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真実

「僕が、選ばれた……?」


 まさか。そんなはずはない。


「だって、僕はこの世界のモブキャラですよ?」


「ならば。今日は家族以外で誰かに会ったかい?」


「いや、おばあさんだけです」


「ではハートが1つ減っておるだろう」


「はい。一番右が黒くなってます」


「なぜ?」


「なぜ、って……。単純に、占いの館はイベント扱いなので、それで消費したのだと思います」


「ビックリマークがなんとやら、と奴から聞いた事があるが、それも見えるのであろう?


「今は見えないですけど、多分……」


 設定の項目に書かれていた『エクスクラメーション表示』というのが、恐らくイベント表示用のビックリマーク設定だろう。


これをオンにすれば多分、ゲームと同じようにデジタル的な感じでキャラクターや店の上空に『!』が表示されるはずだ。


「さらに、お前さんがこの世界で苦楽を共にしたい女子の名前も書かれておる。違うかえ?」


「はい、書かれて……」



 ……あ。


 もしかして、そういうこと?

 


「つまり……。僕がゲームの主人公と同じ状態だ、ということでしょうか……?」


「そうさね」


「で、でも、それだけじゃ選ばれたとは思えないんです。だって、輝樹がいますし……」


 そう。この世界の主人公は西園寺輝樹と決まっている。悲しいかな、主人公は二人も要らないはずだ。



「ならば、もう1つ質問をしよう」


 占いばあさんがニタリと笑う。



「誰が、お前さんを『モブキャラ』だと認定したんだい?」



 ……。


 ……。


 ……あれ?


 ……僕、誰かに『モブキャラ』って言われたっけ?



「ほっほっほ、思い当たらないようだねぇ」


 占いばあさんは何故か満足そうに微笑む。


「まさか、奴以外に選ばれし者がおるとはな。もしかすると、お前さんなら……」


 言い掛けて、口を閉じる。


「いや、今はいいだろう。他に質問はあるかね?」


「……ごめんなさい、色々と整理できないです」


「では、アタシから少し教えてやろう」


 占いばあさんはそのまま話を進める。


「まず、記憶が飛んだと言うていたな。確か、その機械の設定とやらをいじれば、眠るまで意識がある状態にできるはずだ」


 『ハート枯渇時 自動日付スキップ』という項目だろう。今はオンになってしまっていたはずだ。


「だが、これはあくまでも本日のみ。次にお前さんが意識を取り戻した時、恐らく日曜日になっているはずさ」


「……という事は」


 週前半・週後半・休日。


 このプログラミングが、適用されてしまっている。


「察したようだね」


 占いばあさんは相変わらずニタニタとしている。なんか、僕を見て楽しんでるような……。


 でもそうなると、新たな疑問が浮かぶ。


「記憶の無い間の僕は、プログラミングされたみたいに自動で生きている……って事ですか?」


「言い方は違えど、同じ条件の奴は、そう言うていたよ。


少しでも良い運命の方向へ進めるよう、メモ帳か何かで意識の無い自分へ指示を送るそうだ」


 という事は、輝樹にもハートの制限があるのか。本当にライバルみたいな関係になってる。


「意識の無い間、ハートの消費がどうとか言ってました?」


「どうだったかね……。『意識が無い時こそ重要だ』とは言うていた気はするが」


「なるほど……。というか、なんで輝樹とそんな込み入った話してるんですか?」


 単純な疑問だ。あの性格ドブス糞野郎が親切に色々教える訳がない。


「そりゃあ、同じように相談されたからだよ。


この世界をループしているのは、アタシと奴だけだからね」



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