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 ことにゃんとの溝が知らぬ間にさらに深くなっている現在。


まずは、昨日の僕が行った謎の行動について、ことにゃんへ謝罪しなければならない。


ゲーム内の最初の休日であれば、午前中のことにゃんはショッピングセンター『パルプ』にいるはずだ。


 という訳で早速、身支度をして外へ……。


「おはよう、幸ちゃん。朝早くお出掛け?」


 あ、美人ママおはよう。


「うん。ちょっとパルプにね」


「もしかしてデート!?この前言ってた付き合ってる子!?」


「つ!?つつ、付き合ってるなんて言ってな」


「青春だわぁ、青春なのねぇ……」


 ママがキラキラした目で空を見上げる。リビングの天井なんだけど。相変わらず愉快な人だな。


「……遅くても夕方には帰るからね」


「はーい、楽しんでらっしゃい♡」


 逆にこれから謝りに行くんだけどな。でも、この美人ママはこんなんでいいのだ。


 玄関を開けると、外は雨が降り続いていた。春の匂いがほんのり香るので暗い気分にはならない。むしろ心地良い。春最高。


ビニール傘を差しながら初となる雨のミラプリの世界を堪能しつつ、学校横のパルプへと向かう。


許してもらえるか不安だけど、とにかく誠意を持って昨日の謎行動を謝るしかない。


そして勘だが、恐らく輝樹も同じ時間帯にいるだろう。邪魔されないか本当に不安だ。


 どんな風に謝ればいいのか頭の中でぐるぐる思考を巡らせているうちに、あっという間にパルプへ到着した。


エスカレーターで2階の100円ショップへ。ことにゃんが買い物をしているはずだ。


店内に入ってぐるぐると歩き回る。『いる

』というだけで決まった配置がないのだ。


 店内に入って5分。隅々まで探したが、いない。


 もしかすると早かったのだろうか。開店して10分程度だから、まだ来ていないのかもしれない。


昨日の僕と同じように、100円ショップ入り口横で待ち構える。


しかし1分も経たないうちに、僕はこんな不安を抱いた。



 昨日と同じ状況の僕を見たら、ことにゃん逃げるんじゃね?



 はっきり言って今の僕は、ただのストーカーだ。


ことにゃんの都合もあるし、店が見える場所で待っていよう。


そんな訳で、隣の洋服屋の向かいにある長イスで座って待つことにした。これなら『休憩してた』とか適当な事も言えるし。なんか本当のストーカーみたい。



 イスに座ってから30分。まだ来ない。


 1時間経過。来ない。


 12時になった。全然来ない。


 もうすぐ13時。恐らく昼行動の時間になる。


 おかしいなぁ、と思ったのと同時ぐらいで、とんでもない最悪の憶測が生まれた。



 ことにゃんの映画イベントの次の日、ゲーム内では学校である。


 次に何か誘うとすれば、公園にくっついているミニ動物園へのデートだ。


 仮に輝樹が昨日の時点でデートに誘ってオッケーを貰ったとして、今日はミニ動物園にいるのではないだろうか。


 しかし、今日は生憎の雨。


ゲーム内では天候に関係なくイベントが進行するが、現実世界と同じだと考えれば、別の場所へ遊びに行く可能性が高い。


電車でも利用されようもんなら、いよいよ行き先がわからなくなる。


 

 あれ?これ詰んだんじゃね?



 いやいや、希望を絶やしてはいけない。すぐにパルプを出て、祈るような気持ちでミニ動物園へと向かう。歩道橋を渡ってすぐなので楽々だ。


このミニ動物園は無料で誰でも入ることができて、レッサーパンダやリスザルなんかの小動物がいる。


そのレッサーパンダがことにゃんのお気に入り。いるとすればそのオリの前だ。


 ミニ動物園の中へ入り、レッサーパンダの場所へ足早に移動。しかし、やはりというか、ことにゃんも輝樹もいなかった。


 あー、やっぱ詰んだっぽいなぁ……。


 もう少し早く気付くべきだった。


レッサーパンダが僕の事を不思議そうに上目遣いで見ている。かわいい。でも悲しい。でも超かわいい。風邪引かないでね。



「そこの貴方。これは何という動物ですの?」



 へ?どうしたいきなり。


 ふと横を見ると、ゴシック風の黒いドレスを身に纏った、ミルクティーカラーでお団子ヘアーのお嬢様が真っ赤な傘を差して立っていた。


 あ、この子……。



「ペットとしてお持ち帰りしたいですわ!」



 ミラプリ最後のメインヒロイン、霧島玲香様ではありませんか。


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