表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】捨てたものに用なんかないでしょう?  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/42

36  どうかなさいましたか?

読んでいただきありがとうございます!


途中からテイラン視点に変更になります。

「私はあなた方に捨てられたなどと、これっぽっちも思っていません。絶縁状はあなたたちを捨てるために作ったのです。この意味は理解していただけますわね?」


 リミアリアは微笑みながら小首を傾げた。


「どういうことだ? 絶縁状を作ったのは、私たちへの当てつけじゃなかったのか?」


 テイランは引きつり笑いを浮かべて、リミアリアに聞き返した。


「違います。あなた方の罪が暴かれた時、巻き込まれないようにするためです」

「罪だと? リミアリア、いい加減にしろ! フラワは私とホリーがお前の母を殺したと言ったかもしれないが、私たちは関与していない!」

「そうよ! あの子がでたらめを言っただけ。信用しないでちょうだい!」

「でたらめかどうかは、騎士隊が調べてくれると思います。あなた方が母の死に無関係だと言うのなら、慌てる必要もありませんわね? それなのにどうして、動揺しておられるのでしょうか」


 リミアリアが首を傾けると、テイランとホリーは顔を見合わせて黙り込んだ。

 何年も前の出来事のため、証拠など見つかるわけがない。テイランたちはそう考えていたが、彼らはフラワがやったことを知らなかった。

 そのことに気がついたリミアリアは、彼らに教えてやることにした。


「先日、シウナ子爵はフラワ様に私宛の菓子を持参させましたわよね?」

「……マドレーヌのことか?」

「そうです。実はあのマドレーヌ、フラワ様が毒入りと普通のものを入れ替えていたのです」

「なんだって!?」


 テイランは目を見開いて聞き返した。


「誰も口にしていませんので、ご心配なく。ただ、フラワ様が馬鹿なことを考えたおかげで、毒の入手ルートをつかむことができました」


 リミアリアはホリーを見つめ、意味ありげな笑みを浮かべた。すると、ホリーの身体が震え始めた。そんなホリーにリミアリアは笑みを消して尋ねる。


「あら、どうかなさいましたか?」

「な、な、なな、何でもないわ」


 ホリーは以前、フラワに毒の入手ルートを教えたことがあった。フラワに毒を売った相手は、リミアリアの母を毒殺した時に使った業者と同じだったため、自分にも捜査の手が及ぶのではないかと恐れたのだ。


「違法で毒を販売していたという理由で、業者は騎士の取り調べを受けているところだ。どんな話をしてくれるか楽しみだな」


 黙って話を聞いていたアドルファスが話を補足すると、テイランたちの顔色はみるみるうちに青ざめていったのだった。


******


 アドルファスの話を聞いたテイランは冷や汗が止まらなかった。


(私が買った菓子を毒入りと入れ替えただと? あの馬鹿娘はなんてことをしようとしたんだ! 何かあれば、私が疑われるところだった!)


 どうして、自分のことしか考えない娘に育ってしまったのか。

 テイランは自分のことを棚に上げてそう考え、隣に座るホリーを見つめた。

 ホリーは真っ青な顔をして、床の赤いカーペットを凝視しているだけで、テイランに見られていることに気づく気配はない。


(昔は美しかったが、年を取るとそうでもないな。この女のために、危ない橋を渡るんじゃなかった)


 テイランはホリーを見つめながら昔のことを思い返す。

 あの時は、両親に反対されていたこともあり、ホリーとの仲が余計に燃え上がってしまっていた。その熱が続いていた頃に、テイランの両親が亡くなり、ホリーから当時の妻を毒殺しようという話が持ち上がったのだ。


(私は最初は反対したんだ。だが、ホリーが薬師つながりで毒薬を入手し、私の所へ持ってきたんだ。そうだ。毒薬を仕入れた業者は私が関与していることは知らないはずだ)


 リミアリアの母の食事に毒を入れたのはテイランだ。だが、それを知っているのは、ホリーしかいない。

 テイランは深呼吸すると、リミアリアに頭を下げた。


「毒を入手して、お前の母を殺したのはホリーだ。止めることができず、本当に申し訳ない」

「あなた! 何を言っているのよ!」


 リミアリアが反応する前に、ホリーが素早く顔を上げて反論した。


「元妻の食事に毒を入れたのはあなたでしょう! 私のせいにしないでちょうだい!」

「私は何も知らなかった。お前に頼まれて、当時の妻の料理に液体を入れただけだ。毒だなんて知らなかった」

「あなた! 裏切るつもりなの!?」


(うるさい女だ)


 泣き叫びながら、自分に掴みかかってきたホリーから逃れることはせず、無抵抗のまま、頬や体を殴られていると、リミアリアがふたりに話しかけた。


「話を整理したいと思いますので、一度、落ち着いていただけますでしょうか」

「……っ」


 リミアリアの冷たい眼差しに怯んだホリーは、大人しくソファに座って前を向いた。テイランが乱れた衣服を直し、居ずまいを正すと、リミアリアはテイランに尋ねた。


「シウナ子爵は私の母の毒殺の件に、一切関与していないとおっしゃりたいのですよね?」

「そうだ。悪いのはこの女だ」


 テイランはホリーを指差して断言した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ