第8話
気がづいたら、頭が真っ白になり、殴りかかっていた。
フルスイングで小さな緑色の肌をした人型生物の頭を、バットで殴りつけた。
一撃で命を刈り取った。
逃げ出そうとした二匹目は一撃とはいかなかったが、それでも容赦なく殴り殺した。
【レベルアップを確認しました】
そんな女性の声のアナウンスが頭の中に響いても、はぁはぁと荒い息をつき、
目の前の光景に、昂った気持ちはなかなか収まらなかった。
目の前には、ボロボロな人間の死体があり、藤次はそれに向けて両手を合わせて黙祷した。
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時間は少しさかのぼり、彼が通りを慎重に歩いていたときだった。
こちらに気づかず、一心不乱に下品な笑い声をあげながら、人間の死体を弄ぶ
二匹の小さな緑色の肌をした人型生物を見つけたとき、何かが自分の中で切れる音を聞いた。
そして今に至る。
「埋めてやれなくてごめんな・・・」
埋葬する時間もないので、合掌したままそう死体に向かって言葉をかけた。
周囲を確認するも、他の敵の姿は見えないが、ここで油断してステータスを確認する
わけにはいかなかった。
「出入口作成」
この出入口作成というスキルは、声に出さないと発動しない種類のスキルなのは、
ここに来るまでの間に確認済みだった。
割と平らなブロック塀にスキルでドアを設置し、素早く中に入り、ドアを閉める。
一息ついて、ここでやっとステータスの確認をする。
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名前:霧型 藤次
レベル:3 (2→3) New!
職業:管理人
スキル:管理人室
部屋作成 (作成済み)
出入口作成
SP:10(0→10) New!
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家から出て、まだ3時間も経っていないのに、肉体的にというより、精神的にかなり疲れていた。
ここまでの道のりが尋常ではなかったせいだ。
そして、このスキルに幾度となく助けられていた。
あきらかに出会えば殺されるであろう恐ろしいモンスターに気づかれ、追いかけられ、
必死に逃げだす場面がしばしばあった。
袋小路に逃げ込んでしまったときも、この不思議部屋に逃げ込めば不思議とモンスターは
入ってはこなかった。
検証はできないし、そう思い込むこと自体が危険だが、モンスターにはこの部屋が感知できない
のかもしれないと、あくまで仮定として心の中でメモっておく。
さて生き残るためにスキルを習得するとしよう。
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・部屋作成 (解放済み)
・出入口作成 (解放済み)
・部屋拡張 3SP
・内装変更 2SP
・部屋追加 5SP
・部屋効果:回復 5SP
・倉庫作成 5SP
・家具作成 1SP
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「ゲームなら、回復は必須なんだが、なにを回復するか書いてないのがなぁ・・・。
キズを回復するというのであれば即決だが、体力を回復するという可能性もあるし、しかし、
こればっかりはわざわざ怪我を負って検証するわけにもいかないしなぁ・・・」
そんな独り言をつぶやきつつも、ステータスを操作して【部屋効果:回復】を取得する。
【部屋効果:回復スキルの習得を確認しました】
「まぁ、何を回復するにしろ、あって困るものではないだろうからな」
と誰に向けてなのか、どこかの誰かに向けて言い訳を口にする。
しばらく待ってみるが、今回は何かが新しく解放されることは無いようだった。
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・部屋作成 (解放済み)
・出入口作成 (解放済み)
・部屋拡張 3SP
・内装変更 2SP
・部屋追加 5SP
・部屋効果:回復 (解放済み)
・倉庫作成 5SP
・家具作成 1SP
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残り5SP。
たしかに倉庫も欲しいのだが、それよりなにより、人間には3大欲求というものがある。
食欲、睡眠欲、性欲の3種類だと言われている。
睡眠欲に関しては、まぁ別にこの白い部屋に寝っ転がればいいだけで、寝心地が硬くて
悪かろうが、生き残りをかけた現状、贅沢は言ってられない。
性欲も生き残りには直接関係ないので除外する。
つまりは、そう、食欲の話だ。
食べれば当然出るわけで、そして今回ズバリ欲しいのが、家具、すなわちトイレなわけだ。
人間トイレをしているときが一番無防備になるという説もある。
というわけで、家具作成でトイレを作るためにステータス操作をする。
だが、結果として作れなかった。
何がいけないのだろうか?
トイレが作れない理由を考えてみる。
水道が整備されていないからとか?
いやいや、そもそもスキルで作った不思議部屋に、水道もなにもあったものではないだろう。
たとえ整備できるとしても、俺にそんな技術は無いし、こんな世界で整備してくれるような
酔狂な人がいるかどうかさえ分からない。
もしくは、設置場所がダメという可能性もあるだろうか?
ゲームによっては、たしかに入口付近には家具などを配置できない場所というものが存在する。
現在の1.8m×1.8mの正方形二畳のこの不思議部屋では、トイレを設置するにしても、
入口を入ってすぐにトイレということになるだろう。
つまり、出入口に近すぎるから設置できない可能性は・・・あるかもしれない。
ということは、試すにしても、3SPで部屋を拡張をしないといけないことになる。
まぁ部屋が広くて困ることは無いだろうしと、どこかで聞いたようなことを口走りながら、
ステータスを操作していく。
【部屋拡張スキルの習得を確認しました。部屋を拡張しています】
そんなアナウンスが頭の中に流れると、部屋の壁がぐぐぐっと広がっていくような錯覚を覚え、
いつの間にやら10畳くらいの広さの部屋になっていた。
「想像よりだいぶ広くなったなぁ」
およそだが、足で測って4m×4mくらいじゃないかと思った。
そんな特殊な測り方を教えてくれた両親が、今もどこかで無事に生き残ってくれていればと考えて、
ふと無性に会いたくなった。
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