変化
「天音さんって……。同じクラスの?」
「うん」
僕は自分を落ち着かせながら話を進める。
「それでね。放課後、天音さんと仲良くなるために、一緒に帰ろうと思ってる」
「うん……」
「宇月さんと話すのって凄い楽しいし、もっと仲良くなりたい。だけど、僕……」
あぁ、誰かに、こんな風に言うの初めてだ。
「天音さんの事が、好きなんだ」
「えっ……?」
まどかは目を丸くする。
「ごめん。急にこんな話して……」
「いいよいいよ、続けて?」
「うん。えっと……。い、今から変なこと言うけど、大丈夫?」
「うん。ちゃんと聞く」
「最初に言うけど、ふざけて言うわけじゃなくて」
「大丈夫。狩場くんの言葉なら信じられる」
「ありがと……」
あっ、いま狩場くんって初めて……。
「お話、続けて?」
「う、うん。あのね。僕、他の……異世界?からここに来たの」
「うん」
「そこで、天音さんと出逢っ……。やっぱり、信じてもらえないよね」
「ちゃんと信じるよ?狩場くん、真剣な目してるから」
「宇月さん……」
あぁ、また泣きそうだ。ありがとう、まどか。
「僕のいる世界では、この世界は恋愛ゲームとして発売されてるの。初めて天音さ……ことにゃんと仲良くなれた時に、この子は裏表の無い純粋な子だなぁ、って思った」
「うん」
「ことにゃんの私生活の事はあまり話せないんだけど、全てのエンディング……。つまり、ことにゃんの生い立ちを全て知って、僕が守ってあげなきゃいけないって気持ちになったんだ」
「うん……」
「こっちの世界に来て、いないと思っていた輝樹がいて、こんな奴にことにゃんは渡せないって思った。僕に力があるかわからないけど、出来る事なら、ことにゃんの力になりたい……って」
僕は俯いた。まどかは、どう思っただろう。
ちゃんと、まどかが理解できるように伝えられただろうか。
やっぱり、かがみんの時みたいに嫌われちゃうのかな。
「狩場くん……」
「……はい」
僕はそっと顔を上げた。
「そんな、大事な話をしてくれて、ありがとう……」
まどかは、号泣していた。
「すごく、勇気いるよね。私だったら、信じてもらえないと思って、絶対に嘘付くもん」
「……だって、宇月さんが教えてくれたから。純粋で、素直な僕がいいって」
「狩場くん……」
まどかは指で涙を拭った。
「私、狩場くんのこと応援するよ。もし何かできることあったら、私に遠慮なく言って?」
「うん、ありがとう……」
「あと、私……」
まどかが一瞬、下を向く。
「こういう……しんみりした空気が嫌いなのだぁー!」
「うわっ!?」
ガタガタガタッ!!
僕は、まどかに押し倒されるように床へと転がった。周りも少し驚いている。
「ちょ、ちょっと離して」
「イヤだぁー!離さないぃー!」
まどかの赤みがかった茶色い髪の毛が、僕の頬を撫でる。
ふと横顔を見ると、涙を溜めた瞳が、笑っていた。
その笑顔は、無邪気で明るくてイタズラっ子な、いつものまどかだった。
ゲーム画面ではわからなかったけど、まどかってこんな匂いがするんだ。
……ありがとう、まどか。
ごめんね、ことにゃん。
今だけは、この幸せな時間を、かみしめさせて下さい。
──気が付くと、僕は自室のベッドの上にいた。
「……うーん、ん?
えっ、ええっ、えええええっ!?!?!?」
何が起きた。
慌てて窓を開ける。大きな公園に二車線道路。右隣にはカカス、左隣にはファニーマート。
よかった。ミラプリの世界だ。
……じゃないんだよ!!
まどかと戯れてて、それで……。
一体、何が起こってるんだ……?




