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転職したら異世界だった……実体験から始まる異世界生活  作者: はるやまモブ男


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第11話 モブ男の苦悩

一週間ぶりに、俺はラストダンジョンへ帰ってきた。


久しぶりの職場。

久しぶりの仲間たち。

そして、相変わらずの地獄。


……いや、できれば平和な職場になっていてほしかった。


だが、そんな願いが叶うはずもなく。


俺を待っていたのは、15時間の長期クエストだった。

俺は目を覚ました。

「さて……行くか」

起きてから準備が終わるまで、わずか10分。

俺の住む家からラストダンジョンまでは10分ほどだ。

7時からクエストが始まるため、6時30分に起床。6時45分に家を出発する。

6時55分、ラストダンジョンに到着。

6時57分、待機室へ。

そして7時。

今日のクエストが始まった。

今日のクエストは、錬便術師。

20か所以上で黄金のエリクサーを錬金させられ、もう嫌になっちゃった。

……一週間ぶりに来てみれば、相変わらずのダンジョンだ。

休んでいる間にも、いろいろあったらしい。

キヨジンが珍撃してきて、ウォールマリアが制圧されちゃうし。

「ダメっす、ウォール〇リアっす」

「あ、そだね。版権だね」

「そうです」

落ち武者は、上半身裸に網のベストという、見えてはいけないものが見える格好で現れる。

メスオークは大暴れ。

そして、伝説の勇者パーティーは今日も冒険を続けていた。

……ここは一体、どうなっているんだ?

「そういえば、モブ男君。体、大丈夫なの? 2週間って聞いてたから、私、夜まで仕事しようとしてたんだけど……」

「え?」

俺は耳を疑った。

13時から翌朝7時まで働いて、そのまま7時から22時まで働くつもりだったのか。

……いやいや、待て。

ここのダンジョン、どうなっているんだ?

今日のクエストは15時間。

利用者は28人。

そして、俺はワンオペだった。

伝説の勇者パーティーは4人組。

勇者はリーダーで、とにかくおせっかい。

シーフは部屋に入り込み、引き出しを開けて物を盗む。

アサシンは、みんなを起こして回る。

もう一人のシーフは、そこらじゅうで放尿しながら歩く。

まるで、某有名RPGのように、ゴミ箱もトイレも引き出しも、あらゆる場所を探索する。

……頼むから、宝箱だけにしてくれ。

だが、俺には冒険を楽しんでいる暇などなかった。

朝食、昼食、夕食。

オムツ交換、トイレ誘導、入浴介助。

次から次へとクエストが発生する。

休憩?

食事?

そんなものを取る暇はない。

それでも、俺は歩き続けた。

腰を痛めて、まだ完全に回復していない。

それでも、なんとか仕事をこなしていく。

そんな中、コノリがやってきた。

入浴介助を任せようとしたが、コノリは仕事の流れを知らず、かえって手間が増えてしまう。

最初の利用者を浴室に入れた、そのときだった。

「なんでわたしがこんなことしなきゃいけないのよ!」

そう言って、コノリは浴室から出ていった。

……。

キヨジンの顔には、手形がついていた。

そして、時間は過ぎていく。

気がつけば19時。

ようやく大半の仕事を片付けた頃、俺の腰は限界を迎えていた。

もう歩けない。

俺は車いすを使いながら、残りの仕事を続けることになった。

そのときだった。

ヨシは、いつも左手にアルを持っている。

アルというのは、昔流行したオートメイル……ではない。

海外製の、ちょっと不気味な呪いの人形だ。指をしゃぶらせると目が開くなど、妙に凝った仕掛けがある。

そして、なぜか全裸である。

……誰か服を着せてやれ。

そのアルの口元が、うんこまみれになっていた。

どうやらヨシは、アルにうんこタウパーバーガーを食べさせたらしい。

……。

俺はワンオペだ。

誰かが知らせてくれるわけでもない。

自分で発見し、自分で対応するしかない。

そんな俺に、メスオークが話しかけてきた。

「あんちゃん、ゴウチンすっぺ。ゴウチンってしってっか? あうちんぽって書くんだよ」

……今、それどころじゃない。

そのうえ、キヨジンが珍撃化。

そして、そこへ現れたのが――。

ぱーぱふガールズ!

……いや、助けに来たのかと思ったら、違った。

魔法のアイテム「カンイトイレ」の水を使い、顔を洗って髪を整え始めた。

俺は車いすに座ったまま、目の前の光景を眺めていた。

……お前ら、何しに来たんだ?

まず、メスオークを外にいるヤギヒーラー、ももに合わせて戦わせる。

次に、ヨシとアルを台車に乗せる。

そして、ぱーぱふガールズもろとも風呂場へ。

キヨジンは……。

放置。

すべてのクエストを完了し、戻ってくると……。

キヨジンは座っていた。

俺がいつも座る椅子に。

フル珍で。

そして、俺のカップラーメンを……。

バリバリ。

生で食べていた。

……。

こうして、モブ男のなけなしの食事が消えた。

そして、新たなクエストが発生した。

【新規クエスト】

椅子の処分。

なお、今回の件はモブ男自身のミスであるため、椅子は自腹で購入すること。

……俺の腰は、もう限界なんだけどな。

仕事が終わった俺は、車いすに乗ったまま、24時間営業の雑貨屋・図羅医或へ向かった。

目的は、新しい椅子の購入。

そして、すべてが終わったのは午前2時だった。

俺は次のクエストを確認する。

【次のクエスト】

出勤時間:7時00分。

……。

俺は目を閉じた。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!


復帰初日から15時間勤務。

しかも、腰はまだ完治していない。


それでも働くモブ男。


利用者28人を相手に、食事、排泄、入浴、その他もろもろ。

ようやく仕事を終えたと思ったら、今度は椅子を買いに行く羽目になりました。


……しかも自腹。


そして、午前2時に帰宅して、次の出勤は午前7時。


睡眠時間は、最大でも5時間。


さて、ここで問題です。


**これは冒険者の生活でしょうか?

それとも、ただのブラック企業でしょうか?**


答えは……読者の皆様にお任せします。


それでは、また次のクエストでお会いしましょう!

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