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この壊れゆく世界でスキルを手に入れ生き延びる  作者: 小鳥遊ケイ
第二章 新世界へ(英霊編)
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第6話

「どうかんがえても、正気しょうき沙汰さたじゃないッ!!!」


マスターの命令めいれい英霊えいれいにとっては絶対ぜったいだが、さからうことが出来できないわけではない。

少なからずいたみをともなうし、えがたい苦痛くつうさいなままされることもある。

だが、それもマスターが配下はいかのモンスターにそう設定せっていすればのはなしだ。

マリアは英霊であるおれたちにそういう設定せっていはしていないことは本人ほんにんくちから聞かされているし、そもそも、そういうことになった時点じてんで、おたがいが納得出来なっとくできてないからこるのであって、はないがりてなかったという証拠しょうこにもなる。


だからこそ、現在進行形げんざいしんこうけいで話し合いのもうけているのだが、マリアのお礼参れいまい発言はつげんたいして、少なくとも俺は反対はんたいしている。

セイバーは話を聞きながらかんがみ、今のところ沈黙ちんもくまもっている、メタビーにいたってはそこにするだけだ。

つぶれかけたメタビーにかんしては、自動修復じどうしゅうふくスキルによって、だいぶもとかたちもどってきているので、心配はいらない。


「このまま何もしなければ、このさきもずっとおなじことのかえしだわ。

 相手あいて神様かみさまだろうとなんだろうと、わたしたちは一度いちど、この機会きかいにハッキリとさせなければいけないこと

 があると私は思うの」


「それは、一体何いったいなにをハッキリとさせるんですか?」


あたまのぼり、ヒートアップしてくちひらきかけた俺に、だまようひらをかざして、セイバーが機先きせんかしてマリアにさきつづけるよう冷静れいせいいかける。


「・・・今回こんかい神様かみさまたちに、私たちという存在そんざいってもらうのよ!

 偶然ぐうぜんだけど、ここはわたしまれそだった土地とちだわ。そして地元じもとのおまつりにも運営側うんえいがわ巫女みことしてアルバイトで参加さんかしたことがあるの。

 だから氏子うじこということなのね」


「・・・・・・」


子供こどもころ神社じんじゃでたくさん神様かみさまにおねがいしたわ。

 かなわなかったことのほうおおかったけど、叶ったお願いもあるように思うの。

 だからお礼参れいまいりというのは、仕返しかえしのことじゃないわ、本当に神様にお礼を言いに行くの。

 そしてついでに新しいお願いをしに行くの。

 私たちという存在がここにいるということを知ってもらうために、もちろん何か供物くもつになりそうなものはちゃんと言われたとお持参じさんしてね」


土地神様とちがみさまに私たちを知ってもらって、それがどうなるのです?」


いぶかに、まだ理解りかいできない様子ようす辛抱強しんぼうづよくセイバーはマリアにいかける。

俺も黙って、こころけるように心がけてマリアの話に耳をかたむける。


「少なくとも、私たちがどういう存在で、そんな私たちが今ここにいて、ここからどちらに向かって

 たびをしているということを神社じんじゃでちゃんと報告ほうこくして、それを

 神様側かみさまがわが知っていれば、神様もいちいち威嚇いかくなんてしてこないんじゃないかしら?

 からないということ、それは恐怖きょうふおなじことだと思うの。

 それに、今までたくさんの信仰しんこうをしてくれていた人間たちが一瞬いっしゅん大勢死おおぜいしんでしまって、だから

 神様たちも、いまはかなり神経質しんけいしつになっているんじゃないかなと思ったの。

 でも、これはただの私の勝手かって想像そうぞう予想よそうもとづく

 なんの確証かくしょうい話であって、危険きけんわりはないかもしれない。

 だから藤次とうじやセイバーがこれを聞いてどう思っているのかを、正直しょうじきに話してほしいわ」


マリアは話し終えると、俺とセイバーの方をじっと見つめてくる。

今の話を聞いて思うことはあったし、自分から話しても良いのだが、俺とセイバーの視線しせん交錯こうさくする。


「・・・藤次様、私からいいですか?」


セイバーの遠慮えんりょがちないかけに、俺はしずかにうなずく。


「いまのマスターの話を聞いて、わたしなりにしばらく考えてみたんですが・・・、私は

 護衛ごえいという立場たちばからお礼参りに行くのには反対はんたいです。

 マスターが氏子うじこという立場だから絶対に安全あんぜんだとはれませんし、少なくとも私たちでは

 土地神様よりよわく、あらがすべがありません。

 それはつまり、マスターをおまも出来できないというのと同義語どうぎごになります。

 そこが危険きけんだと分かっているとして、自分たちではまもれないと分かっていて、大事だいじな人をそんな場所ばしょに連れていきますか?

 私自身わたしじしんえるのはべつにこわくはありませんが、マスターをお守りできずに、マスターが目の前ですすべなくたおれるのを、私は絶対に見たくありません!

 だから私は藤次様がいままで提案されて実行していた、偵察をして道を探る方法で、良いのではないか

 と思います!」


セイバーが話し終え、マリアとセイバーの視線が俺の方に向くのを感じた。


「俺の、反対していた理由はセイバーがだいたい言ってくれた。だが、マリアの言うことにも一理いちりあると

 俺は思った。

 最近旅をしていて思うのは、この世界にいる俺たちが勝てない存在がなんて多いことかということで、

 うえにはうえがいるということ。

 かりにそれらをてき仮定かていするけど、いつかその勝てない敵が目の前に現れたとき、危険きけんはしわたらないと

 いけない場面ばめん確実かくじつ遭遇そうぐうすると思う。

 いわばこちらから危険に近づかなくても、危険から近づいてくる可能性かのうせいは否定できない。

 もしそうなったとき、あのときこうしていれば、ああしていればという後悔こうかいはしたくない。

 危険からつづけた結果けっかは、つまり現状維持げんじょういじで結局いまと危険な状況じょうきょうはこの先も何も変わらない。

 どこかで解決法かいけつほう見出みいだしたい。どこかで危険な橋を渡る必要がある。

でもそれが今なのかどうかが、俺には正直分しょうじきわからない。

 だからすごく中途半端ちゅうどはんぱもうわけないけど、この場合、俺の意見は、分からないということになる」


3人で意見を出し合った結果、どもえの意見から結論けつろんせなくなった。

藤次がどちらかに賛成さんせいするなり、マスターが最終判断さいしゅうはんだんくだすということもできたが、それだとそもそも話し合いをした意味が無いし、全員が納得できない。


「ワシからも良いかな?」


この身内の会談かいだんに、いつの間にか見知みしらぬ小柄こがら老人ろうじんが居た。

ちょこんとすわり、周囲を見回みまわして、そっと手を上げていたのだった。

【読者の皆様へお願い】


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