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第45章:死の円錐山への道

 翌朝、フロストヘイヴンに北の山岳地帯特有の、身を刺すような冷たい空気が満ちていた。

 都市のあらゆる表面に霜が粉砂糖のように降り積もり、下層の地熱源からゆるやかな蒸気の柱が淡い青空へと立ち上っている。

 俺は大魔導士の山小屋の外に立ち、遠くの峰に昇る太陽を眺めながら、旅の鞄の紐を調整していた。

 昨夜購入した追加の毛皮裏地を重ねた新しい冬装備を身に着け、長い雪白色の髪は風に邪魔されないよう実用的な三つ編みにまとめていた。


 ミラはすでに目を覚まし、小さな岩棚の上で子供特有の無尽蔵な元気で跳ね回っていた。

 温かい粥と干し果物でしっかり朝食を済ませ、黄金色の瞳を輝かせながら、近くをうろうろしていた小さな雪兎を追いかけている。


「リリスお姉ちゃん! 見て見て、すっごくふわふわ!」


 兎が逃げていくのを笑いながら彼女が呼んだ。


 俺は心の重さを抑えて微笑んだ。


「滑らないよう気をつけろ、ミラ。端は急だぞ」


 賢者が俺の傍らに顕現した。銀色の髪が光を受けて星の糸のように輝く。エリシアの小さな魂が彼女の胸元近くで、静かにすべてを見守っていた。


「エレンディルはもうすぐ準備が整います」

 賢者が静かに言った。「彼は夜通し、ずっと封印していた道具を集めていました。この旅は容易いものではありません、主よ。死の円錐山は遠く、道はほとんどの王国よりも古い力に守られています」


 俺は頷き、紅い瞳で地平線を睨んだ。


「わかっている。でも、これは必要なことだ。エリシアのために。ミラのために。俺たちのために」


 小さな家の扉が軋んで開いた。

 大魔導士エレンディル・ヴォスが姿を現した。まさに古代の高位エルフの学者そのものだった。

 長い銀髪を後ろでまとめ、旅用の魔法が施された灰色のローブを重ね着している。

 その後ろには巨大な魔法の宝箱と複数の浮遊する鞄が浮かび、古書、羅針盤、巻き地図、水晶球、そして俺にも名前がわからない奇妙な金属器具でいっぱいだった。


 その荷物の量に俺は思わず見入った。


「え……全部必要なのか?」


 驚きを隠せずに尋ねると、エレンディルは真顔で俺を見つめ返した。サファイアの瞳が瞬きもしない。


「永遠の氷原で道に迷ったり、霜の蠕竜の巣に踏み込んだりしたくなければ必要だ。極北の航行は道を辿るものではない。星と魔力の流れ、そして古代のレイラインを読むものだ。これらがなければ、雪に飲み込まれるまで彷徨うことになる」


 俺は何も言わず、ただ片眉を上げた。この高位エルフは明らかに最小主義とは無縁の男だった。


 ミラが俺の脚の後ろから顔を出し、浮かぶ荷物を大きな目で見つめた。


「わあ……本がいっぱい! 魔法使いのおじさん!」


 エレンディルの唇がわずかに緩んだ。


「知識こそが未知に対する唯一の真の武器だぞ、小さき者よ。忘れるな」


 次の1時間、俺たちは荷物を強化した馬車に積み込んだ。

 雪竜たちは長い旅を察知したのか、鼻を鳴らして蹄を地面に打ちつけている。

 俺はミラを馬車の後部にそっと乗せ、厚い毛皮で包んで小さな魔法の暖房石を手渡した。


「ここで温かくしていろ」

 狐耳を優しく撫でながら言った。「怖くなったり寒くなったりしたら、すぐに教えてくれ」


 ミラは暖房石を宝物のように抱きしめて頷いた。


「うん、約束するよ、お姉ちゃん」


 俺は馬車の後ろに腰を下ろし、脚を垂らして座った。膝の上に【夜の嘆き】を横たえる。

 エレンディルが御者席に座り、淡い青い魔力を掌に灯して雪竜を操った。手綱を鳴らすと、馬車は動き出した。


 旅の序盤は、意外なほど平穏だった。


 馬車は整備された北の道を滑らかに進み、雪竜の力強い脚が一定の速度を保ってくれる。

 昨夜猛威を振るった吹雪は去り、太陽の下で真新しい白い風景がきらめいていた。

 遠くの山々が空に鋭い歯のようにそびえ、風は松と氷の淡い香りを運んでくる。

 しばらくの間は、まるで平和さえ感じられた。


 ミラが馬車から顔を出して、見えるものすべてを指差した。


「見て、リリスお姉ちゃん! あの山、眠ってるドラゴンみたい!」


 俺は笑った。


「確かにそうだな」


 エレンディルが振り返り、表情をわずかに和らげた。


「北の地は、過酷な土地さえ美しく見せる。しかしその美しさは仮面だ。永遠の氷原は、軍勢を丸ごと飲み込むような魔物と遺跡を隠している」


 時間が経つにつれ、道は狭く急峻になっていった。

 正午頃、再び吹雪が猛烈に襲いかかり、世界を白い渦に変えた。

 雪が小さな針のように馬車を叩く。俺はミラをさらに奥へ引き入れ、【支配の糸】と【主権竜鎧】で車両を強化して、嵐の最悪の部分をしのいだ。


 午後遅くに吹雪がようやく晴れた時、目の前に広がった光景は息を飲むほど美しかった。

 人の手が触れていない雪原が果てしなく続き、ダイヤモンドのように輝く氷の造形物が点在している。

 遠くの氷河が太陽に青く輝き、巨大な毛むくじゃらのマンモスの群れが遠い尾根をゆっくりと移動していた。


「ここから見ると、全部がすごくきれい……」

 ミラが感嘆の声で囁き、身を乗り出して見つめた。


 エレンディルは狭い尾根を慎重に馬車を進めながら頷いた。


「そうだ。しかしその美しさは仮面に過ぎない。永遠の氷原は、軍隊を丸ごと飲み込むような存在と遺跡を隠している」


 道中、エレンディルはこれからの旅について徐々に多くを語り始めた。


「魂転移の儀式に不可欠な道具と最重要部品は、囁きの氷河の下にある地下墓所に何世紀も封印されている。あそこは軽々しく訪れる場所ではない。その墓所は、偉大なる神獣の一つ――冥界の守護者ケルベロスによって守られている」


 俺は冷たい空気を思わず飲み込んだ。


「ケルベロス? 冥界の番犬の? 冥府の門を守る三つ首の地獄の猟犬か? お前があれを召喚して、ただの番犬として使っていたというのか? いったいどんな禁忌のスキルでケルベロスを呼び出したんだ!?」


 エレンディルが冷たい視線を投げかけてきた。


「言葉遣いに気をつけろ、主権者よ。……そうだ。私は高位エルフに伝わる最強の召喚術の一つ――【大召喚】を使った。術者の魂力と捧げ物に応じて、上位魔族か神獣を呼び出すことができる。ケルベロスは私の契約を受け入れた。価値ある知識の永遠の守護を捧げたからだ。あれ以来、私の最も危険な遺物を守り続けている」


 賢者の声が会話に加わった。冷静で情報豊富だった。


『【大召喚】は、師級を越えて上級に近い極めて稀なスキルです。術者の魂を使って異界と繋ぐものです。召喚される存在――上位魔族や神獣――は、存在する中で最も強力な者たちです。全力を発揮すれば惑星そのものを揺るがし、他界にすら影響を及ぼすことができます。彼らは道具ではなく、自然の力そのものです。自ら仕えることを選ぶのです』


 エレンディルは厳しい表情で頷いた。


「その通りだ。上位魔族と神獣は力の頂点に立つ。最も弱い者でも都市を平らげる。全力ならば……破滅的だ。だから、リリス・ノクターンよ、お前がケルベロスを倒せると思うな。力の差は圧倒的だ。必要なものを取り戻したければ、敬意を持って、正しい捧げ物と共に近づかねばならない」


 俺は彼の後頭部を見つめ、情報を整理した。


「つまり、冥界の番犬に許可を求めて、お前の荷物を持ってこい……そして食われないことを祈れ、ということか」


 エレンディルの声に、わずかな乾いたユーモアが混じった。


「要するにそういうことだ。北へようこそ、主権者よ。ここでは守護者ですら敬意を要求する」


 馬車の中で聞いていたミラの耳がぴくっと動いた。


「ケルベロスって怖そう……でも、リリスお姉ちゃんとセージさんがいれば、大丈夫だよね?」


 俺は後ろに手を伸ばし、彼女の手を優しく握った。


「そうだな。大丈夫だ」


 太陽が沈み始め、雪景色をオレンジと紫に染める頃、馬車は進み続けた。

 死の円錐山への道は長く危険に満ちていたが、一マイル進むごとに、俺たち――賢者、エリシア、ミラ、そして俺――の絆は確実に強くなっていくのを感じていた。


 不可能が、待っている。


 そして俺たちは、一緒にそれに立ち向かう。

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