第63話 邪竜との激闘2
邪竜の声が聞こえた。後ろを振り返ると、胴体に大きな穴がぽっかり開いた邪竜がまだ立っている。かなりのダメージのはずだ、でも流れている血の量が少ない気がする。
「……コオオオ……オオオオオオ……」
「まさか……な」
「嘘でしょ。そんな……」
「随分しぶといようね、二世さんは」
「……ブオラアアアアアア!!」
なんてことだ。あれだけのダメージを受けてまだ生きてやがるとは。
再び大きな咆哮を上げて邪気を膨らませた。受けた傷口も徐々に回復してきた。
さすが二世だな。上等だ、とことんまで付き合ってやるぜ。
「勘弁して……もうパワーが……」
「エイダ、しっかりしろ。セリナは大丈夫か?」
「……ごめんなさい、私も……」
やばい、二人ともばててきたか。そしてサリアの顔にも疲労の色が見える。
さすがにこのままじゃマズいか。いや、待て。ばててきたのは俺達だけじゃない、あの邪竜だってそうだ。
巨大な邪気のせいでわからなかったが、よく見たらサリアが貫いた穴は完全にふさがれていない。それに所々から血が噴き出している。
やっぱりさっき受けたダメージは相当なものだったな。かなり無理して回復させてるけど、もう満身創痍のはずだ。
「みんな、しっかりしろ! 次の一撃で決めるぞ。最後の勝負だ」
「来るわ!」
「ゴオオオオオオ!!」
今度は巨大な尻尾をぶん回してきた。だが速度はのろい、やっぱりダメージを隠しきれてないな。
「うん? あれは……ヤバイ!!」
サリアは華麗に避けてくれたが、よく見たら尻尾の先端に巨大な剣が生えている。なんて鋭くて巨大な剣だ。
あれは邪竜の尾剣だ。確かに先代の邪竜も同じように生えていた。あの尾剣から放たれる衝撃波は、それこそ山一つ破壊するほどだ。
「〈エンハンス〉! さぁ、みんな! 力を振り絞って!!」
「ありがとうございます。サリア様のご厚意、決して無駄にしません!!」
サリアの強化魔法で二人ともなんとか回復したが、サリアの魔力も明らかに下がっているようだ。これが本当に最後のチャンスだ。
なんとか次の一撃で仕留めたいが、さっきと同じ戦法が通じるとは思えない。だけどあの邪竜の尾剣を見て、俺はまた名案が浮かんだ。
「念のため聞くが、あの尾剣は……金属製だよな?」
「えぇ、そのはずだけど……何言い出すのよ?」
「決まってる。あれを打ち砕いて、巨大な鉄球を作り出すんだ」
「はぁ!? ちょっと待って、さすがにあの大きさじゃ無理があるわ!!」
「バカげてるのは承知だ。でも……あの邪竜を確実に仕留めるには、この鉄球じゃ小さすぎる」
「それはわかるけど……どうやって作るって言うの?」
「あの尾剣自体は、この鉄球を超高温に加熱して〈フルスイング〉で打てば砕けられるはずだ。シモーヌ、頼む!」
「……わかったわ。でも問題なのはそこからよ」
「どうやって冷却するか……か?」
「加熱する魔法だけならともかく、冷気魔法までとなるとね。あの大きさじゃ、さすがに無理よ……」
「安心しろ。その問題も解決できるはずだ」
確かにシモーヌの言う通り、あの大きさの尾剣を一気に冷却させるには膨大な魔力が必要になるだろう。
でも冷却させるには、何も魔法に頼る必要はない。
「サリア、今から俺の言う通りに行動してくれ……」
「……なるほどね。それは名案だけど、うまくいくかしら」
「半信半疑になるのはわかるが、今は自然の力にたよるのが一番だ」
「姉さん!!」
セリナが叫んだ直後に邪竜が尻尾をまたぶん回してきた。
正確にこちらに狙いを定めている。しかも頭部の角から赤い光の魔法弾も飛び出してくる。
次から次へときりがない。サリアの体力も無限じゃない、持久戦になるとこっちが不利だ。
「わかったわ! ゴーイチに賭けてみる、あの尾剣さっさと真っ二つにして!」
「その言葉を待ってた。シモーヌ、鉄球を加熱してくれ!」
邪竜の尾剣、よく見たら付け根から二メートルくらいの部分が一番細くなってる。あそこに狙いを定めればいけるはず。
普通の剣じゃいくら斬りつけても切断は無理だろうが、超高温に加熱した鉄球で剛速球でぶつければいけるはずだ。
尾剣がゆっくりと水平に動き出し、狙いを定めている。
「サリア、来るぞ!」
尾剣が消えた。猛烈な速さで尻尾が回転していたが、サリアはいとも簡単に上空へ身をかわす。
かわした直後、尾剣の動きが見下ろす位置で止まった。チャンスだ。
「〈フルスイング〉!」
いつもご覧いただき誠にありがとうございます!毎日ご覧になっている読者様には心から感謝いたします。
この作品が気に入ってくださった方は高評価、ブックマークお願いします。コメントや感想もお待ちしております。またツイッターも開設しています。
https://twitter.com/rodosflyman




