一理目:人好きの…
「ここは…どこだろう?」
辺りは真っ白で、どこが地面なのか、どこが空なのかもわかりずらい空間に私はいた。
『ようやく起きたか…だけど、状況の説明よりも食事を優先しよう。僕が君を見つけてから1カ月は何も口に入れてなかったからね』
「えっと…あなたは?」
『先ずは食事と言ったでしょ』
誰かが私の頭の中に直接話しかけている。
かなり中性的な声だったが、多分男性だろう。
男性というよりは男の子というほうが近い声だったけど。
そんなことを考えていると、私の目の前に黄金色に輝く林檎が現れた。
『毒とかはないから安心して食べていいよ』
「…いただきます」
本当に私はお腹が減っていたのだろう。殆ど本能的に林檎に手を伸ばし、そして、口に入れた。
「んっ!美味しい!」
しかも、林檎を食べた瞬間に元気が湧き出てくる感覚が身体中を駆け巡った。
『その林檎は結構レアものでね、少ない量で大量の栄養を摂るにはもってこいなんだ』
「それより状況の説明をしてほしいんですけど」
『あぁそうだったね』
声の主がそう言ったのを境に、目の前が真っ暗になった。
* * *
「やぁこんにちは」
「えっと…あなたは、さっき話しかけてくれてた人?」
「正確に言うと『人』ではないんだけど…概ね正解かな」
「じゃあここは?」
「僕が作り出した空間だよ、簡単に説明すると魔法の応用かな。空間を作ったってよりはくり抜いたとかの表現の方が近いかも」
「凄いことができるんですね」
「まぁね、一応僕は結構凄いんだよ」
「自分で言うと説得力が無くなりますね」
「でも実際に凄いんだよ?」
「だから説得力が皆無なんですって」
あったばかりだが、結構フレンドリーで話しやすい人だな。
「私に何があったか説明してもらってもいいですか?」
「そうだった!説明してなかったね。どうも話が脱線しやすくって…」
「もう脱線しかけてますよ」
「おっと、まぁ簡潔に言うと君が地上で倒れていたから助けた。なかなか酷い姿で倒れていたからほっとけなかったという訳さ」
「じゃあ命の恩人ですね。ありがとうございます」
「だから人じゃないんだけど…」
「…?」
「流石に理解はできないよね。さっき言ったことは忘れていいよ」
「それじゃあ、私を家に…」
「家に…どうしたんだい?」
あれっ?おかしいな
…記憶が無い
思い出せそうで思い出せない。
なんだか、魚の骨が喉に引っかかって取れないように気持ちが悪い。
「ふーん、大変だね」
「えっ?」
「さっきも言ったけど、僕って凄いんだよ?君の心の中を視るくらい造作も無いのさ」
「それじゃあ…」
「『私の考えてることを当ててみろ』でしょ?後、記憶が無くなったのも分かってる」
「嘘…」
「流石の僕でもなくなった記憶を取り戻すっていうのは不可能に近いから、戻るまでは一緒に過ごすことになるかなぁ」
「一緒にって…私を適当な村に放り投げる事だって、あなたはできるんでしょう?それならなぜ…」
「少女を適当に放り投げたら、速攻死んじゃうのは火を見るより明らかだからね。それなら、記憶を戻してからもといた村に帰ってもらった方が数倍安全だ。それに、助けたばっかの人間がすぐ死んだら後味が悪いだろう?」
「それなら…」
こうして、あまり何もわかっていない状況で、名前も知らない少年との生活が始まった。
どうもLrmyです。
Another Storysは、『本編に関係あるけど、読まなくてもいい』をモットーに書きたいと思っているので、読みたくない人は読まなくても良いと思います。
上で説明した通り、本編と関係があるので、読んだら面白く感じるかもしれません。
これを読んでいないと分からない設定なども書く予定なので。
ではでは~




