二十一繋目:第十層探索
フーラによってバラバラになった鬼のような魔物の肉片を収納し終え、もう少しだけ先に進もうということになった。
「フーラの天啓は便利そうだね」
「普段遣いできる能力じゃないので意外と使う機会が少ないんデスよ…」
見ての通りに元気っ子といった性格をしているので、自分の天啓が思うように使えないのはつまらなかったりするのだろう。
「ボスのところまでは行かないにしても、もう少しだけ魔物の素材を集めたいので先に進みますよ」
「我に任せてほしいのデス!」
素材を集めるのに今のフーラより優れた人はいないので、誰も口を挟まなかった。
「この辺まで来ると魔物の種類が少ないですね」
深層に慣ればなるほど縄張り争いなどが活発になるので、自然に魔物の種類が減ってしまう。
鬼のような魔物を無視しながらズンズンと先に進む。
「あいつら以外に魔物はいないんデスか?」
「いるとは思うんだけど…」
20分程歩いたが全然鬼以外の魔物がいない。
歩いていると、第九層でも見た大きな扉が目の前に立ちはだかっていた。
「ここまで来たらもう他の魔物はいないと割り切ったほうが潔いかもしれませんね」
「サクッと第十層のボスも持ち帰っちゃおー!」
「そうするのデス!」
「私のことは守ってくださいッスよ!第十層のボスなんて、私一撃でチーンッスからね!?」
「はいはい、守るから安心して」
ルーンが「それでは」と一言置き、扉を開いた。
* * *
「おー、前層のボスよりは良い見た目してるッス」
階層主はドラゴンのような頭と虎のような大きな体、蛇の尻尾が何本か生えた魔物だった。
ちょっと変なキマイラといった感じだった。
大きさは全長で15メートルくらいだろうか。建物くらいはあり結構な迫力がある。
「弱そうデスねぇ…」
フーラはそう言うと白い輪っかと黒い羽をもう一度出し、手を振り下ろした。
その瞬間、キマイラはバラバラになった。
「随分とあっさり倒すんッスね…」
「我が天啓を使えば何者も豆腐と何ら変わらなくなるのデス!」
「絶対にアンタを敵に回したくないッス…」
シェリンはそう呟くように言いながらバラバラになった素材をかき集めていく。
「これだけあれば十分でしょう。皆さんお疲れさまでした」
「また呼んで欲しいのデス」
そう言ってカートールの店に転移をした。
「おやおや皆さんお揃いで」
「今日はこの素材ッス」
シェリンは仕舞っていた素材を取り出しそう言った。
「これは…」
「第十層の魔物と階層主ッス」
「昨日に比べると綺麗な切り口というか…なんでサイコロステーキみたいになってるんでしょうか?」
「我がやったのデス!」
「ほぉ、すごい人もいたものですねぇ」




