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剣と龍と神  作者: カナメ
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三十八話

人の噂も七十五日…長い。

噂は至るところにある。



街でも村でも、人が集まれば自然と大小様々な類いの噂が現れては消える。



中には他人の下世話な話題から、王族や貴族のスキャンダルまで、色々だ。



ここ闘技都市ゴルドーにも無数の噂がある。

大半は一日で聞かなくなる他愛もないモノばかりだが…ここ最近は大きく三つに分類される噂が根強く住民を中心に流れている。



一つ目は治安が悪いこの街で、正義を行使するいい年のオッサンの噂。



二つ目は街の至るところで殺意を剥き出しで人探しをしている集団の噂。



そして三つ目が…この街のあらゆる酒場を飲み歩く美女二人の噂だ。



特にオレに関係するのが最後の…酒場での美女目撃談だ。



立ち寄る店の酒を飲み尽くすか、閉店するまで居座るかを繰り返すウワバミ達に、街の酒場という酒場が戦々恐々としている始末。

別にその二人が暴れるとかが理由ではない。

その噂のせいで、物珍しい二人を目当てに客が一ヶ所に集中するせいだ。

飲みに来てくれた店側にとっては客を集めてくれる福の神。

だが来てくれなかった店側にとっては客を奪う疫病神。

見事な二面性をもつ美女二人はとにかく目立つ。

事実、三つある噂は後者であるほど流れている噂の規模がでかくなっており、美女二人のウワバミはもはやこの街の住民なら知らぬ者はいないほどの有名ぶり。

滞在わずか五日にしてそれがオレの耳に入ってきたのだから疑う余地はない。



…有名になりすぎだろ二人とも。

この街の観光名物にでもなる気か?



滞在三日目まではオレも付き合ってはいたが途中までだ。

翌日にはまたコロシアムで一稼ぎする為に一足先に帰った。

内容はもちろん勝利。

賭けていた二人もまた荒稼ぎした。

四日目にはオレは完全に辞退。

そして今日だ。

二人はまたキャッキャッと本日の酒場巡りを企画している。



まだ飲む気か…

明日には出発する予定を伝えたはずだが……

構わず飲みますよね~、キミタチハ。

しかしこれから街から街へと行くたびにこれか?

ゴルドーみたいにデカイ街だから複数の酒場があるが、他の街にはこんなにないぞ。

よくて二、三軒。

普通は一軒。

最悪の場合、存在すらしてない村とか集落だってあるだろうし…

その時は禁酒してもらうか。

旅路では全く飲まないくせに、いやだからその反動でこんなに飲むのか。



カネの心配は……ないな。

ファラの話しでは、今まで立ち寄ってきた街ごとに、カネはギルドに預けているらしい。

ファラはあまり他人がやりたがらない仕事を率先して片付けるので、その報酬はどれも法外。

失敗もないので、ギルドも優遇してくれるらしい。

主に依頼中や後の面倒事など。

酒を飲む為のカネはきらさないと、力強く断言された時は、きっとオレのファラを見る目は白かっただろうな。

そこまで飲むのが好きだとアルコール中毒を疑うが…数分でアルコールを分解しているのだから違うだろう。

ただ飲むのが好きなだけか。

酒をきらして龍形態で暴れる心配がないなら、まぁいいだろ。多分。



「カイン、今日は付き合うよな」



実にいい笑顔で飲みにいこうと誘ってくるが今日も辞退する。



「何だよ付き合いわりぃな」



まだ昼間ですよ、ファラさん。



「明日にでもこの街を出発するからな。旅の準備を誰かがしないとダメだろ?オレがやっておくから二人は飲んできてくれ」



「さすがカインだ、任せたぞ!」



数秒前とまるっきり対応が真逆だが、気にしない気にしない。

むしろ気にしたら負けだ、うん。

そんな二人に見送られながら宿を後にする。

買い揃える物は、保存食に各種クスリに…酒はいらんな。

街の店々を巡りながら必要な物は購入していく。

この先々の分もあるから、ちょっとした準備でも時間は掛かる。

その途中、気になる話題を二人の商人風の男達が話していた。自然と耳を澄ます態勢に移るのはクセだな。



「知ってるか?あの物騒な奴等の噂」



「あぁ、あの見知らぬ誰かサンを探し回っている連中だろ?ついに見つかったか?」



「いやそっちはまだみたいだ」



「なら何だよ?」



「その誰かサンを探している当人が誰かって噂だ」



「…貴族サマ方の酔狂じゃねぇのか?」



「いやそれがどうも連中はコロシアム運営委員会らしい」



「何だってそんな奴等が人探しをやってんだ?運営委員会に何かやらかしたのか、その誰かサンは?」



「さぁ?ただ街の警備兵に任せず、街一番の権力をもつ運営委員会が直接動いてるからなぁ…やらかしたとしたら相当ヤバイ事だろ」



「その割にはそれに関しての噂がないがね」



「握りつぶしたんだろ、きっと。だがその誰かサンの命も長くはねぇな」



「だろうよ。コロシアム運営委員会を敵に回したら国一つを相手にするもんだ」



「そんな誰かサンに関わらねぇように、真面目に働くか」



「ちげぇねえ」



「…………」



運営委員会、ねぇ。話を聞く限りすごい権限をもってるな。まぁコロシアムは大金が動いているから、当たり前か。

誰を探しているにしても、関わりたくないのはオレも同感だ。

面倒事のニオイがプンプンする。



ガシャアァン!!



早速か?

物が引っくり返る騒音がすぐ近くから聞こえた。

ここ、街のど真ん中なんだが……さすが治安の悪いゴルドーと呆れるわ。

ふと、どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。



「やめんか悪漢共!無理矢理に情報を聞き出すなど賊の行為!それ以上の悪行は許さんぞ!」



……オッサン、槍を片手に今日も頑張ってんな。

オッサン頑張れ!名前はまだ決めてないけど…頑張れ!

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