第59章 影の核
地下神殿に、数拍の沈黙が落ちた。
グレンダ・シェアフィールドの言葉が終わった直後だった。古のハイエルフは広間の中央にゆったりと立ち、紫色の瞳を私に注いでいた。五十代に見える洗練された貴婦人の姿だが、その魔力の重みが肌に物理的な圧力として押し寄せてくる。古く、歪み、貪欲なものだった。
私はナイトズ・ラメントの柄を強く握った。背中にしがみつくミラを庇うように体を構え、翼を半分広げて即座に動ける態勢を取った。セラフィエルは左側で戦闘態勢に入り、槍を聖なる光で輝かせている。ヴァラクは右側に立ち、大剣を肩に担ぎ、刃に業火を灯していた。
グレンダは首をわずかに傾け、私を興味深い標本でも見るように観察した。
「名前は? 小さな君主よ」
「リリス・ノクターン」私は声を落ち着かせて答えた。
彼女の瞳が本物の興味で輝いた。
「ノクターン? ではあなたがノクターン血統の最後の者……そして一つの体に《二つの魂》を宿しているのね」彼女は柔らかく、喜びに満ちた笑いを漏らした。「あなたは本当に特別よ、子よ。でも教えてくれない? 魂の遺物に、何を求めているの? 特に、真の魂移転儀式を可能にするほど強力なものを」
私の指が剣の柄を強く握りしめた。彼女の周囲で魔力が生き物のように渦巻いているのが感じ取れた。ただ強いだけではない——《間違っている》。まるで何十もの魂が無理やり融合され、決して落ち着かなかったかのように。
「この体の本来の主」私は言った。「エリシア・ノクターン。彼女を完全に蘇らせたい。魂移転儀式が、私の知る唯一の方法だ」
グレンダの笑みが、真剣なものに変わった。
「それでも、魂移転がどれだけ危険か理解しているのでしょう? 一つのミス——儀式の中での一つの計算違いで、蘇らせようとする魂だけでなく、現在の体に宿る魂まで引き裂かれる。あなた自身を完全に消し去ることもあり得る」
背中のミラが震えたのが伝わってきた。
「リスクはわかっている」私は声を強めて答えた。「それでもやる。もう引き返すには遠くまで来すぎた」
グレンダは長い間、私の顔を紫色の瞳で探るように見つめた。やがて、ゆっくりと再び笑みを浮かべた——しかし今度は、鋭く危険な刃が混じっていた。
「なるほど。では、こうしましょう、小さな君主。私の《闇波スライム》を破壊できたら——その核を見つけて砕けたら、私はあなたたちに金庫室を開けてあげましょう。嘘も、さらなる試練もないわ」
エレンディルが即座に前に出た。顔が青ざめている。
「やめなさい、リリス! あれには物理攻撃も魔法攻撃も完全に無効化する防御障壁がある! 核に届く方法などない! あなたは死ぬ!」
私は彼を一瞥し、再びグレンダを見た。スライム怪物はすでに形を変え、体がどんどん大きくなりつつあった。赤い目がいくつも開き、私たちを飢えたように見つめている。
私はゆっくりと息を吸った。
「わかった。契約成立だ」
グレンダの笑みが広がった。
「素晴らしい」
戦いは即座に始まった。
闇波スライムが、巨大な体とは思えない恐ろしい速度で突進してきた。タールのような太い触手が体から爆発的に伸び、すべてが鋭い氷の棘で終わっていた。四方八方から同時に襲いかかる。
私は動いた。
[虚空歩行]
触手の間を瞬きし、背中のミラを守りながら第一波を回避した。攻撃は重く速かったが、予測可能だった。私はその間を縫うように進み、ナイトズ・ラメントを閃かせて二本の触手を一気に斬り落とした。
触手は即座に再生を始めた。
私は舌打ちをし、さらに近づいて本体の中心を狙った。剣に力を込める。
[インフェルナル主権:業火の牙]
竜炎の集中した爆発がスライムの核付近に叩き込まれた。
何も起こらなかった。
炎は油の上に落ちた水のように表面を滑り、吸収されてしまった。スライムは速度すら落とさなかった。
『無効……エレンディルが言った通りだ』
さらに多くの触手が襲ってきた。今度は本当に全方位から。回避しようとしたが、数が多すぎた。一本が肋骨を横殴りに捉え、私を吹き飛ばした。空中で体を捻り、足で着地。石の床を滑りながら停止した。脇腹に激痛が走る。
ミラが叫んだ。「お姉ちゃん!」
「大丈夫!」私は叫びながら、すでに再び動き出していた。
スライムは成長していた。攻撃を当てられるたびに、より大きく、より凶暴になっていく。体中の目から黒いエネルギー弾が撃ち出され始めた。私は翼で後方に爆発的に飛んで、着弾点の石を溶かした集中ビームをギリギリで回避した。
セージの声が心に緊急に響いた。
『マスター! 解析完了。これは《闇虚無スライム》——攻撃が成功するたびに強くなる最上位の怪物です。体は物理・魔法両方のダメージに完全に無効。さらに膨大な魂のエネルギーを宿しており、攻撃力を約五十倍に増幅しています』
『五十倍!?』
再び触手の嵐が襲ってきた。私はドミニオン・バリアを展開したが、数本が突破して叩き込まれた。吹き飛ばされ、巨大な柱に激突。石が砕け、口の中に血が溢れた。
片膝をつき、咳き込む。
これはまずい。本当にまずい。
圧倒されていた。スライムは複雑な戦術など使わず、ただ生の数と力で溺れさせようとしている。そして私にダメージを与えるたび、より強くなっていく。
セージが再び、緊急だが冷静な声で語った。
『マスター、よく聞いてください。スライムの体は物理・魔法攻撃に無効ですが、霊的攻撃には脆弱です。ただし、核を覆う防御障壁がすべての霊的エネルギーを無効化しています。その障壁を損傷・破壊できれば、魂ベースの攻撃で核を直接狙えるはずです』
私は口の血を拭い、荒い息を繰り返した。
『まず障壁を壊す……それからソウルイーターか何かで叩く』
しかし、どうやって物理・魔法両方に無効なものを壊すというのか?
私は一瞬目を閉じ、旅の最中にヴァラクから叩き込まれた過酷な訓練を思い出した。
『技が通じなければ、力でぶっ壊せ。時にはすべてを焼き払うしかない』
ナイトズ・ラメントの柄を強く握り、ヴァラクに教わったように魔力を剣に注ぎ込んだ。黒と深紅の炎が刃を揺らめく。
しかし、まだ足りない。魔力は……どこか不完全だった。何かが欠けている。
私は一瞬で決断した。
「永遠の賢者」歯を食いしばりながら言った。「今私が注いでいる魔力を解析しろ。真の進化ドミニオンの即時成長能力と融合させろ。強制進化を」
セージは迷わず答えた。
『了解、マスター。解析と強制進化を開始します』
数秒、何も起こらないように見えた。やがて、金と深紅の光が私の剣の周囲で爆発的に広がった。私が注いでいた魔力が急激に変質し、加速しながら捻じれ、成長していく。まるで古く、捕食的な何かが武器の中に目覚めたかのようだった。
新たなスキルが脳内に形を取った。
魔導支配
魔力操作の進化形態。
サブスキルが次々と意識に流れ込んできた。
- 魔人の威圧:受動的に敵の士気を削ぎ、味方を強化する。
- 魔眼:幻を看破し、魂の弱点を視認。
- 魂の刈り手:霊的・魂ベースの存在へのダメージを大幅に増加。
- 魔人の剛力:魔力を流している間、物理攻撃力を一時的に大幅強化。
- 魔人の召喚:下位悪魔や腐敗した存在を指揮可能。
- 完全魔力制御:魔力の流れを完全に掌握し、精密かつ爆発的な運用が可能。
力が体を駆け巡った。
目を開けた。瞳は深紅と黒に輝いていた。
闇虚無スライムが再び触手の嵐で突進してきた。
今度は、ただ回避するだけではなかった。
私は《通り抜けた》。
虚空歩行+魔人の剛力。
スライムの正面に直接現れた。魔力を凝縮したナイトズ・ラメントが、垂直に叩き込まれる。
刃が、スライムの核を覆う防御障壁に命中した。
初めて、何かが起きた。
不可視の障壁に蜘蛛の巣状の亀裂が広がった。スライムが歪んだ、泡立つような咆哮を上げた。
私は回復の隙を与えなかった。
魂の刈り手+永遠の魂ドミニオン。
すべてを注ぎ込み、損傷した部分に集中して次の斬撃を叩き込んだ。
剣が沈んだ。
障壁が砕け散った。
そして私は、ナイトズ・ラメントをスライムの体内深くに隠された赤く輝く核に突き刺した。
闇虚無スライムが、寺院全体を揺るがすような恐ろしい、湿った悲鳴を上げた。体が激しく痙攣し、黒いエネルギーが傷口から噴き出す。触手が四方八方に暴れ回ったが、すぐに力を失っていった。
私はさらに押し込み、魔力と魂の力を剣に注ぎ続けた。
「燃えろ」私は低く唸った。
核に亀裂が走った。
そして、爆発した。
腐敗した魂のエネルギーの大波が外側へ噴き出した。私は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ、数回転がった後に停止した。全身が悲鳴を上げていたが、なんとか顔を上げた。
闇虚無スライムは自らに崩れ落ち、巨大な体が無害な黒い泥へと溶け、瞬く間に蒸発していった。
神殿に沈黙が落ちた。
私は冷たい石の床に横たわり、荒い息を繰り返した。新しい傷から血が滴る。剣はまだ強く握っていた。
グレンダ・シェアフィールドは、最初にいた場所に立ったまま、私を広く興味深げな笑みで眺めていた。
「まあ……」彼女は柔らかく言った。「それはとても印象的だったわ、小さな君主」
私は血で濡れた髪を掻き上げ、一つ膝をついて彼女を睨みつけた。
「約束だ」声は掠れていた。「金庫を開けろ」
グレンダの笑みが広がった。
「もちろん。約束は約束よ」
彼女は杖で床を一度軽く叩いた。
神殿の奥にある巨大な両開きの扉が、複雑な青いルーンを輝かせながら、深い軋みを上げてゆっくりと開き始めた。
エレンディルは呆然と私を見つめていた。セラフィエルは静かに感心した様子だった。ヴァラクは狂ったように笑っていた。
背後から、ミラの小さな声が震えながらも安堵に満ちて届いた。
「お姉ちゃん……やったね……」
私はゆっくりと疲れた息を吐き、なんとか立ち上がった。
エレンディルの道具への道が開かれた。
しかし、直感が告げていた。これはまだ、本当の危険の始まりに過ぎないと。
グレンダ・シェアフィールドは、まだ微笑んでいた。
そして、私は彼女がまだ私を試し続けているような、嫌な予感を拭えなかった。




