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この壊れゆく世界でスキルを手に入れ生き延びる  作者: 小鳥遊ケイ
第一章 終わりの始まり
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第7話

ドアの隙間から外をそっと覗いて、藤次はその光景に驚愕した。


まずそこが自分の部屋だと信じられないくらい何もなかった。

家具の残骸はあったが、タンスは無く、ベッドもなく、棚も何も無かった。

あるのはほぼ原型を留めていない家具の残骸だけだった。


そっとドアから自分の部屋へと踏み出し、自分の部屋から出たところで、さらなる驚愕すべき

光景を目にし、唖然とした。

およそ家の半分が無かった。

何が起きたらこんなことになるのか、元は廊下のあった場所はまるで崖となっており、そこから

下をのぞくと瓦礫が散乱していた。


自分の家は一戸建てであり、自分の部屋が2階の角部屋にあるのだが、元は自分の部屋から

廊下へ出て、階段を降りたところに玄関があった。

だが、そもそも廊下が無く、階段もない、当然玄関も無い。

あるのは、ただ3m近い高さの家だったものの断面だけだった。


3m。

下に飛び降りるのは、さすがに素足に靴下では、躊躇する高さだ。

しかも下には鉄筋の飛び出たようなコンクリートの瓦礫だらけ。

せめて靴があればと思うが、玄関は瓦礫の下敷きだろう。

一度引き返して、自分の部屋へと戻った。

「こんなことが・・・ありえるか?」藤次は無意識に独り言をぶつぶつとつぶやく。

将来、もしかしたら、こういうことになるのではないかと予想はしていた。

よくあるこういう小説では、定番の展開だからだ。

だが、昨日の今日で、こんなことになるなんて予想だにしていなかったのだ。

もっとずっと先の話であろうと、他人事のように考えていた。


両の手で跡が残るのも気にしない強さで顔を叩き、気持ちを切り替える。

「俺しっかりしろ!でないと死ぬぞ!」と自分で自分に気合を入れた。


さて、下に降りるには、まずロープのようなものがいる。

元はタンスであったものの近くに、服の残骸が落ちていた。

どれもビリビリと破れているか、穴が空いていて、まともに着られそうなものは

ほぼなかったが、繋ぎ合わせれば、なんとかロープの代わりには使えるだろう。


他に何か持っていくべきものはないかと見渡して、落ちていた財布を手に取って

思わず笑ってしまった。


「ははっ、金がこれからの世の中で役に立つかよ?」


だが、いちおう財布をズボンの後ろポケットに入れた。

充電していたスマホがどこかにないか探すと、元はベッドであった残骸の下から見つけた。

充電ランプが点いていないところを見るに、電気が来ていないのかもしれないと思った。

スマホは画面が割れてしまっているが、電源は無事についた。

充電率が8割程度なので、すぐに電源を落とす。


ふと、スキルで作った部屋に物資を入れておけば、持ち運びが便利なのではないかと

思い、ズタボロの毛布でも無いよりあった方が良いだろうとひっつかんで

不思議部屋へ入ろうとしたが、自分は入れても、毛布がひっかかってしまって、どうやっても

部屋に入れることはできなかった。


そう都合良くは出来ていないらしい。


もしスキルで作ったのが部屋ではなく倉庫であったのなら、話は違ったかもしれないと思ったが、

考えても仕方がないし、いまはほかにする事がある、と考えるのをやめた。


服で作ったロープでなんとか1階へと降りることができた。

その際、家の断面ですり傷を負ったが、動くことに支障はないので痛みは無視する。

家で無事な部分から何か使えるものがないかと散策すると、野球好きであった父が

大事にしていた、とある有名選手のサイン入りバットを見つけたので、ありがたく

拝借することにした。


冷蔵庫は電源が切れていたが、食べられそうなものを見繕って飲み食いした。

空腹と喉の渇きは、とりあえずなくなった。


生き残りをかけたサバイバル生活、まずどうするかは、もう最初から決まっている。

片手にバットを持った藤次は、悩むことをやめた。


「さぁ、レベルアップの時間だ!」

【読者の皆様へお願い】


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