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我儘

 ──無意識の僕へ。


 この2日間、色々な事がありました。


まず、少年院に行くかもしれないなんて変な妄想して、不安な気持ちにさせてごめんなさい。


ちゃんとこの世界で生きているから安心してね。


でもあの日、かがみんの家まで謝りに行きました。


それが原因で、かがみんから本物のストーカー扱いされちゃいました。


そしたら次の日、玲香様がかがみんを連れてきて『謝れ』って言われちゃって。


だけど、まどかと親衛隊のみんなが助けてくれたよ。


その日のお昼に僕とかがみんとことにゃんと親衛隊のみんなで、一緒にご飯食べました。


でも、まどかはいなかった。


正直、寂しかった。


僕、まどかのこと本当に好きになっちゃったんです。


放課後、教室でまどかに『なんでゲームで私を選ばなかったの?』って泣かれちゃってさ。


その時は何も言えなかった。


だけど、すぐに追いかけて行って、学校の正門前で泣きながら告白しました。生まれて初めての告白だよ。


でも、フラれちゃった。


ことにゃんを一途に応援する僕が好きなんだってさ。


それで、逃げてきた。


泣いてるまどか置いて、逃げてきた。


最悪だよね。


普通は幻滅されて嫌われて終わるんだけどさ、まどか優しすぎるんだよ。


友好度199ポイントで止まってた。


僕を応援するために、付き合うの我慢してるみたい。


自分でもどうしていいか分かんなかったんだけど、ようやく決心が付いたよ。


無意識の僕に、託したい事があります。


多分、これが最後のお願いになると思います。



まどかと、仲良くしてあげて。


僕じゃなくて、無意識の僕が、まどかと仲良くなってあげて下さい。



意識しすぎちゃってさ。


もう、まどかと目も合わせられないと思うんだ。


きっと、前みたいな関係には戻れないから。


だからせめて、君が仲良くなってあげてほしい。


僕はなるべく、ことにゃんの事だけを考える。


ことにゃんと仲良くなって、輝樹からことにゃんを守る。


占いばあさんは『僕の物語だから僕が幸せになるように行動しろ』って言うんだけどさ。


そういうの、無理だから。


自分勝手に生きたいんだけど、どうしても罪悪感が生まれちゃうんだよ。


そういう事だから、君は自由に楽しく毎日を過ごして下さい。


お願いだから、まどかに僕と仲良くなるように頼むことだけはしないで下さい。


最後のワガママだけ、聞いてくれたら嬉しいです。


今まであれこれ言って、本当にごめんなさい。


高校生活、楽しんでね。


無意識の僕より。


──。



 日記は、涙で濡れていた。


 もう以前のように、まどかと絡めない。


 そう思うと、涙が止まらない。



 これを読んだ無意識の僕はどう思うだろうか。今の僕の気持ちを、ちゃんと理解してくれるだろうか。


 ある意味、これは僕の覚悟だ。


 ことにゃんと真剣に向き合うための、覚悟。


 まどかは、思い出させてくれた。誰かを守るために、一途になるという事を。


 まどかが好きな、僕だから。


 まどかが理想としてくれている、僕だから。


 だから、まどかの為に、ことにゃんに真剣な僕でいたい。


 もしかすると、僕は間違った選択をしているのかもしれない。


 だけど、これが間違いかどうかなんて、未来に行かないとわからないのだ。


 少なくとも今は、納得してこの選択を受け入れる事ができる。


 気がかりなことは、正門でまどかを置いて逃げた事を謝れないかもしれないということだ。


怒って目も合わせてくれないかもしれない。


だけど、それでいい。


僕が100%悪いんだから、それくらいの仕打ちは受けるべきだ。


せめて、モッチの財布だけは渡さなければ。


まどかと付き合う為に渡そうと思っていたけど、今は違う。


付き合うためじゃなく、謝罪のために渡そうと思う。


占いで友好度が上がらなかったように、モッチの財布でも友好度が上がらない可能性が高いのだ。


だったら、逆に都合が良い。


渡しても友好度が上がらなければ、付き合う事を我慢してくれているまどかの気持ちを無下にする事はない。


とりあえず、ゲーム内の効果を説明してから渡す、くらいの事はしようかな。


 

 部屋の電気を消す。


 暗闇が部屋を支配する。


 カーテンから漏れる月の光がぼんやりと浸透してきて、うっすら部屋の中が見えるようになってくる。


 夜だから、美しい鳥の鳴き声は聞こえない。


 虫がリンリンと鳴くこともない。


 キーンという耳鳴りのような静寂が、脳をつんざくように聞こえてくる。


 こんな時は寝付けないものなのに、目を閉じたらすぐに眠気が襲ってきた。


 三日間、無意識の僕はどう過ごすのだろうか。


 平和で幸せに暮らしてもらえることを心から願いながら、僕はゆっくりと、意識を失わせていった。


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