56話 破魔の力
すみません!遅くなりました!
ラウムの空間移動で向かった先。
目の前には魔物の集団。多分この向こうにラズライトの一団がいると思う。が。
思わず来ちゃったけど、どうしよう‥‥。
「えっと、オリジン。思わず来ちゃったけど、いきなり実戦訓練?」
《そうなるな。》
「え!?ど、どうしたらいいの!?」
《落ち着け。一回は出来たんだろ?破魔の力。ならなんとなくでも感覚とか覚えてないのか?》
「えっと‥‥あの時は無我夢中だったから‥‥」
「姫様。もしかしてオリジンがいるのですか?」
「え?う、うん。ついて来てくれてるよ。」
「姫様はあの集団を何とかできるのですか?」
「らしいよ。」
「では、私はラズライトの方々の無事を確認しに行かせて頂いても?」
「え?あ。じゃあ、リアンお願い。でも無茶はしないでね。」
「はい。畏まりました。」
そしてリアンが魔物の集団に向かって行くと。
《で、ルリ。どうするんだ?》
「何とかして破魔の力の使い方を思い出すしかないでしょ。」
《だな。》
と私達がちょっと離れたところに隠れて話している間、魔物とラズライトの人達の攻防は続いてる。
*****
一方、その攻防の中。
「くっ。こんな所で!」
とリヒトが騎士に混ざって戦っていると。
「王太子殿下!」
「え?」
リアンがリヒトの元にたどり着いたのだ。
「副団長?」
「はい。リアンとお呼びください。一先ず私だけですが、助太刀に参りました。」
「それは有難いが、どうやってここに?」
「ルリ姫様の精霊術で。」
「ルリが!?まさか、一緒に来たのか?」
「はい。ですが、姫様は離れた場所にいらっしゃいます。オリジンと共に。」
「そうか。なら、とりあえず安心か‥‥。」
「ですが、姫様はこの集団を何とかするおつもりの様です。」
「え!?‥‥‥確かにルリなら一掃できるだろうが‥‥使い方を覚えてるのか?」
「いえ。察するに覚えてらっしゃらない様でした。」
「‥‥‥無茶するな。」
「ですね。」
と話してる間も戦ってはいるが、減る気配がない。
「だが、このままだとまずいのは確かだな‥‥。」
「はい。」
*****
「う~ん。とりあえず、オリジンはリヒト達が無事かどうかは分かる?」
《ああ。まだ、戦ってるみたいだぞ。》
「は?リヒト、戦ってるの!?」
《ん?ああ。そうみたいだぞ。》
また無茶して戦ってるのか‥‥。
‥‥‥‥‥邪魔だな。あの魔物達。
「‥‥‥‥‥オリジン。」
《なんだ?》
「リヒト達の所に行くには、あの魔物達邪魔だよね?」
《そうだな。》
「魔物達を消しちゃいたいって思ったら力が湧いてきたんだけど、これ?」
《ああ。恐らくそれだ。やってみたら分かる。》
「分かった。やってみる。」
そして私は隠れてる所から出て、魔物の集団に向かって手を翳し体から湧き出てきた力を意識して。
「ー我が身に宿りし、破魔の力よ。我らに害をなす彼の物達を討ち滅ぼせ!ー」
と何故か浮かんできた言葉を発すると、目の前の魔物の集団の頭上から光が降り注ぎ、一瞬にして魔物の集団が消え去った。
それを見た私は
「マジか‥‥本当に出来ちゃった‥‥オリジン、今のがオリジンが言ってた破魔の力?」
《ああ。そうだ。できたな、あっさり。》
「だね‥‥‥‥あ!」
とすぐに走り出してリヒト達に近付くと。
「ルリ!」「姫様!」
「リヒト、リアン!無事!?」
「ああ。何とかな。」
「ありがとうございます。姫様。」
「良かった‥‥‥って二人共、怪我は!?」
「大したことないよ。」
「私もです。」
「したんだね‥‥?怪我。」
「「うっ。」」
「リアン。無茶するなって言ったよね?」
「はい‥‥。」
「リヒトも王太子なのに、何また普通に戦ってるのよ?」
「うっ‥‥‥。」
「ひ、姫様。お二人は我々に加勢してくれた訳ですし‥‥」
「メルさん?」
「すみません。」
「はぁ‥‥‥あ。」
と、思い出した私は馬車に近付いて扉を開けた。
「伯父様、伯母様。ご無事ですか?」
「「ルリ!?」」
「はい。お助けに参りました。」
「え?‥‥‥とりあえず、私達は無事よ。」
「良かった‥‥外でリヒトまで戦ってるから‥‥。」
「ああ。そうだな。大人しく馬車の中にいろと言ったのに無視しやがって。」
「ほう‥‥‥伯父様、伯母様。一旦失礼します。」
「おう!」「ええ!」
そしてリヒト達の所に戻り、先にみんなの傷を治した後。
「リヒト~?伯父様の言うこと無視して加勢したんだってね?」
「‥‥‥‥はい。」
私はまたリヒトの頬を思いっきりつねって、
「ま~た~か~!王太子の自覚あるのか!?」
『え!?』
周りの騎士達が驚いてるが知らん。
「あ、ありゅょ。ひぃ、ひぃたひぃっふぇ!」
※あ、あるよ。い、いたいって!
私はとりあえず手を離して、今度は抱き付いた。
「え?‥‥‥‥ルリ?」
「王太子としてもだけど、私もリヒトに何かあったら困るから‥‥‥お願いだから無茶しないで‥‥‥。」
「!!!‥‥‥‥‥ごめん。」
「‥‥‥‥‥。」
「ルリ?」
「いいからしばらくじっとしてて!」
「は、はい!」
あ~生きてる。
ちゃんとリヒトは生きてここにいる‥‥‥。
間に合った‥‥‥。
そう思いながら私はしばらくリヒトに抱き付いたままだった。




