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11.ウキウキの勉強会?

「もうダメだぁ、絶対柄谷さんに幻滅されたよぅ」

 昨日の事を思い返す度に自分のバカさ加減を思い知る。


「一体どうしたのよ??」

 結衣が朝イチの私の顔を見てよっぽど驚いたらしい。

 もう、全部終わりだ……そんな辛みがしつこく心を突いて結局一睡もできなかった。


 あれからアイスコーヒーまみれになってしまった『沙耶』と呼ばれていた女性は店内で食べる事なく柄谷さんと一緒に帰っていった。


「なんで? バイト中だったんでしょ? 柄谷さん」

 結衣は不満げに腕を組んだ。


「飯島さんって社員さんが、柄谷先輩に今日はもう上がっていいから送って行けって……」

 飯島さんは柄谷さんの彼女だって知ってるのかもしれない。


「そんな彼女にコーヒーかかって服汚したくらいで、仕事上がっていいなんて言う?? バイトだって言ったってそんな甘くないでしょ? 絶対なんかあるよ!」

 結衣は鼻の穴を膨らませて熱弁を奮っている。


 柄谷さんと沙耶さんの間には恋人同士の他に何かあるのかもしれない……

 どうしてもそんな風に思ってしまうのは、まだ望みを捨てたくないって気持ちからだけじゃない。

 何となく……二人の間の雰囲気が幸せそうじゃないっていうか……


「あっ!! 北原先輩、おはようございます!! ちょっとちょっと」

 この時間北原先輩とはよく会うなぁ。

 結衣ったら、大袈裟に手招きしてわざわざ呼び止めなくても……


「おやおや? 昨日派手にコーヒーこぼした杉田さん、おはようございます」

 わざとらしくニヤニヤしながら北原先輩が近づいてくる。


「その節は大変お世話になりました……。反省してるんですからもう、追い討ちかけないで下さいよぅ」

 あの後、花野井さんと一緒に私を咎めることなく励ましてくれた北原先輩には感謝してるけど、そんな簡単に復活できるほど私はまだ大人じゃない。


 結局バタバタしてて、柄谷さんにはまだちゃんと謝れてないし……


「柄谷さんはあんな事で怒ったりする器の小さい人じゃないから、安心しろって!」

「悠里、そうだよ。北原先輩もついててくれるんだし、次柄谷さん会った時に、ちゃんと謝れば許してくれるって」

 二人の優しい言葉が沁みる……


「そうだ! なぁ、来週からテストだろ? おれ、柄谷さんに勉強見てってお願いしてるんだけど杉田も来るか? よかったらそのお友達の結衣ちゃんも」


「行きますっ! 絶対に行きますっ!!」

 私よりも先に身を乗り出して結衣ちゃんが即答した。


「ちょっと、待って! 柄谷さんがいいっていうか分からないし……」

 私は話の流れに気持ちがついていけなくて躊躇してしまう。


「大丈夫だろ。ちゃんと言っとくから。それに俺もだけど、杉田達もテスト前で暫くバイト休みだろ? 今のままだと遠分柄谷さんに会えないじゃん? 勉強集中出来なくて成績落とされても、生徒会長としては見過ごせないからな」


 北原先輩……

 なんだか背中に天使の羽が見えてきた……


「じゃ、明後日俺んちでやるから、サンファの道挟んだ向かい側に、浜辺のへ下りる階段あるだろう? そこ下りたすぐ横の海の家まで迎えに行くから。10時に待ち合わせでいいかな?」


「了解ですっ!!」

 結衣ちゃんが嬉しそうに先輩に向かって敬礼している。


『じゃ』と軽く手を振って北原先輩は朝忙しなく移動して行く生徒たちに紛れて行った。


「ねぇ、生徒会長の家に行けるなんて凄くない?? もぉ、楽しみで仕方ないんだけどっ!」

 ウキウキになっている結衣に『そっちかい!』と心の中でツッコミを入れながらも、やっぱり私もその日を待ちどおしい。

 ちゃんと柄谷さんに謝るから……お願い! まだ私を嫌いにならないで下さい!!



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