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突然

「おばあさん。色々と教えてくれてありがとうございました」


「かまわんよ。また来た時に色々と聞かせてくんな」


「はい!では、もうそろそろ時間なので今日はこれで……」


「待ちな。やり残してる事、ないかえ?」


 やり残し?なんかあったっ……。


「あぁっ!そうだ占い!」


「ほっほっほ、忘れとったな?」


「ありがとうございます!あぶねー……」


 そうだ。モッチの財布を手に入れる為に毎回占いをするんだった。


「じゃ、じゃあ早速お願いします!」


「あいよ」


 そう言うと、占いばあさんは前回と同じように水晶の前に両手をかざして、中をじーっと凝視した。


こんなので本当に未来が見えるのか、やっぱり疑問である。


「今日の運勢は……吉だ」


「おぉ!また吉!」


「良かったな、幸太郎」


「はい!では今度こそ本当に、ありがとうございました!」


「あいよ。気ぃ付けてな」


 ニッコリ微笑む占いばあさんに会釈をし、占いの館を後にする。


 時計を見ると8時前。まだ時間はある。今のうちに機械で諸々設定を……。



 あ、前に歩いてる女の子、いまハンカチ落とした。


 白いから汚れちゃう。大変!



「あの、すみません!ハンカチ落としましたよ!」


 走ってハンカチを拾い、落し主に声を掛ける。


「えっ?」


 彼女がこちらを振り向く。刹那、僕の脳裏にある言葉が浮かんだ。



 あ、ハート1つ減った。


 

 凛とした顔立ちに、肩くらいまであるサラサラ黒ヘアー。

 

 細くて顔が小さいせいか、165センチなのにそれ以上に大きく見える。



「ありがとう、少年。助かったよ」



 『桜小路朱里』先輩、今日も美しいです。



「これは大事なハンカチなんだ。キミが拾ってくれていなかったら、ハンカチが見つかるまで学校へ行けなかったよ」


「お母さんの形見ですもんね。本当によかっ……」


……おわあああああああああ!!!!!


「……いま、何と言った?」


 明らかに目が殺意に変わる。ピンチなんてもんじゃない、ゲームオーバーレベルの大失態。


「おか、おか、おか……僕の!僕の、お母さんが!落とし物は、形見のように大事にしなさいって!」


「……は?」


「落とし物は、大事だから!ハンカチとかでも、その人にとっては形見かもしれないって!僕のお母さんが!昔から!僕のお母さんが教えてくれて!」


 めちゃくちゃだよ。何言ってるんだろう。


「……そうか。優しい母親なのだな」


「そ、そうなんですよぉ、えっへへ……」


 わかりやすく右手で頭をポリポリとかく。よくわかんないけど、しゅり先輩も穏やかな表情になった。どうにかなった。セーーフ。


「少年。同じ制服を着ているということは、キミも西月出里( にしすだち)高校の生徒か?」


「そ、そうですー!」


「これも何かの縁だ。一緒に参ろう」


「は、はい!よろしくお願いします!」


 僕はしゅり先輩の左側に立ち、学校へと向かう。


『男は道路側を歩け』とゲーム内で言っていたので、これ以上は機嫌を損ねないように細心の注意をしなければいけないのだ。


「私は桜小路朱里。3年だ。見たところキミは年下に見えるが?」


「1年生です」


「そうか。可愛らしい顔立ちをしているからモテるだろう」


「へ?か、かわ……!や、そ、そんな、モテ……」


「おや?顔が赤くなっているではないか。てっきり可愛いと言われ慣れているものだと……」


 プルプルと細かく横に顔を振る。そういう感じで言われないの!もっと馬鹿にした感じで言われるの!


「うーむ、私の美的感覚がズレているのか……?」


 アゴに手を当てて、僕の顔を訝しげにじーっと観察する。うわ、まつ毛ながっ。肌めっちゃキレイ。はずっ。


「あああの、そんなに、見つめないで、くだしあ……」


「ふむ、そうか」


 納得していないような顔をしながら再び前を向く。


 それにしても、しゅり先輩の美人オーラが半端ない。何か会話したいけど、緊張で頭が真っ白になる。どうしよう。


 あと、勢いでマズいこと言っちゃう癖、なんとかなんないかなぁ……。


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