第45話
マリア視点となります。
白いレースのハンカチを、おずおずと女性の英霊から手渡される。
「・・・・・・落ち着かれましたか?」
「ごめんなさい、取り乱してしまって。あなたは何も悪くないのにね・・・ずびー」
泣いて泣いて、手の付けようが無いくらい、もうこれ以上泣けないくらい泣き喚いて、でも
そのおかげで少しスッキリして、現在に至る。
思わず鼻をかんでしまったハンカチは、洗って返すべきだろう・・・。
「これは、洗ってから返すわね・・・ぐす」
まだ鼻をすすりながら、マリアはここまでの経緯を召喚した女性の英霊にかいつまんで説明する。
「そうでしたか、ではやはりあなたがマスターなのですね!
どうかこれからよろしくお願い致します」
そう言うと、女性の英霊は日本風に頭を下げてお辞儀をしてくる。
見た目は外国人っぽいのに、平気で日本語を話す辺り、アニメやゲームの設定が
活きているのだろうか?
ふとそんな疑問が頭をよぎるが、この際、意思疎通が出来ることで、問題があるわけではないので、
特にそこは気にしないことにする。
「ええ、こちらこそよろしくね。それで貴女、名前はあるの?」
「特にありません。マスターに付けてもらえれるならばどんな呼び名であれ光栄です!」
「じゃあ、まぁやっぱり英霊と言えばセイバーが鉄板よねぇ、個人的にはランサーも捨て難いけど、
うん、やっぱりセイバーで!」
「セイバー・・・セイバーですか、良き名前だと思います。
では私はこれからセイバーと名乗ることにしますね!」
嬉しそうに自分の名前を何度か口の中で反芻すると、セイバーは何度か頷くような仕草をする。
どうやら気に入ってくれたようだった。
「そういえば、セイバーは霊体になれるんだっけ?」
「ええ、よくご存じですね、霊体になってみせますね!えい!」
場にそぐわないかわいらしい掛け声と共に、セイバーの姿がその場からすっと消える。
「マスター、いかがでしょうか?」
どうやら、霊体でも声だけは聞こえることが分かった。
「なら普段は霊体のまま私の近くで護衛をしてもらって、もしモンスターが出たり、脅威となる
敵対者が襲ってきたら、戦って排除してもらいたいんだけど、出来そうかしら?」
「はい問題ありません、ではこれからは常にマスターのお側でお守り致しますね!」
姿は見えないが、雰囲気でセイバーが凛々(りり)しい笑顔でそう答えたことが分かった。
さて場所は変わって、ここは不思議部屋の中。
「え、え、ここはなんですかっ!?
魔術による拠点ですか、なるほど、これもマスターのお力なのですね。え?違う?
ラーメン? よく分かりませんが、食べます! お、美味しいぃぃぃ・・・!
お風呂? 温泉なら知識にはありますが、え、ここにそれがあるんですか!?」
様々なカルチャーショックがあったとだけ書いておこう。
だがセイバーが現代の文化に慣れるまでに、およそ1ヶ月もかからなかったのであった。
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