第35話
部屋の一部を占領するかのように山と積まれた米袋の数を見て、俺はちょっとした達成感を感じていた。
10kgと、5kgの米袋が山のようにそびえ立っている。
そのほかの食料品もかなりの数のストックが出来た。
この不思議部屋の中にある限り、食料品の時間は停止されているので、腐ることはない。
つまり保存目的だけで言えば、冷蔵庫いらずである。
ただ、保存が必要な生鮮食品はほぼ全滅していたので、手に入れた食料品は、缶詰などの
長期保存が利くものが主になったわけだが、それでも腐らないというのは凄いことだ。
【倉庫作成】スキルの食料品の倉庫設定における「状態保持」についてもおおよそ効果が分かった。
あらかたの食料を運び入れて終えたところで、喉が渇いたので、運び入れた缶ジュースを手に取り、
マリアにも手渡して、いざ飲もうとしたら、フタがどうしても開かないというか、びくともしない
んだけど!とマリアが騒ぎ始めたので、缶ジュースあるあるだなと、と思い代わりに空けようと
受け取るも、本当に開かない!
プルタブに指をかけてどんなに力を入れても、まるで微動だにしない!
それが「状態保持」の効果だと気付くまで2人して30分くらいかかったわけだ。
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・倉庫設定:食料品
・時間停止 【ON】/OFF
・状態保持 ON/【OFF】
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すぐ倉庫設定をデフォルトに戻したのは言うまでもない。
設定を戻しただけで、プルタブはなんなく開いたし、缶ジュースを飲むこともできた。
けど、時間停止があれば、状態保持の必要性は無いと思うのだけれど、まぁそういう機能が
あるということは、いまは思い付かなくても何かしらに使う機会もあるのかもしれない。
それはさておき。
「ねぇ藤次? そろそろ服を・・・ね?」
マリアが実に言い難そうに、俺から目を反らしながら提案してくる。
今更だと思うが、俺の格好はパンツ1丁である。
パンツと言ってもブリーフではなくトランクス派なのだが、目の前には俺のトランクスを除く、
俺の服の上下を着用したマリアがいるわけで、2人で1人分の服をシェアした結果が、こういう
姿なわけだ。
つまり、別に好きでこんな格好をしているわけではないと、それだけは俺の名誉のために
言っておきたい。
「あ、ああ、そうだな・・・。
俺もそろそろまっとうな服が欲しいと思っていたところだ」
ショッピングモールの階層を上がり、服を調達しに行く。
食料品売り場が地下であったのに対し、服の売り場は2階にあった。
だが、服に関して言えば、ほとんどの棚が空であったのは驚きであった。
よく知らないが、布というものは、ときとして食料よりも役に立つ場面があるのだろう。
それでも、2人して選り好みこそ出来ないが、およそ2着ずつは動き易そうな上下をそろえる
ことが出来た。
この際、残るべくして残ったような柄の服なので、おしゃれという言葉にはしばらく目をつぶって
いてもらうことにする。
2人は、いったん不思議部屋に入って着替えることにした。
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・倉庫設定:衣類 New!
・時間停止 ON/【OFF】
・状態保持 【ON】/OFF
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服を不思議部屋へ持ち込んだことで、新しい倉庫設定が可能になっていた。
デフォルト設定が食料品とは逆になっている。
まぁこれは深く考えずに、デフォルト設定にしておいて良いだろう。
こうなっていることには何かしらの意味があるはずだ。
服のついでに、3階へ行き布団も調達してきた。
布団はほとんど手付かずだったので、せっかくなので一番高そうなものを選んできた。
掛け布団、敷き布団、毛布、枕、それらのカバー、そしてマットレスがあると寝心地はだいぶ違うと
マリアが言うので、それも不思議部屋へと運び入れた。
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・倉庫設定:寝具
・時間停止 【ON】/OFF
・状態保持 【ON】/OFF
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よく分からないけど、倉庫の寝具におけるデフォルト設定は、こうだった。
これで今日から、ゆっくりと布団で寝られるのだ!
布団で寝るなんて、もういつぶりだろうか!
布団で寝ることに対し、言葉では言い表せないワクワクした気持ちを感じる!
世界が平和だった頃であれば、こんな気持ちは想像すらできなかったことだろう。
今日は寝るのがとても楽しみだ!
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