表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/141

三度

「うわぁっ!?」


 思わず両腕で目を防ぐ。ついで地面へ尻もちを付いて倒れてしまった。


腕の隙間から少し覗くと、白い光は人型に輝いており、


ベンチの両端を掴むように両手を広げ、足を組んでどっしりと座っていた。


とりあえず直視できそうだ。頭の中で何が起きたのか必死で考えようとすると、突然声が聞こえた。


「私はブライトマン。心配になって出てきた者」


「……へ?」


 いきなりなんだ?


「狩場幸太郎。あまりにも君がボロボロになっているから慰めにやってきたのだ。喜びたまえ!」


「……あの、なんなんでしょ」


「安心しろ。この瞬間に動いているのは、私と君だけだ」


「……あのー、これなんですか?」


「だ・か・ら!私がハートブレイクしちゃうから心配で出てきたの!」


「えっと……」


 ダメだ、状況が全く飲み込めない。


「これって……幻ですか?」


「幻じゃない。現実だ……って何度言えば気が済むのだ!」


「ごめんなさい、本当にどういう事ですか……?」


「そうか、記憶が無くなっているのだな。今度から自動で蘇るようにした方が早いか……」


「あのー……なんの話で……?」


「あぁ、すまない。いま記憶を少しだけ戻すからな」


 そう言うと、ブライトマンの胸元から白い閃光が僕に放たれた。特に痛みは無い。


 その瞬間、ブライトマンと出会った記憶が、徐々に蘇ってきた。


「……あ、あぁっ、ああっ!」


「どうだ、思い出したか」


「この前、言いたい放題言って逃げたでしょ!?」


「お?思い出してくれたな?いいぞぉ、その調子だ!」


 ブライトマンが右手の親指をグッと立てる。僕、怒ってるんだけど。なんなの、このノリ。


「この1週間、私は陰ながら君を見守ってきた。


だが、どういう訳か一向に無双しようとしない。どういう事なんだ」


「それは僕が聞きたいよ!」


 僕はさらに怒りを込めて立ち上がった。


「だいたい、この世界に連れてきたのはアンタでしょ!?


責任取ってよ!特別な力で何とかできるんじゃないの!?」


「落ち着け、狩場幸太郎」


「見守ってるだけってなんだよ!僕はこんな展開望んでないよ!」


「だ・か・ら!1回落ち着けって!」


 フー、フー、と僕は息を荒げる。本当にふざけんな。


「よいか、狩場幸太郎。私は直接的な手助けは出来ないのだよ。この世界の問題は、自分でなんとかするしかないのだ」


「そんな勝手な……!」


「だが、君が有利になるように、私は微力ながらも1度だけ力を使った。これは超特別待遇なのだぞ?」


「そんな嘘言ったって通用しないよ!」


「それならば、登校初日のことを思い出してみたまえ」


「は……?」


 いきなり思い出せ、と言われても差し当たって気になる事は無かったように思う。


「君が席に着いて、違和感を覚えなかったか?」


「違和感……?」


 もしかしてスマビュの事だろうか。でも占いの館でブレザーの内ポケットから出てきたし、そもそも初日の時点で気付かなかった。


「ならば質問を変えよう。君の隣の席は誰だ?」


「輝樹とことにゃんだけど……」


「狩場幸太郎。君は偶然、二人に挟まれたと思っているのか?」


「確かに偶然にしちゃ出来すぎだけど、だからってアンタの力って理由にはならないでしょ。証拠無いじゃん」


「では、前と後ろの席は誰だ」


「それは小川さんと加藤くん……」



 あ。



「そうだ。『おがわ』と『かとう』だ。


君は『かりば』だろう?


なぜ間に挟まっているのだ」


「た、確かに……」


「わかるな?


この、私が!こ・の・わ・た・し・が!


天音という女と、楽しく会話ができるように!


わ・ざ・わ・ざ!


席順を変えてやったのだ!


どうだ、素晴らしいだろう!」


 なんかドヤ顔してる気がする。ほんと苦手だなぁ、この人。


「そのお陰で、この世界に来てから天音と『唯一まともに会話ができた』時間を作ることが出来た。違うか?」


「うっ……そ、それは……」


 思い出がフラッシュバックされる。ぐあ、あの笑顔を思い出すと、胸が痛い……。


「そんな顔をするな狩場幸太郎。過ぎた事は仕方ないだろう」


「だ、だけど……」


「よいか、狩場幸太郎。チャンスは意外と近くに転がっている物なのだ。


君は見事にそのチャンスを掴む事ができた。素晴らしいことではないか」


「そうなの……?」


 不覚にも、ちょっと嬉しい。


「君にはチャンスを掴む力がある。そんな君に、もっと有り難いアドバイスを送ろう」


「どうせまた説教でしょ?そういうのいいから」


「そう言うな狩場幸太郎。今まで見ていたが、どうもゲームに依存し過ぎている気がしてならんのだよ」


「……ん?どういう意味?」


「君は、天音以外の女をどう思っているのだ」


「どう、って……。普通に攻略できるキャラだと思ってるけど」


「そこなんだよなぁ」


 ブライトマンが右手で顔を抑える仕草をする。なんでこんな光ってる人に呆れられなきゃいけないの?


「占い婆さんも言っていただろう。この世界の者は『キャラクター』ではなく『人間』なのだ。


ゲームの知識を活かすのは大いに結構だが、全てゲーム通りに進める必要は無いのだぞ?


もっと自由に!思いのままに!楽しく!


この世界を過ごしていけば、それで良いのだ。さずれば、君は真の力を発揮できるだろう」


「わかったから、もういい?」


「悪いが、今回の滞在時間はちょっと長いのだ。もう1つ、大事なアドバイスをしよう」


「もう説教は……」



「本日。君はもう1度、絶望を味わうことになる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ