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この壊れゆく世界でスキルを手に入れ生き延びる  作者: 小鳥遊ケイ
第一章 終わりの始まり
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第42話

マリア視点となります。

・・・・・・あれから3年の時が流れた。




「藤次、もうお昼よ、そろそろ起きなさいよ・・・・・・もうっ、ねぼすけ!」


マリアは今日も、いまにも起き上がりそうな、それでいて眠りについたままの藤次に話しかける。

眠りと言っても、そもそも呼吸をしていないので、胸は上下していない。

確実に死んでいるが、この不思議部屋の中にいる限り【部屋効果:回復】のスキル効果で、肉体は

生きていた頃のまま再生され、維持され続けていた。


失われた右腕も、もう完全に再生されている。


だが、マリアは藤次のスキルのことなんて何も知らなかった。

ただ、こういう便利な拠点を作成できて、拠点の機能を増やせるスキルという程度にしか認識していない。

だからこそ、3年という長い時を経ても、腐敗することも無ければ、だんだんと再生していく右腕を見て、

そこに希望を持ったのだ。


彼はまだ生きていて、たぶん世界がこんなことになる前にどこかで聞きかじったことのある、

いわゆる植物人間のような状態なのだと考えたのだ。

話しかけていれば、いつかきっと何かの拍子に、眠りから覚める可能性があるだろうと信じていた。


だから今日も、マリアは諦めるということをせずに、藤次に話しかける。


「それじゃ、今日も仕事に行ってくるから、留守番よろしくね?」


死人に口なし。

当然返事があるわけではない、でも振り返れば、そこには安らかな藤次の寝顔があった。

藤次のいつもと変わらぬ寝顔を見て、マリアは今度こそ振り返らずに不思議部屋をあとにした。


3年という時間は、人を変えるには十分な時間であるとも言える。

ダンジョンマスターであるマリアは、結果的には人類の敵ではなく、人類の救世主となった。

彼女がそう望んだわけではなく、彼女には彼女なりの考えや思惑があったのだが、そんなことは

関係なく、彼女を取り巻くあらゆる人々が、いつしか彼女を聖女様と呼ぶようになった。


なぜ聖女様などと呼ばれることになったのか。

それまでの人々は生き残るために、いくつかの小さなコミュニティを作り、そこで細々と生きていた。

モンスターに対抗するすべもなく、日々をなんとか必死になって生き残るコミュニティもある中で、

安全にレベルアップが出来る方法があると、それらのコミュニティを訪れたマリアは言ったのだ。

最初こそ、まったく信用されなかった。

石を投げられたことさえあった。

だが、マリアは諦めず、一切の抵抗をしないスライムを、ただ倒すだけで、ちからの無い老人や子供でも

レベルアップができることを証明して見せた。

それは力なき人々が、安全に力を手に入れることができるようになった瞬間でもあった。


抵抗しないスライム、抵抗しないゴブリン、抵抗しないオーク、抵抗しないオーガ。


そうしておよそ3年間で、この周辺地域において、女性や子供にいたるまで、レベルが3以下の人間は

いなくなった。

ただひたすら地味に3レベル以上の力を得た人間たちは、反撃の狼煙をあげたのだ。


それまでにあったいくつかの小さなコミュニティが合併され、巨大なコミュニティへと変貌した。

人々は協力してモンスターを駆逐し、前線を押し上げていき、街をひとつモンスターから奪還することに

成功した。

そうしていつしかマリアは人々から聖女様と呼ばれるにいたり、今日も彼女は、聖女マリアとしての務めを

たしに行くのであった。

【読者の皆様へお願い】


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