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17.初めて悠里と出逢った時の事

(悠里……)

 今俺の隣で恥ずかしそうにはにかんでいるのは間違いなく、あの時の悠里だ……。


 初めて出逢ったのは彼女が中学校の入学式直前の春休み。

 俺も進学先が決まって中学の友達と海辺にコタを連れて遊びに来ていた。


 まだ寒い時期で人気もまばらだったのに、彼女が流木に何をするわけでもなくちょこんと座っているのが変に気になって、俺はチラチラと視線を向けたりしていた。


 友達が予定があると先に帰ってから、辺りには俺と彼女とコタだけになった。


 少し目を離した隙に、コタが勢いよく彼女に向かって走り出した。

 コタが積極的に人に近づく所を殆ど見た事がなかった俺は、驚き急いでその後を追った。


 コタは飛びかかる事なく彼女の足元に擦り寄って、俺に背を向けて座っていた彼女は柔らかく笑ってコタを優しく撫でていた。


「すみません、うちの犬が……」

 まるで初めてじゃなさそうなコタと彼女の雰囲気に違和感を持ちながらも、恐る恐る話しかける。


「あぁ、コタの飼い主さん? はじめまして」

 軽く会釈をして、午後の暖かい日差しをキラキラと受け入れながら、まだ幼さが残る彼女は眩しく微笑んだ。


 そうして俺は、吸い寄せられるように彼女が座っていた流木の隣に腰掛け、初対面にもかかわらず時間を忘れて二人で取り止めのない話をした。


 聞けば聞くほど彼女との奇跡的な繋がりに、今になっても神がかったものを感じてしまう。

 

 一ヶ月程前に母さんがコタを連れてスーパーに行った時のこと。

 ほんの少しだけ買い物をするために、店の外にリードを結んで待たせていた所、どうやら紐が解けてコタが居なくなってしまった事があったそうだ。


 その時に彼女が……悠里がリードを引きずりながら歩き回っているコタを見つけて、飼い主である母を一緒になって捜してくれていたらしい。


 当時、母さんから何となくはその話を聞いていたが、大ごとになったわけではないし、その時はサラッと聞き流していたんだが……

 まさかその話の中の女の子にこんな形で出逢うなんて……


「ありがとう、コタを見つけてくれて」

 俺は改めて彼女にお礼を言った。


「とってもいい子だったよね? 全然吠えないし、大人しくついて来てくれたし」

 まだあどけない少女のような笑顔の中に、チラッとみせた大人びた女性の表情が、俺の目にとてつもなく魅力的に映り込む。

 一気に惹き込まれ……そこからだ。

 彼女の事が気になって、いつの間にか目が離せなくなって……


 俺たちが仲良くなるのに時間はかからなかった。


 彼女が中学校に入学して、俺が高校に入学して。

 でもいつも決まった18時頃、彼女はこの海辺にいて、俺もそこにいた。


 約束しているわけでもないのに、晴れの日も、雨の日も……

 5分も一緒にいられない日もあった。

 それでも、毎日必ず彼女はそこにいてくれたんだ。


 あの交通事故さえなかったら……

 俺たちは今どうなっていただろう?



 一生懸命問題を解いている彼女の横顔を見て、俺はとっくに過ぎ去ってしまった遠い昔の事を一人思い出していた。



直してばっかりでごめんなさい〜(ノ_<)

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