繕中で、それで手が一杯でな。追加を頼もうにも、今はこのような僻地を浮遊中のため、大工の来てがおらん」


「困りましたね。今は、天幕で寝泊まりさせていますが、そういつまでも野営させるわけにもいきません。まだ、成長期の生徒ですから、寝台で休ませないと、簡易天幕でごろ寝では熟睡できないでしょう」

 そう話しあっているところへ、扉がノックされ、総務部長のアデレンが入ってきた。


「どうしたね?部長、何か緊急の用かね」

 

 問いかける学院長へ、アデレンはリーユエンをチラッと見て、

「それが、リーユエン先生を尋ねて、お客人がお二人おいでになっております」と、学院長へ伝えた。


「おや、リーユエン先生を訪ねてじゃと、一体誰だろう」

 

 興味を示した学院長と、リーユエンを交互に見たアデレンは、

「お若い方で、リーユエン先生のマブダチだと名乗っておいでなのですが、私の見るところ、玄武のお方のようで・・・」

 

 リーユエンは、横を向いて、顔をこっそり顰めた。そんな名乗り方をする玄武の知り合いなんて、一人しかいない。学院長は、リーユエンの反応を素早く見てとり、

「遠路遥々お越しになったのだから、早くお通ししなさい」と、指示した。


「リーユエンッ、久しぶり、元気かっ」

 フレンドリーさ全開で入ってきたのは、離陰大公の大甥パオディンとその従者ヨーディンだった。

 主とは対照的にヨーディンは、両膝を床につけて跪き、リーユエンへ九十度体を折り曲げ、

「明妃殿下、先日は危ないところを助けていただきありがとうございました」と、最敬礼した。

 

 リーユエンは椅子から立ち上がり、

「おやめになってください。もう、お礼は十分おっしゃって頂いたので不要です。それに、ここではただのリーユエンなので、その呼び方はおやめになってください」と、言い、ヨーディンの腕を取って立ち上がらせた。

 

 学院長は、目をまん丸に見開き、

「このお若い玄武の方々を、わしにも紹介してはもらえんだろうか」と、声をかけた。

 

 リーユエンは学院長へ向き直り、

「こちらは、離陰大公ルーデラ閣下の大甥御でいらっしゃるパオディン様と、従者のヨーディン様でいらっしゃいます」と、紹介した。

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