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史上最強のメジャーリーガーは引退後は二度目の異世界で自由なスローライフを送りたい  作者: 葵彗星


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第85話 大精霊の正体

 祠の奥までサリアの案内でスムーズに行けた。奥にはすでにシモーヌが、リリアンとラズリーと一緒に待ち構えていた。


「あ? ゴーイチ、それにサリア様! ってか、もう来たの!?」

「〈場外ホームラン〉でひとっ飛びさ」

「そうだったわね。サリア様、その……あの子ですが……」


 ここは祭壇の間のようだ。その奥の椅子にリリアンが腰かけている。深く眠っているようだ。さて、これから何が起きるのか。


「シモーヌ、この石板の文字は読めたわよね?」

「えぇ、かろうじて……一応、ここに刻まれている通りの前準備は整えました」

「一体なんて書かれているんだ?」

「除霊の儀の前座工程」

「除霊の儀って……そのままじゃないか」

「簡単に説明しただけよ。正式名称はとても長いんだから」

「そうか。まぁ、難しい話はいいから、早く始めようぜ」

「……深淵なる誠の誓いにかけて……」

「おい、サリア。急に何を……」


 シモーヌが腕を掴んだ。


「静かに、もう儀式は始まったわ」

「……いきなりだな」

「永遠の風……みたらしめる御霊の悲しみ……絶え間なき抱擁を恵授からん……」


 目を閉じてずっと呪文を呟いている。こんな真剣に儀式に臨むサリアの姿は久しぶりに見る。

 あれは二十年前。サリアと俺が森の中を歩いていた時、災害の影響で重傷を負ったエルフと遭遇し、サリアは必死の重いで助けようとした。

 でもサリアの魔力でも救えそうになかった。まだ魔道士として未熟だったせいもあるが、それでもサリアは諦めずに森の精霊の力を借りて怪我を治癒させた。サリアの発する言葉が独特の波長を帯び、〈祈りの言霊〉として自然界の精霊と感応できるんだ。


 正直、何を言っているのか俺にはさっぱりわからない。でもシモーヌは凄く感慨深そうだ、やっぱり同じ魔道士ならわかるんだな。


「……健やかなる体と心を再びこの手に。大精霊《ミシェル》様、今こそ尊厳なる村雲の彼方より、御姿を現さん」

「なに? 今なんだって!?」

「しぃ! 大声出さないで!」

「いや……すまん。でも今……」

「どうしたって言うのよ急に?」


 今確かにサリアは言った、「ミシェル」と。ミシェルと言えば、俺をこの世界に招き入れた女神の名前だ。

 どういうことだ。単なる偶然か。すると次の瞬間、リリアンが座った椅子が強く光りだした。


 あっという間に空間中が強い光に包まれ、何も見えなくなった。やがて一気に静まり返り、光が弱まったので俺は目を開けた。


 その瞬間、目を疑った。空中に一人の金髪の女性が浮かんでいた。翼を生やし、白い羽衣を着ている。頭には豪華な金色の冠、首元には豪華なネックレス、手首には豪華なブレスレット、足首には金色に光るアンクレット。


 これぞまさに、天界を支配する女神かのような外見だ。サリアとシモーヌも言葉を失ったのか、口を開けたまま固まっている。

 あまりにド派手な演出と見た目に、俺も最初は平静を保てなかったけど、よくよく見たらなんてことはない。あいつだ。


「エルフの民よ。よくぞ私を召喚してくれました、汝の願いを聞き入れましょう」

「……ミシェル、何してるんだ?」

「さぁ、汝の願いを言いなさい。時間は限られていますよ」

「くだらない茶番はやめろ! いいからさっさとリリアンの呪いを解け!」


 思わず声を荒げてしまったが、今のでさすがに開き直ったようだ。一転して、不機嫌な顔になった。


「……もう、ゴーちゃん! 今大事なところなのよ!」

「ゴーちゃん、じゃねぇだろ! こんなところで何してるんだ!?」

「見てわかるでしょ。大精霊様になりきって少女の呪いを解こうとしてるのよ。私じゃないと出来ないんだから!」

「おいおい……お前は大精霊様に仕える身じゃなかったのか。本人はどこだ!?」

「……あぁ、えぇと……その……今もお休み中よ。私が代理で出ることになって……」

「代理のお前に、この少女の呪いを解けることができるのかよ」

「そのくらいは可能よ。決して茶番じゃないから。あぁ、それと……二人には私の正体は内緒よ」

「二人って……おい、シモーヌ!? サリア!?」


 二人を呼びかけても返事をしない。さっき見た時と同じく、口を開けたまま固まっている。まさか。


「こんなこともあろうかと、時間を止めておいたのよ。やっぱりゴーちゃんは空気を読まないんだから」

「そりゃ唐突に知人が現れたら、反応するだろ。黙っておいてやるから、さっさと時間を動かせ」

「ありがとうね。じゃあ、再開!」


 ミシェルが指をパチンと鳴らすと、光が消え元の空間に戻った。シモーヌとサリアもその途端動き出した。


「……あぁ……大精霊様……」

「大精霊様、よくお越しくださいました。我が祈りを受諾いたしまして、誠にありがとうございます」

いつもご覧いただき誠にありがとうございます!毎日ご覧になっている読者様には心から感謝いたします。


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