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大所帯

 そもそもバッドエンディングというのは、最終週までに全キャラクターとの友好度が100ポイントに満たず、


かつ一番絡みのあったキャラクターと迎えるエンディングである。


特定のキャラクターを集中して攻略せずに、全キャラクターに良い顔をしているとバッドエンディングになりやすいが、


普通にプレイしていれば誰かしらと100ポイントを超えるので、狙わない限りは滅多に見ることができない。


ちなみに100ポイントから199ポイントまでがノーマルエンディングだが、こちらもバッドエンディングを彷彿とさせるものになっている。


つまり、バッドエンディングは文字通り『バッド』であり、辛く過酷な展開となるのだ。


全キャラクター共通して最悪の別れ方となるが、中でもまどかのバッドエンディングは愛を超越した恐ろしいエンディングを迎える。


まどか推しの中には『バッドエンディングこそが最高のベストエンドだ』と抜かす変態もいるが……。とりあえず、今は割愛しておこう。


 話を戻して。


 その日の放課後、約束通り親衛隊のみんなとまどかを引き連れて占いの館へと向かった。


その道中、まどかは誰にも引っ付く事はなく、みんなと同じように歩いて向かっていた。


 占いの館へ到着すると、まずは無意識の僕がのれんをくぐる。


「すみませーん」


 その声に続くように、他のメンバーも恐る恐る中へと入っていった。


「いらっしゃい。……おや、こんな大所帯とは珍しい」


 突然の訪問に、占いばあさんが眉を潜める。その様子を察したのか、無意識の僕がフォローするように答えた。


「みんな異世界の僕のことが気になるみたいなので、もっと色々と話を聞こうと思ってきました」


「そうかい。とりあえず、イスが足りないから出してこよう」


 立ち上がろうとする占いばあさんを、まどかが制するように発言する。


「あ、お構いなく!私は立ってますから……」


 続けて、親衛隊のみんなも発言をしていく。


「我々も平気です。突然の訪問で申し訳ありません」


「迷惑でしたら、我々3人が出ていきますので……」


「おばあさんはどうか座っていて下さい」


 気を遣える友達が誇らしい。それに比べ、無意識の僕は早々とイスに座っていて、一連のやり取りをポケーっと聞いていた。クズめが。


「すまないね、小さい館で。お前さん、そこの女子にイス譲ってやんな。レディーファーストってやつさね」


「そうですか。わかりました」


 特にリアクションをする訳でもなく、スッとイスから離れる。言われなくても気を遣ってくれ。相変わらず酷いなぁ、この僕は。


「いやいや、本当に大丈夫ですから」


 そして相変わらず謙遜するまどか。やっぱり、良い子だ。


「話が始められんだろう。いいからほれ、座んな」


「そこまで言うなら……。みんな、ごめんね?失礼します」


 そう言うと、まどかは軽く会釈をしてイスへと座った。自身の膝に腕をピンと伸ばして手をつき、肩を強張らせている。


「さて……。アタシの事はどこまで聞いている?」


 占いばあさんの問いに答えたのは、まどかだった。


「今日、初めておばあさんの事を聞きました。幸太郎くんの口から、占いの話が出た事は1度もありません」


 そう言われてみると、確かに占いの館のことはみんなに話していなかった。


別に内緒にしていた訳ではなく、単純に話す機会が無かったのだ。まどかは質問を続ける。


「狩場くんは、本当に帰ってくるんですか……?」


「安心しな。金曜日にきちんと帰ってくる。そんなに心配せんでもええ」


「……ごめんなさい。私、まだおばあさんの事をあまり信用できていないんです。


そもそも占いだし、おばあさんには悪いですが、その、フワフワしている、と言うか、えっと……」


 だいぶ言葉を選んでいるが、要は占い如きで僕の運命が分かるはずない、と思っているのだろう。そりゃそうだ。


占いばあさんも、その辺りは自分で分かっているらしい。


「ほっほっほ、言葉を選ばなくたっていいよ。胡散臭いババアの戯言を聞きたいやつなんざ、そう居ないんだからね」


「ごめんなさい!傷付ける感じで言った訳じゃ……!」


「なぁに、当たり前の感覚さね。占いはあくまでも占い。人の運命が占いで決まってたまるかってんだ。


今回の件に関しては、普段の占いたぁ、ちと意味合いが違う」


「意味合い……?どういう事ですか?」


「おっと、その前に。ここに居ない幸太郎の出自は、どこまで聞いている」


「えっと……。逆におばあさんは、どこまで知っているんですか?」


「あの子が別の世界の人間……とだけ言おうか」


「ありがとうございます。私達も、幸太郎くんが異世界から来たという事は聞いています」


「そうかい。なら、アタシの話も受け入れやすいかね」


 そう言うと、占いばあさんは片方の口角を上げ、ニタッとして発言した。


「アタシはね、この世界を何遍もループしている。


そしてこの世界には、決められたシステムっちゅうもんが存在するんだ。


幸太郎は、そのシステムの機能を使って、金曜日まで時空を超えておる」


 それを聞いて、みんな不思議そうな顔をする。やはり、いまいちピンと来ていないらしい。


「順を追って話そう。耳かっぽじって、よーく聞きな」


 それから、占いばあさんは今までループしてきた事や僕との出来事、さらには輝樹についても話を進めていった。


 正直、ちょっと話しすぎじゃないかなぁと思う。でも、今後を考えたら色々と話やすくなるだろうし……。



 まぁ、いいのかな。


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