六十四話
『鬼界』……ロードギアの管理権限を巡る戦いに負けた『剣鬼』が命からがらに逃げた異界。
草木や川、砂浜など存在しない世界。
そこに広がるのは荒野と岩場のみ。
人間では生き抜けない環境を、しかし『剣鬼』は二千年ここで生きてきたのだ。ある一つの悲願を叶える為だけに耐えてきたのだ。
ロードギアへの帰還を一心に願い、ただひたすらに。
部外者たるオレ達が絶望しか感じない世界でずっと……。
「……どんな所かと戦々恐々していたが、意外にマトモな世界だな。数日で飽きそうな光景さえ除けば」
「ワタシも初めて来ましたが、岩だらけですね。建物らしきものはあの巨城以外には見当たりませんし」
ルシスの視線の先には今まで見たことのないスケールの城が見えた。
……この距離であのデカさは異常だな。近くまで行ったら城の頂上部が見えないだろ、あれ。
「ファラはあそこにいると思うか?」
「最悪のケースを想定すればあの城で捕まっているかと」
「……どうするにせよ、まずは情報収集か」
最善のケースはこの近くにファラがいる事なんだが……希望的観測だな、うん。
「その為にもあの城に近付く必要がありますね。テレパシーによる意志疎通も距離が近ければ近いほど明確になりますし」
「是非とも城に近付くまでにテレパシーの応答が欲しいな」
「まったくです」
互いにまったく期待もしていない希望を内心に秘め、巨城へと歩き出す。
「……迎えが来た。アタシは帰るぞ」
「まぁまぁもうちょいゆっくりしていきなよファラ。せっかく『鬼界』に来たんだ、観光案内くらいさせてくれ」
「いらん。というかアタシは好きで『鬼界』に来たわけじゃない。無理矢理来させられたんだ」
「どちらにせよもう二度とこちらに来る気はないんだろ?最初で最後ならもっとゆっくり観光していけよ」
「ここには見るべきものは何もない。キーリカ……わざとらしいまでの時間稼ぎはよせ」
「バレてたか」
「……いまさら約束を反故にする気か?」
「いんや、そんなつもりはないよ。約束通り、丁重に見送るよ……ファラはね」
「…………」
「そんなに睨むなよ。ロードギアからわざわざ来てくれたお客さんだぞ、盛大にオモテナシしなくちゃな」
「……先ほどから道雪の姿が見えないが、そのオモテナシとやらに関係するのか?」
「もちろん。道雪には客人のお出迎えに行ってもらった」
「キーリカ……!」
「まあ大人しくこの部屋で待っててくれファラ。丁寧に丁重に客人をお招きするからさ」
「マスター」
「気付いてるよ。どうやら歓迎準備は整っていたらしいな」
囲まれている。
前方以外は完全に。
「待ち伏せされていたとは予想外だな。先手はこちらがとれるとばかり思ってたんだけど」
最悪、城には奇襲を仕掛けるつもりだった算段はこの時点で放棄だ。
「城からかなりの距離があるこんな場所に伏兵させていた事から、どうやらワタシ達が『鬼界』に足を踏み入れた時点で動向を監視してたようですね、迂闊でした」
「つまり『剣鬼』はゲートから誰かが来ることをある程度予測していたのか?」
「そう考えるのが妥当かと。さすがに手際がよすぎます」
確かに、気付いたら囲まれてたからな。
「そうなると……わざとらしく空いている前方には指揮官クラスの『剣鬼』が配置してあるんだろうな」
「……噂をすれば、ですね。明らかに囲んでいる『剣鬼』とはまとう空気が違います」
指揮官らしき『剣鬼』がオレの視界に入った直後に、左腕が勝手にピクリと動いた。
知り合いですか?
「ようこそ『鬼界』へ。お待ちしておりました」
まったくそう思ってなさそうな無表情で歓迎されてどうしろと?
……いやそれ以前に目の前の『剣鬼』が姿を見せてから左腕が無意識にピクピク動くんだが。
し、鎮まれオレの左腕!!
「マスター、ふざけてないで対応して下さい」
「は~い」
さて、どうするかな?
状況は最悪、かと言って負けられないし、逃げる気もない。そうこうしてる間に待ちくたびれたのか、指揮官らしき『剣鬼』が刀を具現化した。
……どうやら先方は殺る気満々みたいだ。
「我は『八鬼衆』が一鬼、道雪。カイン殿に一騎討ちを求む」
……オレの名前まで知っているのか。
どこまで情報が筒抜けなんだ?
「マスター、どうしますか?」
表向きオレの意思確認をしているルシスだが、言外に危険だと訴えているのをその表情で読み取る。こんな状況だがら、仕方ないと言えば仕方ないが、ここはわざとらしく作ってある流れにあえて乗っかってみよう。
「承けるよ」
「マスター?」
ルシスが心配そうに呟くのがやけに心苦しい。
「……ルシスも何となく気付いているだろ?このあからさまな状況に」
「はい……ですが確証がありません。危ないリスクは軽減しておくべきかと」
「確かにそうなんだが……誰が作った脚本にせよその結末が気になるんだよ、個人的に」
「脚本内容はバッドエンド一直線かもしれませんよ?」
「その時は強引にハッピーエンドに書き換えるさ」
オレはいま、自信に満ち溢れたように笑えているだろうか? いや、きっと笑えていてもルシスにはバレバレかな?
でも個人的な事情で悪いけど、オレもひけないんだ。
オレは強くなりたい。
今よりもっと。
強くならないと駄目なんだ、この先々を見据えて。
だから、『八鬼衆』はちょうどいいんだよ。
『神剣』に頼らず、オレだけの力を実証するには!
足手まといはゴメンだ。
後ろで守られるのも勘弁してくれ。
オレは二人の隣に立ちたいんだ!共に並びたいんだ!同じ景色が見れるように!だから、ひけない。これが例え誰かが書いた脚本でも、進んで利用されてやる……だからオレも利用してやる。
「やるぞ、『赤帝刃』」
愛剣たる火属性の聖剣を具現化、道雪に突きつける。
「承けていただいて何より。これで主の命令を果たせます」
淡々と語る道雪が妖刀を構える。
「へぇ……ちなみにその命令内容とやらを聞いても?」
「貴方の抹殺です」
直後に駆け出す道雪を、しかしオレはしっかりと捉えている。
大丈夫、目で追える範囲だ。
「そいつは過激な命令だな!」
足元から迫る刃を弾き、反撃。
だが道雪は難なく回避。
そこから流れるような自然な動作で横に切り払う斬撃を油断せずにバックステップで避ける。
だがおかしいぞ、道雪の動きがややぎこちない。
わずかな違和感だが間違いない……怪我でもしているのか?
「……戦闘中に考え事ですか?ナメられたものですね」
「……お前、万全の状態じゃないだろ?」
「…………実戦は常日頃から万全の状態で挑めるものじゃない。だから、言い訳はしない」
「仕切り直さないか?」
「笑止、話に聞いたとおり甘いな!いくら万全でなくとも、なりたての『剣神』になど負けん!!」
道雪の叩きつけるような闘気に思わず足が震える。
……情けない。
だが恐怖心がマヒしてないのはいい傾向だ。
多分、きっと。
「オレも手負いの『八鬼衆』に負けるつもりはないぜ?今出せる全力で来いよ、正面から返り討ちにしてやるからさ!」
「若造が吠えるな。ならば後悔させてやる『刀刃解放』!!」
な……んだ……!? 急にすごい圧迫感だ!
息苦しい……刀刃解放って何だ?
『剣鬼』限定の剣技か?
「解放剣技、鬼甲」
初めて目の当たりにする剣技に、オレの思考は中断した。
なん、だこれ?
「隙だらけだ、若造」
そして致命的なまでの状況を生み出すには十分な時間。
道雪の拳はオレの顔面を的確にとらえた。
結果的にオレは軽く十メートルは吹き飛んだと思う。
あくまで体感的にだが、そんなに間違っちゃいないだろ。
クソ、奥歯がごっそり抜け落ちた!
後で回復しなくちゃな、とりあえず今は…………………………一発殴り返す!
作者からお願いがあります。
キャラクターの詳細な設定を誰か考えて下さい。
参考にして、矛盾がなければそれを正式な設定にしたいと思ってます。
正直、フィフラとかシキロなどの新キャラとか勢いと適当さがブレンドされてるので全く定まってません。
フィフラって髪長いの?短いの?
作者も知りません。 シキロってオッパイ以外には何か描写あったか?
妙齢の女性以外はないです。
作者の脳内では適当にキャラ作成してます。
完全に読み手である皆様の脳内妄想、想像に全力で丸投げしてます。
そんなわけなのでお願いしまーす。
他力本願ですいません、話つくるだけで精一杯です。
あ、苦情はなしの方向で。




