第44話
マリア視点となります。
「藤次、やっとDPが貯まったよ・・・」
感慨深げにマリアの口からほうっと息を吐くと同時に、その言葉が口から漏れ出た。
いまでは人類の10を超える大きなコミュニティにマリアのダンジョンが設置されている。
ダンジョンコアを設置するためには、多大な先行投資としてのDP消費が必要であったが、
いまでは、その先行投資分も取り返している。
当初のマリアの目標は、DPで交換可能な【蘇生薬】であったが、この蘇生薬が実は死んでから
一定時間が過ぎた死体には効果が無いことが分かり、相当に落ち込み、そこから長い時間をかけ
立ち直り、藤次を起こす手段を試行錯誤した結果、転生させるという手段を思いついた。
だが、同じ種族である人間に転生させるだけでも、1億DPほど必要であり、それはとても
現実的な方法では無いことに気がつき、また落ち込んだ。
ここからマリアの思考は、さらに歪んだ方向へと走り出していくことになる。
マリアは、もう二度と藤次を失いたくなかった。あの悲しみにはもう耐えられそうにない。
だから、人間ではダメだと思った。
出来るだけ強い種族に、強い存在になることを望み、試行錯誤を重ねていくうちに、ふと、
まだ世界が平和だった頃の記憶にあるゲームだったかアニメのワンシーンを思い出した。
【英霊召喚】
ダンジョンマスターとして、モンスター召喚が出来るのだから、同じ原理で英霊が召喚できる
かもしれないと、多種多様なモンスターの召喚一覧をつぶさに調べたところ、高額DPの召喚枠に、
【英霊召喚】の文字を発見したマリアは、嬉しさのあまり小躍りをしてしまったほどだ。
だが、英霊召喚にかかるDPは、1000万DPであった。
転生にかかるDPの10分の1とは言え、これもとても現実的ではない数字だった。
ダンジョンコアの設置にかかるDPは、1個目が5000DPで、2個目が1万DP、
3個目が2万DPで、4個目が4万DP、5個目が8万DP、6個目で16万DP、
7個目で32万DP、8個目で64万DP、9個目で128万DP、10個目で256万DPであった。
ダンジョンコアの設置DPでこれである。
これを比較としても、英霊召喚の破格さはけた違いであることがお分かりいただけたであろうか?
10個目のダンジョンを設置した時点で、およそ1年の時が流れていた。
これには藤次の不思議部屋の回復効果なしには、とても達成できるとは思えないハードワークぶりであった。
ここからさらに血の滲むような努力をして、1000万DPを貯めたのがおよそ2年と4ヶ月ほど経った
頃であった。
たしか英霊を召喚するためには、その英霊にゆかりのある品を媒介とする必要があった。
だから、泣いて謝りながらも、静かに眠り続ける藤次の手首から先を切り落として、彼自身の肉体の
一部を召喚の媒介とした。
結果的に、英霊の召喚には成功したのだが・・・・・・それは藤次ではなかった。
「問おう、あなたが私のマスターか?」
見知らぬ女性の英霊はおもむろに、マリアにそう問いかけてきた。
マリアは目を見開いて驚き、わなわなと震え、飛び掛かる勢いで、英霊の頬を手の平で
思いっきり引っ叩いていた。
引っ叩かれた頬を手で庇い、目を白黒させる女性の英霊をその場に残して、マリアは大声で
泣き喚くのであった。
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