第6話
それは突然の出来事であった。
スキルの検証途中で、突如として、窓の外から一斉に悲鳴が聞こえた。
それもおおよそ、数えきれないほどの悲鳴だ。
それをまともに聞いてしまった藤次は、恐怖で体が硬直するのを止められなかった。
少しして硬直がとけて、とっさに窓から外を見渡すと、そこはまさに地獄絵図であった。
とある場所では、優に体長が3mはあるであろう、筋肉質の化け物が、まだ必死にもがき、
助けを求める人間を、楽しげに笑いながらひきずって歩いていた。
とある場所では、手にボロボロの剣を持った歩く骸骨が、逃げ遅れた人々を標的に、また一人、
そしてまた一人と剣で突き刺してトドメをさしていた。
とある場所では、走って逃げる女性を標的にし、持ち前の弓で、矢をつがえは射っていく異形。
まるで狩りを楽しむかのように、殺さずなぶり殺しにしているあれは、鬼だろうか。
そんな凄惨な光景を目の当たりにし、吐き気を抑えられず、自分の部屋に吐いた。
もう胃の中に吐くものがなくなるくらい盛大に吐いた。
しばらくすると、家のすぐ外で、何かが暴れている音が聞こえた。
ドアが蹴破られ、家の中に何かが入ってきた音がした。
そしてその何かがこちらへと向かってくる音がする。
咄嗟に、スキルで作った不思議空間へと通じる出入口へと転がり込んで、ドアを閉めた。
息を潜めて、助けてくださいと神に向けて必死に祈った。
神を信じてはいないが、こういうとき、そんな人間でも神に祈るのだなと思った。
そしてあまりの恐怖に意識を失った。
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再び、意識を取り戻したのは、あまりの喉の渇きと、空腹に苛まれてのことだった。
ドアを閉じてから、一体どれくらいの時間が経ったのだろうか?
窓のない密室では、外の様子をうかがい知る手段もない。
ドアの向こうからは、もう一切の音が止んでいた。
悪い夢でも見たのではないかと藤次は考えた。
なぜなら、あのときまで平和で、それが一瞬にして地獄と化したのだ。
変化がいきなりすぎるし、まるで現実味が無い。
何はともあれ、テレビをつけて情報収集をすれば、こんなことはありえないのだと
証明することができるだろう。
それに万が一現実であったとしても、もう政府が、何かしらの手段で解決に向けて
動き出している可能性だってあるだろう。
一切の音がしないのがその何よりの証拠じゃないか。
もう外はきっと安全なのだろう。
ドアに手をかけて、祈り、そしてドアをゆっくりと開いて、外の様子を覗き見た。
外には・・・。
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