第8話
「・・・ううむ、怒鳴ったのは、素直にわしが悪かったかもしれん。
そこな小童も、気を失ったというより、自ら意識を手放したようじゃしのう・・・」
やれやれと首を振りつつ、老人は気を失った藤次をすまなそうに見やる。
パチパチとはぜる焚き火を見つめるのは、英霊であるセイバーと肌がやけに白い子供と土地神の老人という異色な組み合わせであった。
「創造神様が僕らに禁止したのは、あくまで神が直接下界の生物に干渉することだよ。
僕らが予めこの世界に設定しておいたシステムを、人間が独自で研究して解明して使う分には、
僕らが干渉したということにはならないんだよ。
神が助言を与えるのに罰則が無いのも、それを受け取った生物がそれに従うもそうしないも
自由だからだよ。
それに、僕の作ったこの職業やスキルといったシステムを勝手にこの地球に組み込んで利用したのも、
元はと言えばそっちの神達でしょう?」
白い子供が悪びれもせずにのたまう。
「・・・屁理屈じゃが、その通りな部分もあるのぅ。
そちらの世界と統合されるというのは、上からの通達であり、避けられない事象じゃった。
だがそれが告げられたのが、あまりにも急な事じゃった。
だからわしらは慌てた。このままでは多くの人の命を失うことになるからじゃ。
そちらの世界としては、どうという問題もあまり無かったのじゃろうが・・・」
土地神の言葉を半ば遮るように白い子供が抗議の声を上げる。
「いやいやいや、こっちもすっごい迷惑だよ!
やっと人間が魔物に淘汰されて、すごい順調に世界が回っていたのに、なんでわざわざ神が人間を
見守ってるような世界と統合させるとか! 上からの決定? 馬鹿なの?」
突如、特大の雷が、轟音を立てて白い子供に直撃する!!!
「うぎゃああああああああああッ!!!」
咄嗟のことだったのでセイバーは身構えることも出来ずに、逆立つ髪の毛をそのままに、雷に打たれ、
痙攣しながら焼け焦げていく白い子供を、声も出せずただただ硬直したように見つめることしかできない。
空を見上げるが、雷を落とすような雷雲の一つもなく、ただ静かに星空が広がっているだけだ。
「・・・うむ、分かりやすい天罰が当たったのう。
異なる世界の神がそろって下界で話をしておるんじゃ、あの方の目を引かないハズもない。
だが珍しいのう、あの方がこうした天罰をワシらに用いるのは・・・これでは、この者から
本音が聞ける道も失われるというものじゃろうに・・・」
老人は焼け焦げた白い子供には目もくれず、セイバーの方を見ながらそう言った。
「いててて、創造神様も酷いなぁ・・・。
別に神は不死だから死にはしないけどさぁ・・・普通に痛いんだよ?
しかも絶対防御無視が付与された雷だったし・・・まぁ調子に乗って口をすべらせた
僕が悪いんだけどさ」
プスプスと焼け焦げた白い子供が、ブツブツと文句を口にする何秒かの間に、みるみる傷は塞がり、
すぐに何事も無かったかのようにケロっとした状態で口をとがらせる。
セイバーやメタビーも持つ、自動再生スキルの上位スキルではないかと思うが、詳細は不明だ。
ただ自動再生スキルでも、さすがにあんな異常な速度で傷が治ったりはしない。
「・・・まず、私はどうなっても良いが、2人には手を出さないと誓っていただきたい」
セイバーは、なんとかそれだけを口に出す。
「・・・神は約束はしないよ」
「・・・神は約束はできないのじゃ」
二人の神と名乗る老人と子供が揃って同じことを言ってしまい、お互い気まずそうに顔を見合わせる。
そして3人の間に、重たい沈黙が降りたのだった。
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