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この壊れゆく世界でスキルを手に入れ生き延びる  作者: 小鳥遊ケイ
第二章 新世界へ(英霊編)
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第3話

これを攻撃こうげきんでも良いのだろうか?

小さな子供たちの集団しゅうだんが、ぼういしを投げてちかづくなと威嚇いかくしてくる。


その出会であいは唐突とうとつだった。

廃墟はいきょとなったまちがりかどでバッタリと出会であい、そして現在げんざいいたる。


突発的とっぱつてき遭遇エンカウントからおたがおどろきに目を見開みひらききつつも、会話かいわこころみようとしたマリアを藤次とうじは後ろにかばいつつがらせ、飛んでくるぼういしはらとす。


大丈夫だいじょうぶ、私たちは絶対ぜったいにあなた達をきずつけたりしない。

 ただ話をしたいだけなの」


しんじるな! いままでとおなわる大人おとなだ!

 あいつら武器ぶきを持っているぞ、子供こどもたちをがすんだ!」


子供たちが、自分たちより幼い子供を逃がそうとしていた。

大人おとな顔負かおまけである。

そして直後にマリアのひとみがきらめいたのを、藤次とうじ見逃みのがさなかった。

こんなひとみのときのマリアが取る行動は、おおよそ決まっていた。


「藤次、セイバー、武器をてて」


その予想通よそうどおりのマリアの一言ひとことしたがって、2人は持っていた武器をてた。

武器の有無うむなどで英霊としての戦力はそこなわれないが、あくまで武器を持っているという外見がいけんは、

この新しい世界では、それだけで下手な輩を近づけない防災ぼうさいつながるのだ。


それに実際じっさいわる大人おとなたちというのは、この世界には本当にとても多くいる。


「あなたたちに降参こうさんします。

 わたしたちは話がしたいだけです」


3人は両手を上げて、降参こうさんのポーズをする。


「っ!?」


そのポーズの意味いみはさすがに知っていたのか、いままでそんなことをする大人が居なかったのか、子供たちはおどろいて固まっているので、助言じょげんついでにお願いもする。


「あなた達のリーダーのところに連れて行って下さい。

 そして話をさせてほしいだけなの」


子供たちは顔を見合わせ、しばらくコソコソと話し合ったあと、一番年長らしい14歳くらいの少年が、

ぶっきらぼうに、ついて来いとだけ言った。

ロープを持ってないからなのか、そういう発想はっそうが無いだけか、とく拘束こうそくしたりはしないらしく、あまりに不用心ぶようじんなのでわざわざマリアが、ロープでしばってかられて行った方が良いんじゃない?と助言じょげんをし、わざわざまえのロープを手渡てわたして、少年たちはロープを受け取ると、慣れない手つきでもって、

3人をロープでぐるぐる巻きにして、最後にかた結びをしたが、そもそも本来の拘束こうそくという

には程遠ほどとおかった。

だがそれについては、ぐるぐる巻きにされた3人は何も言わなかった。


「私のバックにあま菓子かしパンが入っているけど、食べてもいいわよ?」


マリアの職業であるダンジョンマスターは、DPダンジョンポイントを使って、主にダンジョンを

運営うんえいするのがおもな職業であり、DPを使ってモンスターを召喚したり、ダンジョンの構造こうぞうを変えたりできる。

そのおまけ機能きのうとして、様々な物品やアイテム、食料を交換することも出来たりする。


英霊えいれいである藤次とセイバーが召喚されたのもこのDPダンジョンポイントによるモンスター召喚であるし、そもそも英霊には生きるための食事しょくじなど必要ないが、マリアは普通ふつうの人間であり、今まではこの能力を使うことで、食料に困ることなく旅をして来たのであった。


これまでの旅路たびじで、マリアの運営うんえいするダンジョンの数も50を超え、普通であれば使いきれない

くらいのDPダンジョンポイントが日々、自動的じどうてきまっていくシステムを構築こうちくしていた。


いままで何も入ってなかったリュックに、DPダンジョンポイントで交換した甘い菓子パンを人数分にんずうぶん入れたことを、藤次とセイバーは魔力の流れから気付いていたが、特に何も言わなかった。


それを聞いてよろこんでリュックに手を伸ばす少年たちに向かって、14歳の少年が制止せいしの声をあげる。

俺たちがどうしてここにいるのかを思い出してくれと、空腹から手を伸ばした少年たちを必死に説得せっとくしていた。

少年たちコミュニティには、食料調達しょくりょうちょうたつに出かけたこの少年たちのかえりを待つ、おなかかせたおさない子供たちがいるらしい。

子供には甘いマリアのひとみが一段ときらめいていた。


魔力まりょくながれをかんじられる英霊たちは、リュックの中身の菓子かしパンがどんどん増殖ぞうしょくしていくのに気づいてはいたが、やはり何も言わなかった。


マリアは空腹くうふくつらさは知っていたし、藤次とうじもあのとき食べたカップ焼きそばのあじわすれていない。

だからいいのだ、たまにはこんなほどこしをしたとしても、それがたとえ一時的いちじてき偽善ぎぜん自己満足じこまんぞくだったとしても、こんな世界になってしまったからこそ、自分のしたいことをしたいようにしたいだけするのだ。


コミュニティと呼ぶにはあまりにお粗末そまつな、主にダンボールを使った子供たちの秘密基地ひみつきち辿たどいた。

駆け寄る幼い子供たちの前で、戦利品せんりひんのリュックを開けたときの、子供たちのおどろかおったらなかった。

リュックから今もDPダンジョンポイントと交換され続けている菓子パンがまるで噴水ふんすいのようにあふてくる!

あきらかにリュックの容量ようりょうより多くの菓子かしパンが出てきているが、そんなこと気にしてられない空腹くうふくの子供たちは、喜んで自分たち全員ぜんいんの人数よりおおい菓子パンを、誰かにゆずる必要もなく涙ながらに食べていた。


取り残された3人の捕虜ほりょは、ロープでぐるぐる巻きにされた状態じょうたいで、その光景こうけいをただただ静かにながめていた。

そしてやはり誰も何も言うことはなかったのである。

【読者の皆様へお願い】


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