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God Killing  作者: Lrmy
Another Storys  Episode 1
29/35

終理目:崩れるモノ

「どうしてそんな平然としていられるの?」


私は隣に座っている彼にそう聞いてみた。


今いる場所は暗く彼の顔はうっすらとしか見えないが、それでも彼であることは認識できる。



「僕だって正直怖い…でも、この年で村を出ても生き残れる保証がないから」


「それでも私は…」


私はその言葉に続く言葉を出すか少し迷ってしまったが、結局零れ落ちるように言ってしまった。


「この村を出たい」


「…しょうがないなぁ、それじゃあ僕もついて行くよ」


「本当に!?」


「しっ。声が大きい。ここから見えなくても、まだ村の住民が僕たちのことを探してるかもしれないから」


「あっ、うん」


本当は村の真相を見て見ぬふりをして、人の肉を食べる方が良かったのかもしれない。


私の前からいなくなる前にお母さんが言ってくれた言葉『大勢は少数の為に。少数は一人の為に』というのは私が生き残る最善の手かもしれない。


それでも…



『大切な人を失いたくない』




 * * *




「…て、起きて」


「うー…なにー?」


「もうそろそろ辺りが暗くなってくる。村の人に見つかり辛(づら)いだろうから今のうちに行動しよう」


彼が入念に周りを確認し、村の人がいないことを私に知らせると『ついてきて』とでもいうように私を一瞥(いちべつ)した後に歩き出した。



「足元くらいから気を付けて」



数メートル先しか見えない程暗くなった獣道(けものみち)を、カサコソと音をたてながら進んでいく。




「うわぁ!」


先導をしていた彼が大声と共に急に見えなくなった。


「どうしたの!?」


少し進んで彼が消えた辺りを見渡すと、草むらの先が綺麗に崖(がけ)になっていて、今にも落ちそうな体を片手で支えていた。



「待ってて!今助けるから!」


「ごめん…」


「謝らないで!すぐに助けるから!」


私は考える間もなく彼の手を取ると、引っ張り上げるように力を入れる。



目を閉じている彼は静かにこう呟いた。


「もう…いいよ」


「諦めないから!私、もう大切な人を失いたくない!」



一緒に遊んでたあの子も、隣の家のあの子も、優しくしてくれたあの人も。


みんなみんないなくなってしまった。




「『大勢は少数の為に。少数は一人の為に。』」


「嫌だ!」


「僕の手を掴んでいたら君は僕と一緒に落ちてしまう。僕の手を離せば君だけは助かる」


「嫌だって言ってるでしょ!」


「我儘(わがまま)で強情(ごうじょう)で…それでいてとても強いな」


「私は強くなんかない!身近に要る大切な人を何人も失ってきた!だから、だから…」



私は力を抜いた。



手にはたくさんの力を込めたまま、引っ張る力を抜いた。




 * * *




「ねぇ、これから用事があるから一緒に来てくれない?」


「うわぁ!」


私の隣に少年が急に現れ、目の前にいる子供にそう言った。


「う…うん……」


困惑したといった様子だったが、子供は少年にそう返した。


「それじゃあ行こっか」



私は彼が差し出した手を握ると、突如空洞の中へと飛ばされた。


「…ねぇ?」


「ん?どうしたんだい?」


「私に隠していること…あるよね?」


「やっぱり、君は言わないと納得してくれないか…」


彼は私の返答を待つことなく言葉を続ける。



「あの村は君が元いた村だよ」


「なんで隠してたの…?」


「隠してた方が良いと思ったからさ、記憶も戻さないで新しい生活を送った方が良い」


「そんなのって…」



私は走り出した。


ここがどこなのかも分からないが、本能の赴(おもむ)くままに走った。


そのまま……目の前から地面が消えた。


「あっ…」


「危ない!」


その瞬間、天に向かって伸ばした手が誰かに握られた。




「あれ…」


私はこの光景を知っていた。


いや、知っているの方が正しいかもしれない。



積み木が落ちた時の様に頭痛に襲われ、私は昔のことを思い出した。


彼を助けられないと思った私は、彼と一緒にこの崖から転げ落ちた。


うん。なにもかも覚えている。

どうもLrmyです。


正直、裏設定に基づいて話していることが多々あるので、説明を兼ねて次話を投稿するかもしれません。


それでは、また次回にお会いしましょう!ではでは~

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