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この壊れゆく世界でスキルを手に入れ生き延びる  作者: 小鳥遊ケイ
第二章 新世界へ(英霊編)
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第5話

先行偵察せんこうていさつから急いでもどった俺は、フォルクスワーゲンの天井部分てんじょうぶぶんしずかに着地して、コンコンとメタビーの天井部分を軽くたたいて言う。


「メタビー、この道はダメだ。引き返してちがう道を進む」


上に乗る自分を気遣きづかってか、ゆっくりと減速げんそくしたのち、Uターンをし始めるメタビー。


藤次様とうじさま、いまどういう状況じょうきょうでしょうか?」


運転席にマリアの護衛ごえいとして乗っていたセイバーが窓から顔だけを出して、心配そうに聞いてくる。

英霊になってから滅多めったあせをかかない俺でも、いまはダラダラとひたいに汗をかいているのだ。

たぶん顔色かおいろもだいぶ悪いにちがいない。


「この先に俺たちより確実に強い奴がいる、およそ数十キロ先だったが確実に見られた感じが強くした。

 たぶん補足ほそくされた、急いでここからはなれるべきだ」


英霊になってから、並大抵なみたいていのことでは動揺どうようしないおれでも、こういうときはさすがに緊張きんちょうする。

この崩壊した世界には、俺たち英霊より確実に強い存在がわりとゴロゴロいるのだ。

旅を始めて、しばらく様々な場所をたびしてきたが、こういうことはこれが初めてではない。


完成された英霊だからこそ成長はしない、つまりそれらの存在には永遠に勝てないし、戦えば勝機は無い。

弱肉強食じゃくにくきょうしょくのこの世界で、つよさこそがすべてなのだ。


メタビーが全速力ぜんそくりょくはしそ・・・。


《ワシの土地とち無断むだんはいっておきながら、ワシを見て、挨拶あいさつも無しにろうとはどういう了見りょうけんであろう?》


一方的な思念しねんによるよく分からない言語げんご、だが言葉ことばの意味だけが翻訳ほんやくされ、強く頭の中にひびいてくる。

直後ちょくご、少しおくれて道路一帯どうろいったいに、念話ねんわめられた怒りの感情がひき起こした重圧じゅうあつがやって来た。

地面がクレーター状に陥没かんぼつし、メタビーの車体しゃたいがメキメキと悲鳴ひめいをあげている。


「きゃあああぁぁぁ、なになになにッ!?」


状況じょうきょうをほとんど理解りかいしていないマリアが車内しゃない悲鳴ひめいを上げている。

たぶんセイバーがマリアをかばうために、鎧姿よろいすがたで上からおおいかぶさっているのだろう。

何も言葉を発せず、ただただおもかる重圧じゅうあつあらがっていた藤次は、その重圧の中でどうにか

マリアだけでもがす一手いってを考えていた。


《ん、おお!? なんと、氏子うじこ一緒いっしょにおったのか!?

 ふむ、ワシは、ワシをほうずる人間たちがきらいではない。

 だから今回はそこな氏子にめんじて、さきほどの無礼ぶれい大目おおめに見てやるとしよう。

 だが次からは、我が領土りょうどを通るのであれば、まず供物くもつ持参じさんしてさき挨拶あいさつに来るがよいぞ小童こわっぱ


念話が終わると同時に、ピタリと重圧が止んだ。

たすかった・・・のか・・・?

危機ききり、だんだんと冷静れいせいになっていく頭で考える。

あの存在そんざいはマリアのことを、たしか氏子うじこ?とんでいた。

氏子というのがなにかはくわしくは知らないが、たしか神様をまつ一族いちぞくとかそんな意味合いみあいだったように思う。


「藤次、ねぇ藤次、無事ぶじなの?」


くるまなかから、マリアが俺を心配しんぱいげにぶ声がする。


「今回は相手あいてが相手だったから、さすがにダメかと思ったよ・・・」


たぶん今回のアレはあの存在感そんざいかんからして「ワシの領土りょうど」だと言っていたところからかんがみても、たぶん

土地神とちがみとかそういう存在の一種ではないかと思う。

崩壊した世界になって、人間をめた今だからこそ感じられるのだろうけど、神様という存在は

割とそこかしこにいる。

日本の八百万やおよろず神の信仰しんこうというのも、伊達だてでは無いのだと実感じっかんできる。


でも、神様にとっても、たぶんこの世界の突然の崩壊はどうしようもなかった出来事なんだろうと思う。

本当に人間好きの神様がこんな風に世界に干渉かんしょう出来ていたのなら、人間はここまでたくさん死んでいなかったのではないだろうか。

だからたぶん、世界が変わったあの瞬間に、神様側かみさまがわにも少なからず大きな混乱がしょうじたのだと予想よそうできる。


人間がるということは、神様を神様たりえている信仰しんこうの数も減るということであり、かずちからだ。

だから多くの神様は大きく力を失うこととなり、今回のように運良く信仰が残った神様は、自衛じえい手段しゅだんったのだろう。


藤次とセイバーは人間の姿こそしているが、英霊えいれいであり、英霊は言ってしまえばモンスターの一種いっしゅである。

モンスターの中でも、そこそこ強い部類ぶるいに入る。

だからそれが街に入って来ようとしたから、土地に住まう者たちを守るために、土地神が先に牽制けんせいを仕掛けてきたと見るべきだろう。


もし自分がマスターであるマリアを守るためなら、理解できない行動ではない。

運良うんよ見逃みのがされたいま、ふたたびそこをとおろうとはもう思わないからだ。


いま起こったことを事細ことこまかにマリアに説明せつめいする。

だからどこか違う道を選ぼうと、ここら一帯いったい地図ちずを広げたところで、マリアが大きくうなずいて、そして、


められっぱなしじゃいやだから、お礼参れいまいりをしましょう!」


ファッ!? とんでもないことを言い出した!

【読者の皆様へお願い】


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