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私、産まれ故郷ではチートでした。  作者: 霜月満月
第六章 二度目の二人旅
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111話 剣術三試合

話は続き。


「俺はもう両親とは違う長さの時間を生きることになったからな。」

「「‥‥‥」」

「俺がここに召喚された時は本当に純粋な人間だった。だが、とある儀式をした後魔族の一員になった。」

「儀式?」

「ああ。かつて魔族の始祖がやったとされるやつだ。」

「え!?」


それってオリジンが話してくれたこと‥‥?


「ルリ?」

「優人。魔族がどうやって生まれたか知ってるの?」

「ああ。と言っても一部だけだがな。」

「‥‥‥じゃあシャドウとクロノスの力の一部でも残ってるってこと?」

『!!!』


私以外の全員が驚いていた。

それぞれ理由は違うだろうけど。


「ルリ姫、何故それを?」

「決まってます。ガリアさん。私は巫女ですよ?原初の精霊‥‥最初から歴史を見てきた存在が教えてくれました。」

「なるほど‥‥。」

「でも、シャドウとクロノスは生まれ変わって今はエヴァンジル大陸にいる‥‥まさかその始祖の人、魔物に殺される前に二人の力の一部をどこかに止めてやり方を書き記していた‥‥?」

「ええ。その通りです。ただ、歴史までは詳細に書き記した物はありません。魔族がどうやって生まれたかは我々も詳しくは知らないのです。ルリ姫はご存知ですか?」

「‥‥‥一応。原初の精霊、オリジンが話してくれました。」

『え!?』

「是非とも教えて頂きたいのですが‥‥可能ですか?」

「‥‥‥私一人で判断していいのか分かりません。実際、歴代の巫女にも多分話してる筈なのに私達の国でも正確な歴史として残ってませんから。」

「そうなのですか?」

「はい。なので、オリジンや両親‥‥陛下に聞いてからでもいいでしょうか?」

「教えて頂けるならいつでも構いませんが‥‥そうなると、ルリ姫にまたこちらに来て頂くことになりますよ?」

「また日本に帰る機会はあるでしょうからその時にまた寄ります。」

「そんなに頻繁に帰ることが可能なのですか?」

「頻繁には無理でしょうが、日本は私のもう一つの実家です。陛下も説得には応じてくれるかと。あ、なんなら精霊術で来るのを試してもいいかも。」

『え!?』


「‥‥‥ルリさん。あなたは王女の自覚があるんですかね?」

「なんでいきなり微妙な敬語なのよ、リヒト。」

「なんとなく。で、自覚あるのか?」

「勿論。黙っても、勝手にも行動しないよ。」

「当然だ。そして試すなら俺のいる時にしてくれ。」

「うん。そのつもりだよ。」

「ならいい。」

「つまり、どうにかして再び来てくださると?」

「はい。」

「それは助かります。」

「ああ。俺達には一瞬で移動する術はないからな。」

「どっちにしろ、優人が‥‥純粋な人間が魔族になるなんてちょっと疑問が浮かぶところがあるからオリジンや今のシャドウやクロノスに聞いてみないと分からないというか、説明がつかない部分があるんだよね‥‥」

「話が違う部分があったりするのか?」

「うん。ちょっとね。シャドウとクロノスに昔の記憶はないらしいから分からないかもしれないけど‥‥一応三精霊達に聞いてから皆さんにお話した方がいいかと思いますので、歴史語りはちょっと待ってくださいね。」

「ああ。ありがとな、ルリ。」

「次に来るのがいつになるかは分からないけどね。」

「ああ。まあ、気長に待つさ。俺も魔族と同じ寿命だしな。ルリ達の国にも長寿の人はいるんだろ?」

「うん。人間と同じ寿命の人もいるし、魔族と同じ寿命の人もいるよ。」

「そうか。だから焦らなくていいからな。無理も無茶もしなくていい。今回みたいにフラッと来てみたとかのタイミングでいいからな。」

「うん。分かった。‥‥‥そういえば優人、良かったの?」

「なにが?」

「いつもなら今は仕事してる時間って言ってなかった?」

『あ!』

「あ~!本当じゃん!悪い、リヒトさん、ルリ。俺、戻るわ!」

「ふふっ。うん。頑張ってね~優人。」

「おう!後でな!」


と言ってガリアと共に優人が去っていった。


「ハウレスさん。」

「はい?」

「優人の護衛、良かったんですか?」

「ガリアが一緒でしかも城内ですし、一緒に行っても邪魔になりますから。」

「ファクスさんとバラクさんもですか?」

「「はい。」」

「じゃあ元々運動するつもりだったし、俺達に付き合ってもらってもいいですか?」

「ええ。勿論。陛下もそのつもりでしょうしね。」


そして私達は午前中、この一週間以上訓練をサボることになってしまった体をほぐすべく、ストレッチや走り込み等を軽くやった。


昼食後。

優人と見学のガリアさんが見守る中、まずは私が剣術を見せることになった。勿論、訓練用の刃を潰した比較的安全な物でやる。

そして相手は、


「では、私がお相手致しますよ。ルリ姫。」

「ファクスさん。ありがとうございます。」


そして一応勝負ではないが、審判役のバラクさんから開始の合図。


「では‥‥始め!」


その一声で始まった私対ファクスさんの対決。

一応打ち合いはできてるが、ファクスさんが気を使ってくれてるのが分かる。


「やりますね、ルリ姫。」

「嬉しいですが、ファクスさんに気を使って頂いてるのが分かるのでちょっと悔しいです。」

「そうですか?王女でこれだけできればすごいと思いますよ?」

「‥‥目標はリヒトなので、まだまだ先は長いです!」


「え?」

「目標、リヒトさんだってよ。良かったな。」

「あ、ああ‥‥。」

「ん?そんなに意外なのか?」

「ああ。ルリには精霊術とかがあるし、巫女だからな。最前線に立つことはないから、剣術を極める必要はないんだよ。」

「あ、やっぱりそうなのか。」

「まあ、俺も最前線には立たせてもらえないけどな。」

「王太子だからな。」

「ああ。」


優人とリヒトはこうして話してる間もルリ対ファクスの対決をしっかり見ていて、


「しかし、やるな。ルリ。二年前に来た時が初めてで、木刀を振ることから始めたやつとは思えないぞ。」

「あの後、旅の間俺が教えたんだが、最終的には魔物を一匹ずつでも一人で切り伏せられる様になってたぞ。」

「そうなのか!?‥‥‥ガリア、俺ルリに負けてたりするんじゃ‥‥?」

「可能性ありですね。」

「うわ!マジか!」

「ちなみに優人。魔岩を消しに二人で隔離施設入ったら魔物が大量にいたが、お互い自分の身は自分で守ってたぞ?」

「すげえな‥‥。」


と話していると。


「お。やっぱりルリの方が体力でまず負けるか‥‥」


「そこまで!‥‥ルリ姫、いい勝負を見せて頂きました。」

「‥‥ちょっと悔しいですが、ありがとうございます。バラクさん。ファクスさんもお相手、ありがとうございました。」

「いえいえ。私も楽しませて頂きましたから。」


「さて、じゃあ次は俺かな。バラク殿、いいでしょうか?」

「勿論。お相手させて頂きます。ハウレス、頼む。」

「ええ。」


そして私とファクスさんの入れ替わりでリヒト対バラクさん。審判がハウレスさんで始まる。

それぞれの立ち位置につくと、


「二人共、準備は?」

「「いつでも!」」

「では‥‥始め!」


そして二年振りの対決が始まった。


二人の剣撃の応酬はやっぱりすごくて、まだ目で追えない。


先は長いな~‥‥っていうかあの境地までいける気がしない‥‥。

でも、相変わらずいい見本には違いないからしっかり見とかないと!


「やっぱりすげえな、リヒトさん。」

「うん。」

「ルリもすごかったぞ?」

「そう?」

「ああ。ルリは普段、特定の人と対戦したりするのか?」

「うん。大抵はイリスとリアンかな。あ、両方共近衛の副団長ね。」

「ん?近衛程じゃないんだろ?なんでいきなり副団長?」

「たまに実力を見てくれるの。努力が身についてるかなって。」

「へ~!」

「リヒトもだよ。私とリヒトだと実力差がありすぎるから軽くだけどね。」

「リヒトさんは誰と対戦するんだ?」

「近衛の団長。」

「近衛って騎士達のトップ集団だろ?その団長ってことは‥‥」

「うん。国一番の実力者だよ。」

「そんな人と互角って‥‥」


そうして優人とルリが二人で話してる間も目線は変わらず、リヒト対バラク戦をしっかり見ている。


「優人は?普段、誰かと対戦するの?」

「ああ。大抵ファクスだな。」

「あ、ごめん。」

「いいよ。今日は対戦してないハウレスに頼むから。」


と、話していると。


「そこまで!‥‥引き分けですね。」

「ええ‥‥。」


バラクとリヒトで激しく打ち合ったからか、訓練用の剣が両方折れてしまった。なので、引き分け。

そして三人が戻ってきて、


「はぁ~‥‥また決着つかなかった‥‥。」

「ふふっ。また引き分けだったね。」

「ああ。」


「ハウレス。次、俺の相手してくれるか?」

「ええ。勿論です。」

「では、今度は私が審判役をやりましょうか。」

「ああ、頼む。ガリア。」

「え?」


と優人対ハウレスさんと審判のガリアさんが向かっていくと。


「ルリ姫。」

「はい。」

「ガリアは宰相にしておくには勿体ないぐらいの腕を持っているんですよ。」

「そうなんですか?」

「ええ。対戦相手は大抵私ですね。」

「え!?バラクさんって‥‥ガリアさんってお強いんですね‥‥。」

「ええ。」


「では‥‥始め!」


「あ、始まりましたね。」

「ええ。」


「なあ、ルリ。」

「ん?」

「優人となに話してたんだ?」

「え?気付いてたの?」

「ああ。バラク殿もでしょう?」

「ええ。」

「すごっ!」

「で、なに話してたんだ?」

「普段、対戦するなら誰とやってる?って話。」

「ちなみに優人は?」

「ファクスさんだって。」

「へ~!」

「ふふっ。あとはお二人でリヒト様を褒めてらっしゃいましたね。」

「え?」「あ。」

「‥‥褒めてくれてたのか?」

「うん‥‥。」


そのまましばらく優人達の対戦を見ていたが‥‥


「そこまで!‥‥残念でしたね、陛下。」

「ああ‥‥。」

「やっぱりお強くなられましたね。陛下。」

「そうか?」


そう話ながら戻ってきた優人達三人。


「なあ、ルリ。」

「ん?」

「明日は俺とやってみないか?」

「え?」

「確かに今見た限りは実力的に近いのはルリだな。」

「やっぱりか‥‥。で、どうだ?ルリ。」

「うん。リヒトの様子からして反対じゃないみたいだし、いいよ。」

「でもこれでルリに負けたら恥ずかしいよな‥‥。」

「ははは!そうだな。」

「ふふっ。そうだね。」

「で、俺は‥‥明日もいいでしょうか?バラク殿。」

「勿論ですよ。」


「さて。動いたし、仕事に戻るかな。」

「頑張れよ~!」

「おう。夕食までにはぜってぇ終わらせる!」

「おお~!頑張れ~!」

「ああ!」


そして優人はまたガリアと共に去っていった。


「忙しいやつだな。優人は。」

「ふふっ。しょうがないよ。魔王様だからね。」

「だな。」


そしてルリ達も汗を流すべく、各々の部屋へと向かった。

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