第60話 神鳥との融合
ラズリーも俺の顔をじっと見た。言葉は通じないが「私も協力する」と目で訴えてきているな。
「わかったよ、お前達がそこまで言うなら。だけどサリア、お前はその体力で本当に大丈夫か?」
「安心して、全部は吸い取られてないわ。それにあの邪竜が相手だと、私一人じゃなく……この子の力も必要……」
「姉さん、まさかアレを?」
「アレ? 一体何のことだ?」
「私が……ラズリーと融合するのよ……」
「ゆ、融合!?」
サリアが立ち上がりラズリーの頭をさすった。すると、いきなりサリアの手の平から淡い光が漏れだした。その光がラズリーとサリアの体を包み込む。
「お、おい……まさか……本当に……?」
「そんな……サリア様が!?」
「姉さん……成功して……」
眩い程の光で広間中が包まれる。しばらくして目を開けたら、目の前には姿かたちがこれまでの倍以上大きくなった巨鳥が羽ばたいていた。
「……ラズリー……いや、サリア……なのか?」
鳥のように見えて人型のようにも見える。気のせいか顔はサリアの面影がある。体の色が青色から白色に変わってるし、なにより足の形は人に近く、翼の部分は手も生えている。本当にラズリーとサリアが融合したのか。
「ゴーイチ、セリナ、シモーヌ。私に乗って!!」
しゃべった。確かにサリアの声だ。
「大丈夫か……本当に乗って?」
「姉さんを信じて。この日のために……姉さんはずっと修行していたのよ」
「……そうか……わかった。一緒に倒そう、邪竜を!」
「サリア様……その……ではお言葉に甘えて」
俺とシモーヌ、そしてセリナの三人が融合したラズリーの背中に乗った。サリアと融合したこともあって、一回り体が大きくなってだいぶ余裕がある。
念には念を入れて、振り落とされないよう二人の体をロープで俺の体とつないだ。
「ぼわらあああああああああ!!」
また不気味なうなり声が響く。さっきよりもデカい。しかも広間中が大きく揺れ動いている。
どんどん揺れは大きくなる一方だ、ついにお目覚めか。
「三人とも、しっかりつかまって! 外に出るわ!」
「ラズリー……いや、サリア!! 決して無茶はす……」
言い終えようとした瞬間、凄い勢いで飛び立った。しかも次の瞬間、天井に衝突したと思ったがなんとそのまま嘴で貫きながら浮上してやがる。
凄いパワーだ。元々神鳥としての素晴らしい力を秘めてはいたが、サリアと融合したこともあって極限までパワーアップしたのか。
「いいぞ。もう少しで地上に出られる」
「……ニガサン……」
「な、なに!? 今の声は!?」
「ディンフォースの声だな。あいつも目覚めたようだ」
「なんてこと。ディンフォースって……喋るのね」
その通りだ。二十年ぶりに聞いたな。あの時の記憶がよみがえる。
二十年前、確かに俺は先代のディンフォースを死闘の末、倒した。でも本当に満身創痍だった。俺がまだ子供だったということもあるけど、サリアとほかに優秀な戦士との協力がないとまずかった。
「……ゴーイチさん……」
セリナがゆっくり俺に体を寄せた。震えが止まらない。シモーヌも同じか。
「……信じたくないけど……まさか自分が……伝説の邪竜と戦うことになるだなんて……」
「怖気づいたのか。嫌なら今から降りるか?」
「……何をいまさら!!」
「そう来なくちゃな。さて……それじゃ二十年ぶりに派手に暴れてやるか!」
「強気だけど……あなたの最大の武器の鉄球はどうするの?」
「心配するな。さっきの広間で手ごろな瓦礫を拾っておいた」
「瓦礫程度では……邪竜の鱗は砕けない」
サリアが話しかけた。どうも姿形はラズリーにそっくりだから、いまいち慣れないな。
「確かに……だがほかにいい武器は……」
「セリナがさっき渡した短剣があるでしょ。それを使うのよ」
「短剣程度でも斬れるとは限らないぞ。第一、俺は剣術はそこまで得意じゃない」
「そうじゃないのよ。シモーヌ、あなたの力で短剣を鉄球に変えるの」
「え? 短剣を鉄球に……そんなことできるわけ……」
「いや、名案だ! 炎魔法と水魔法の二つが使えばいける。シモーヌ、頼むぞ」
シモーヌは半信半疑のままだけど、実際目で見てもらった方がいい。
「セリナ、短剣がなくなるが構わないか?」
「大丈夫です。あと一本ありますから……」
「そうか。よし、シモーヌ。投げるぞ、刀身部分に〈フレイムピラー〉を集中して当ててくれ!」
短剣を真上に投げ、シモーヌが直後に〈フレイムピラー〉を唱える。刀身部分が真っ赤な色に変わりだす。
「……ぐぅ……ちょっと、まだなの?」
「まだだ。もっとドロドロに溶けるまで」
「ドロドロに? さすがにそれ以上の魔力は……」
「〈エンハンス〉! これでどう?」
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